アルバム感想『FRIENDSⅡ』/ B’z

FRIENDS II
『FRIENDSⅡ』/ B’z
1996.11.25
★★★★★★★★★☆

1. FriendsⅡ ★★★★★★★☆☆☆
2. SNOW ★★★★★★★★★★
3. 傷心 ★★★★★★★★☆☆
4. BABY MOON ★★★★★★★★☆☆
5. sasanqua ~冬の陽 ★★★★★★★★★☆
6. ある密かな恋 ★★★★★★★★☆☆
7. きみをつれて ★★★★★★★★★★

 

 

 ミニアルバムとしては4年ぶりとなる作品。

 『FRIENDSⅡ』と謳ってるだけあり、前作『FRIENDS』同様「冬」「切ない恋」がテーマとなっていますが、前作のアフターストーリーでもなけりゃ一枚通して物語仕立てになってるわけでもなく、曲単位でそれぞれ独立した世界を有した読み切り短編小説集みたいな構成になっておりば。
 そして何より特徴的なのがサウンドで、ポップスやハードロックを一切セーブし ジャズ/フュージョン系のミュージシャンを招集してその手のサウンド構築に徹しているのがB’zの全作品の中でもとりわけ異端。

 

 前作のオープニング『Friends』をアコギで再演したインスト『FriendsⅡ』でしっとりと幕開け。

 『SNOW』はピアノやストリングスをフィーチャーしたAORチックなバラード。サビ全般をファルセットで貫徹したボーカリゼーション、のっけから後悔しまくりの物悲しい歌詞、敢えて派手さをセーブした渋味ある演奏が織り成す孤独感が絶品すぎて震える。空気感も寒々としてるし。B’zとしては異色の楽曲を初っ端から突きつけてきましたが、これはくっそ名曲すぎる。

 

 本作のリード曲のような位置づけとなる『傷心』はメロディこそ従来のB’zらしいキャッチーさを有していますが、演奏はフュージョン仕様となっており、だいぶムーディーな仕上がり。わりとテンポ感があり うっすらと明るさも窺える楽曲ながら歌詞はかなり鬱入ってます。もはや人間不信の域に踏み込んじまってます。間奏ではストリングスやフルートとは逆のチャンネルでタック松本のいつもとは趣が異なる緻密なギターソロが聴けたり、終盤では稲葉先生のシャウトやフェイクが炸裂したりと、目立った聴きどころも多々あり。

 

 『BABY MOON』は従来のB’zっぽさ皆無といっても過言ではない、とことんシックな作りのスロージャズナンバー。こんなエスプレッソコーヒーさながらのビターかつアダルティなサウンドの上で「今夜ダメになりそう」だの「こんな僕を見ても君は可愛く笑ってるだけでしょう」だのダメ男ぶりを逆手に取ったり、「ああもうどうでもいい いっそ始めてしまおう ねぇギクシャクしてみよう」と発情ぶりをあらわにしたりと、地味なトコで天下の稲葉節が狂騒しているこのギャップがB’zならではの味であり この曲の聴きどころでもありで。

 

 『sasanqua~冬の陽』はタック松本が実権を握った 完全なるフュージョン系のインストナンバー。冒頭のアルペジオがサブタイトルのフレーズを象徴するような音世界を演出し、以降はエレキでまるでボーカルのように情感豊かなプレーを魅せます。ふつくしい。

 

 『ある密かな恋』はやや明るめなミドルテンポのフュージョンナンバー。サウンドは例によってB’zっぽさ薄めながら、Aメロでの稲葉先生のハネた歌唱はザ・B’zといった感じ。また、タック松本はファンクを意識したギターでバックを支えていますが、間奏ではタック松本の出しゃばり癖があらわとなりギターの速弾きを臆面なく披露。てゆーか、ストリングス、サックス、ピアノが彩る洒落たサウンドに「彼女持ちの男がアイドルに恋心を抱く」というキッショいテーマの歌詞を宛がう稲葉先生、やっぱぶっ飛んでますわ。

 

 『きみをつれて』はレゲエタッチのバラード。これまでのB’zナンバーで何度か登場している不倫モチーフの楽曲ですが、なんといっても稲葉先生のロマンチシズムが爆発した歌詞が素晴らしいっす。性描写のない失楽園みたいな。そんなロマンティックな詞世界を彩る楽曲がまた物悲しくも美しすぎて胸がトキメいちゃいます。ハイライトは勿論 終盤の大長編ギターソロ!本作どころかB’zの全作品の中でも最高のプレーでしょ、胸を掻き毟るような情熱的なこのプレーは。ギターソロのフェードアウト後にしっとりと流れるピアノがまた切ねえ。アルバム『FRIENDSⅡ』の幕を下ろすアウトロとしても機能していますね。名バラード。

 

 ミュージシャンのキャスティングまで徹底的にこだわってフュージョン系のサウンドに着手したのは本作のみですが、これ以降アルバムでたま~にこの系統の楽曲が登場することがあるので、少なくとも本作はちょっと道草食ってハイおしまいな感じではなく しっかり咀嚼し尽して血肉化されたものだったんだなということが窺えます。充実の一作。この後、ミニアルバムだとか企画モノや実験モノの作品は登場しなくなりましたが、まあ稲葉先生がソロ活動を始めたり、タック松本のソロ活動もさらにエンジンがかかってきたこともありますからね、これはしゃあないことかな。

 

スポンサーリンク




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です