アルバム感想『The 7th Blues』/ B’z

THE 7th BLUES
『The 7th Blues』/ B’z
1994.3.2
★★★★★★★★★★

[Disc 1]

01. LOVE IS DEAD ★★★★★★★★★☆
02. おでかけしましょ ★★★★★★★★★☆
03. 未成年 ★★★★★★★★★★
04. 闇の雨 ★★★★★★★☆☆☆
05. MY SAD LOVE ★★★★★★★★☆☆
06. Queen of Madrid ★★★★★★★★☆☆
07. ヒミツなふたり ★★★★★★★★☆☆
08. Strings of My Soul ★★★★★★★☆☆☆
09. 赤い河 ★★★★★★★★★☆
10. WILD ROAD ★★★★★★★★★☆

[Disc 2]

01. Don’t Leave Me ★★★★★★★☆☆☆
02. Sweet Lil’ Devil ★★★★★★★★★★
03. THE BORDER ★★★★★★★★★★
04. JAP THE RIPPER ★★★★★★★★★☆
05. SLAVE TO THE NIGHT ★★★★★★★☆☆☆
06. 春 ★★★★★★★★☆☆
07. 破れぬ夢をひきずって ★★★★★★★★★☆
08. LADY NAVIGATION ★★★★★☆☆☆☆☆
09. もうかりまっか ★★★★★★★★☆☆
10. farewell song ★★★★★★★☆☆☆

 

 

 

 約1年4ヵ月ぶりとなる7thフルアルバム。

 2枚組全20曲収録、にもかかわらず「愛まま」「裸女」スルーで先行シングルはエアロパクリナンバーである『Don’t Leave Me』1曲、HRとBluesの要素をより強め 重みと渋味を増したラインナップ、長尺ナンバー大杉、お値段なんと5,500円など、数多のハンデを抱えているにもかかわらず、史上7作目の1Weekミリオンを叩き出してしまったモンスターアルバムであります。

 

 これまでのB’zは、一言では語り尽くせぬB’zならではの持ち味を堅持しつつ、アルバムを出す度に ちょっとずつの変化で毎回新たな一面を覗かせていて、それがファンにとってはドキ胸ワクワクものだったんだと思うんですけど、今回の変化はいくらなんでも急激すぎ。「どうだ、これがありのままの俺たちだぜ!」と、それまで着用していたスーツを一気に脱ぎ散らかして まっぱになったみたいな変わり様。バンドの音にしてもホーンやブルースハープなどを多用したアレンジにしても重厚でなおかつ絢爛、それでいてこれまで魅せることがあまりなかった渋味もたっぷり。

 

 時代に媚びず、ポピュラリティーにも拘らず、「もうコンドームはいらない、これからは生で好き放題ヤラせてもらうぜ!」「俺様自慢のマイクでお前ら全員イカせてやらぁ!」みたいな やりたい放題かつ自信たっぷりな姿勢が楽曲のあらゆる面でダイレクトに反映されていて とてつもなくカッコいいし、「上司をころすにゃ刃物はいらぬ、ポピュラー路線を3作断てばよい」みたいな、ムカつくビーイングをじわじわ なぶってやる的な反骨精神も孕んでいるのがまた痛快。

 

 そういったマインドが凝縮された重厚ハードロック『JAP THE RIPPER』はいろんな意味で男気に満ち溢れていて文句なしにカッコいいし、「出てこい 街一番の女よ じっくり楽しもう」と 如何にもHR/HMっぽい中二フレーズをぶっ込んだ雄大ロックナンバー『WILD ROAD』も、その街一番の女役(?)である浦嶋りん子(FUNK THE PEANUTS)のカッコええボーカルも相俟って実にパワフル。

 

 ブラスセクションを従えたハードロックサウンドでシビレさせてくれる『LOVE IS DEAD』、全編に渡り闇掛かった本作において唯一希望を見い出せるドラマティックなロックナンバー『赤い河』、歌詞、歌唱、シャウトにおいて稲葉節の箍がとうとう外れてしまった『Sweet Lil’ Devil』、ヴァンヘイレンの『Right Now』を踏み台にしたイントロから大陸的でシリアスなハードサウンドから どうしようもない級のネバギバ精神を血まみれになりながら熱唱するみたいなボーカル&歌詞まで、戦闘民族サイヤ人的なカッコよさをビンビン感じるパクリジナルナンバー『破れぬ夢をひきずって』なんかもそうですね。これまでの作品よりも明らかにダイナミズムが増している。

 どさくさに紛れて松本先生が長尺ギターソロを演ってしまった『Strings of My Soul』も本作の作風に見合ったスケール豊かな仕上がりであります。

 

 ニュージャックスウィングをB’zなりに咀嚼した煙たいサウンドがカッコいいファンキーかつブルージーな『未成年』、どことなくV系チックなアルペジオを下地としたブルージーなバラード『闇の雨』、ロマンティックなストリングスアレンジと ブラックな味わいを醸成する演奏陣のプレーに惚れ惚れさせられ、サビの「おいでよ一緒にいよう~♪」の件で涙腺を揺さぶられる いい加減ライブで演奏してくれバラード『THE BORDER』、初期の楽曲『ハートも濡れるナンバー』がアルバムのカラーに合わせて上手いこと変化を遂げたセルフカバー『SLAVE TO THE NIGHT』、超絶シリアスかつ文学的に構築された不倫バラード『春』、無常感を喚起する壮大な大団円ソング『farewell song』など、アルバムタイトルで「Blues」と謳ってるだけあってブルージーな楽曲やブラックミュージック要素を取り込んだ楽曲も多々押さえられているのも特徴的。

 

 ひとえにブルージーといっても、ふざけすぎな関西弁歌詞とシュール極まりないボーカルが狂乱する『もうかりまっか』といった、B’zの作品ではもはや恒例となった イカしたギャグナンバーもあったりするので、作風が大きく変わろうとも そんな取っつきにくいなんてことはないかなと。

 

 てゆーか『LADY NAVIGATION』のリメイク曲はいらなくね!?あのナビっとした眩いダンサブル曲が シブッシブで泥臭いブルージーな楽曲に変貌しちゃってますけど、ぶっちゃけくそダりぃ!ミニアルバム『MARS』で一度リメイクしてんのに、何故またこれを再演しようとしたんでしょうか。よくわからんです。

 

 その他にも、テレビや雑誌の情報に翻弄される輩をパンキッシュなサウンドに乗せて豪快かつ陽気に皮肉る『おでかけしましょ』、元彼が忘れられずにいる彼女の半端な優しさに首を絞められる男の心模様を 悲しげながらどこか明るいタッチで描写した『MY SAD LOVE』、いくらなんでも弾けすぎなファンキーアップ『ヒミツなふたり』、といったポップさが垣間見える楽曲もあったりして、ハードロック路線をさらに深く突き詰めつつも、思いの外バラエティに富んだラインナップでリスナーを圧倒&魅了してくれます。

 

 これまでの経験で培われた自信と極限にまで高まった意欲の賜物とも言うべき会心の一作。好き嫌い、賛否両論が激しい作品ですけど、わたしは断然支持派ですよあったりまえだ。「暗黒時代」呼ばわりされているなんつー前評判を鵜呑みにしてはならない。
 あと、このアルバムから時代を感じる音使いが激減したので、アーリー90s特有の音に苦手意識がある人でも この作品なら聴けるかも。

 

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