アルバム感想『青春のエキサイトメント』/ あいみょん


『青春のエキサイトメント』/ あいみょん
2017.9.13
★★★★★★★★☆☆

01. 憧れてきたんだ ★★★★★★★★☆☆
02. 生きていたんだよな ★★★★★★★★☆☆
03. 君はロックを聴かない ★★★★★★★☆☆☆
04. マトリョーシカ ★★★★★★★★★☆
05. ふたりの世界 ★★★★★★★★☆☆
06. いつまでも ★★★★★★★★☆☆
07. 愛を伝えたいだとか ★★★★★★★★★☆
08. 風のささやき ★★★★★★★☆☆☆
09. RING DING ★★★★★★★☆☆☆
10. ジェニファー ★★★★★★★☆☆☆
11. 漂白 ★★★★★★★★★☆

 

 

 兵庫出身の女性シンガーソングライター・あいみょんのメジャー1stアルバム。

 彼女の最たる武器や特徴を挙げるとなると、大多数はやはり歌詞をチョイスするんでしょうか。正論かどうか、共感するかどうかはともかく、不器用ながらも自分を曲げず思いのままに思いをぶちまけた歌詞は確かにパンチが効いています。自分自身の才能は認められたいけど、顔色を伺ったり媚びたりはしたくない。我が強いというか自分に嘘つけないというか、性格ひん曲がってますが何か?みたいな、そういう愚直さがビンビンに放出されていて。ですが、それが然るべき威力を発揮するのは あいみょんの楽曲として完成されたときこそ。

 

 楽曲は意外にもオーソドックスなJ-POPといった感じのものが大半。そんなサウンドと相反する愚直な歌詞が乗っかったり、あるいは歌詞と相反するようで実は言葉の裏に潜む本質とサウンドが見事にマッチングしたり。さらにはそれを、シミやそばかす、ニキビ、むくみなんざお構い無しって感じの芯が強いすっぴんボーカルによって歌われることで、歌詞として綴られたその言葉たちは 単なる音読や黙読の時とは比にならないほどに熱く脈を打つわけです。

 

 音割れしようが何だろうが知ったことか的なボーカルが 先人アーティストへの憧憬をぶちまけながらアコギをジャカジャカ鳴らして突っ走る『憧れてきたんだ』、カントリー調のほのぼのサウンドの上で、好きと嫌いや 幸せと不安が行き交いこんがらがる『ふたりの世界』、ギターのアルペジオとチェロのアレンジによる穏やかなスローサウンドをバックに、初っ端から「死んだ友達がさぁって語れば売れんのか?」と卑屈さを開けっ広げにしつつ、最後には「まだまだ燃えていたいんだ」と意気込みを覗かせる『いつまでも』、ギターのコード進行やメロディ、アレンジまで何もかもベッタベタのミドルスロー曲に対して、やたらと外野に中指を立てた歌詞を宛がった やさぐれソング『風のささやき』と、青春というより思春期真っ只中といった感じの生々しく感情的なナンバーはやはり強力なインパクトを放ってます。

 

 個人的には無骨なファンクナンバー『愛を伝えたいだとか』が本作の最大ヒット曲。歌詞はウジウジ系男子の恋愛における情けない様をだらだら綴ったものですが、そんな不甲斐なさを声色で露にしつつグルーヴィーに振る舞うボーカルがファンキーなビートと相俟ってノれる。

 

 

 素朴な歌謡ミドル『マトリョーシカ』もなかなか絶品。これは単純にメロディが良いし、敢えて打ち出した チープさや湿っぽさとの取り合わせがまたベターなんですわ。

 

 メジャーデビュー作である『生きていたんだよな』は荒んだ雰囲気のミドルナンバーで、雑な言い方をすると ちょっと欅坂46っぽいムード。この曲の歌詞は全体的になんか斜に構えてる感じで、ところどころ首を傾げたくなっちゃうフレーズが散見されますが、冷ややかな空気感の中で際立つ感傷的で熱のある歌メロはなかなか良い。

 

 

 曲自体はいつぞやのコバタケみたいな瑞々しいミドルポップ『君はロックを聴かない』は歌詞が良いです。単純に文字だけ見ても。気持ちはすっごく分かる。ただ、実際それを行動に移すかどうかとなると話は別ですけど。

 

 

 ツンケンした素振りで友達を励ますシャッフルビートの軽快なポップロック『RING DING』、清々しく眩いミドルポップ『ジェニファー』も良いし、

 ラストのノスタルジックなミドルバラード『漂白』が凄くいい。本作で最も素直に歌詞が良いなと思ったし、穏やかな音色も手伝ってそんな言葉たちが優しく胸に響く。思春期の表も裏も思いのまま書き殴ったアルバムを締めるにはあまりにも良く出来た秀作。

 

 『生きていたんだよな』のイメージが強かったので、もっと曲者感が凄まじいアルバムかと思ってたけど、案外サラッと聴けました。かと言って味が薄いとか物足りないなんてことはなく、メロディが良く曲自体も難解なことをやってるわけではないので、フレーズチョイスの割には意外と取っつきやすいのではないかと。良いアルバムです。この人は純粋に優良なソングライターなんだなってことが分かったし、次回作も聴いてみたいなと思った。

 

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