アルバム感想『FRIENDS』/ B’z

FRIENDS
『FRIENDS』/ B’z
1992.12.9
★★★★★★★★☆☆

01. Prologue : Friends
02. SCENE 1:いつかのメリークリスマス
03. SCENE 2:僕の罪
04. 2-2:Love is…
05. SCENE 3:恋じゃなくなる日
06. SCENE 4:SEASONS
07. SCENE 5:どうしても君を失いたくない
08. 6:いつかのメリークリスマス(Reprise)

 

 

 オリジナルアルバム『RUN』から約1ヵ月ちょいのインターバルでリリースされたミニアルバム。
 従来のB’zのオリジナルアルバムとは一線を画す、恋をコンセプトにした“映像のないストーリーのサウンドトラック”とも言うべき作品であります。

 

 1つの楽曲として既に成立している4曲のミドル/バラードを中心とし、そこにインスト4曲を挟むことで、アルバムを通して一貫したストーリー性を持ち、収録楽曲の一つ一つが ある男と女による恋物語のワンシーンとして機能しています。シングルカットされていないにもかかわらず、いつの間にか一人歩きしてしまった『いつかのメリークリスマス』も 実は本作で描写されている恋物語の一つの情景というポジショニングなんですよね。

 

 脚本家・稲葉氏と音楽監督・松本氏による、コンセプトに徹した演出が映える 音楽のみで構築された短編映画。いつの冬も聴覚とイマジネーションで堪能したい不朽の名作であります。

 

Prologue : Friends
★★★★★★★☆☆☆

ストリングスをフィーチャーした、美しいクラシカルなインスト。冬の街並を連想させるような切なく暖かい音色が絶品です。いちギタリストとしての松本氏は一切関与せず、音楽監督としてのこだわりを貫いた素晴らしき一曲。

 

SCENE 1:いつかのメリークリスマス
★★★★★★★★★★

愛する人と過ごした 幸せなクリスマスを回想するバラード。AメロBメロでは『何もかもがきらめいて』いた頃を回顧し、サビでは現実に返り『いつまでも手をつないでいられるような気がしていた』『人を愛するということに気がついた』といった未練げなフレーズが並ぶ。そして、『幸せそうな顔で』『僕のそばを 誰かが足早に 通り過ぎる』というラストにこの曲の持つ切なさが集約されており、松本氏の手によるアルペジオも相俟って胸が締めつけられる。ホロリと泣かせる名バラードです。

 

SCENE 2:僕の罪
★★★★★★★☆☆☆

広東風アレンジが施された、リズミカルなミディアムポップス。冒頭の『やめた煙草に手を出すように 君に電話をかけている僕』から、終わった恋への未練と後悔に縛られる自分を嫌悪するヘタレなフレーズが羅列されていて非常にリアルです。

 

2-2:Love is…
★★★★★★★☆☆☆

次曲『恋じゃなくなる日』のメロディを引用したキーボードによるインスト

 

SCENE 3:恋じゃなくなる日
★★★★★★★★★★

いつメリ同様、特に鍵盤の音色に90年代を想起させる香りがあるんですが、それにより旋律の切なさがより際立った トレンディドラマ風情のミディアムバラード。恋人の関係だった頃のように二人きりの時を過ごしても虚しさが募るばかり。そんな男の煮え切らない感情を描写した歌詞もまた絶妙。燻っていた想いが一気に爆発したようなラストの稲葉氏のシャウトと松本氏のギターソロには思わず気持ちが高ぶる。隠れ名曲ですね。

 

SCENE 4:SEASONS
★★★★★★★☆☆☆

アコギによるインスト。美しくもモノクロな旋律が無常感を喚起します。

 

SCENE 5:どうしても君を失いたくない
★★★★★★★★☆☆

大団円を想起させるミディアムスロー曲。『どうしても君を失いたくない』というフレーズは、ヨリを戻したいという意味にも捉えられるけど、男はおそらく友情で繋がる関係を選択したんでしょうな。アルバムのタイトルの『FRIENDS』とはそのことを意味していたんだなと私はようやく気づくわけです。恋人の関係にはもう戻れないと悟り、『僕らの行く先がどこかにあるはずだ』という模索を経て辿り着いた答えが、別れではなく、君と永くいられる友情を選んだと。それもまた切ない話や。

 

6:いつかのメリークリスマス(Reprise)
★★★★★★★☆☆☆

本作のエンドロールを担う、ピアノによるインスト。切ない余韻を残して締めです。

 

 なんというか、このラブストーリーはどことなく『冬のソナタ』っぽいっすね。といっても、チュンサン(ペ・ヨンジュン)とユジン(チェ・ジウ)ではなく、ユジン(チェ・ジウ)とサンヒョク(パク・ヨンハ)のストーリーですけど。二人は長い付き合い(必ずしも恋愛という意味ではないです)を経て婚約までしたのに、最終的にはチュンサンに持ってかれて友人関係に収束しちゃうというね。うーん、なるほど、冬ソナの元ネタってB’zのこのアルバムだったのか。スゲーな、このストーリーが秘めた切なさは国境を越えてコリアにまで浸透しちゃったのかよ…なんてことに気がついたいつかのメリークリスマス、ということで、韓流ドラマが好きな方々にもオススメの「映像なきストーリーのサウンドトラック」であります。

 

スポンサーリンク




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です