アルバム感想『NINTH』/ the GazettE


『NINTH』/ the GazettE
2018.6.13
★★★★★★★★☆☆

01. 99.999
02. Falling -NINTH MIX- ★★★★★★★★☆☆
03. NINTH ODD SMELL ★★★★★★★★★☆
04. GUSH ★★★★★★★★☆☆
05. THE MORTAL ★★★★★★★★☆☆
06. 虚 蜩 ★★★★★★★☆☆☆
07. その声は脆く ★★★★★★★☆☆☆
08. BABYLON`S TABOO ★★★★★★★★☆☆
09. 裏切る舌 ★★★★★★★★☆☆
10. TWO OF A KIND ★★★★★★★★☆☆
11. ABHOR GOD ★★★★★★★★★☆
12. UNFINISHED ★★★★★★★★☆☆

 

 

 約3年ぶりとなる9thアルバム。

 前作は、ストイックでドス黒くて息苦しくて まるで耳鼻口に砂鉄を隙間なく詰め込まれたような感覚になるアルバムでしたが、今回はバンドの佇まい的にもサウンドプロダクション的にもラフで通気性が良さげ。それでいて何よりも特徴的なのが、これまでのガゼットを総括したようなラインナップであること。それこそ、大日本異端芸者時代を想わせる楽曲もあったりして、その手のスタイルを避けていた感じすらあっただけに これには驚き。

 

 恒例のインスト『99.999』から早速これまでの総括を計っており、過去作に収められたSEがふんだんに盛り込まれてます。のっけから『DIM』(4th)で使用されたSEを想起させる音が飛び出してきて実に気持ち悪い幕開け。

 

 んで リード曲である『Falling -NINTH MIX-』もまさにそういった総括的な作品の象徴といった感じで、『TOXIC』~『BEAUTIFUL DEFORMITY』(5~7th)あたりのガゼット後期を想わせるデジタル要素を導入したHR/HMサウンドと、それ以前の作品で特に目立っていたヴィジュアル系たる持ち味を集約したようなナンバー。

 

 

 紆余曲折あったガゼットの歴史を総括したような歌詞と それに合わせて迷路をさまよってるかのような曲展開が耳を惹く『NINTH ODD SMELL』や、「ふぇいほおおおおおぉぉぉぉ!!!!!」なるグロウルが火を吹くライブコンシャスな『GUSH』、退廃的ヘヴィロック『THE MORTAL』、不気味な呟きもグロウルも妖艶な歌メロも全部演ってのけたHR/HMナンバー『TWO OF A KIND』も、ガゼット後期のサウンドを今の彼らでスマートにアップデートしたような楽曲。前作で発揮した演奏のアグレッションやシャウト・グロウルの迫力をダウンさせることなく、デジタル要素を纏いながら風通しよくプロダクトされてること、そして最近では薄れかけていたヴィジュアル系っぽさが歌メロから醸し出されてるのがいいですな。

 

 ここ最近のガゼットには珍しい シャウトなしのクリーンボーカル一本による疾走V-ROCK『虚 蜩』、今までのガゼットにありそうでほとんどなかった淡いヴィジュアル系バラード『その声は脆く』、『DIM』(4th)よりも暗黒で『DOGMA』(8th)よりは幾分ライトなヘヴィロック『BABYLON`S TABOO』といった中盤の楽曲も どこか過去の作品に通ずる香りを含んだ楽曲でありつつ、アルバムの前半後半とは毛色が異なる+アルバム全体の緩急を意識した施しもあったり。通しで聴くとガゼットらしい淀んだグラデーションが感じ取れます。

 

 そして『裏切る舌』『UNFINISHED』ですが、これらの根底にあるのは紛れもなく大日本異端芸者時代のガゼット。前者のドロドロしい感触やツタツタビート、後者のしみったれた歌謡メロに淡い哀愁を纏った疾走サウンド。ぶっちゃけ私は異端時代にそんな強い思い入れはないですけども、すでに封印された過去だと思っていただけに この手の楽曲が顔を覗かせてきたことにはくりびつてんぎょう。

 

 『ABHOR GOD』はどう聴いてもlynch.やん。「え、どの辺がlynch.?」ってな問いに対して「この辺が…」「あの辺が…」と いちいち指摘するのもアホらしくなるくらいにまんまlynch.という、そんな熱狂メタルコアナンバーであります。これまでにも、スリップノットだのリンプだの、DIR EN GREYに黒夢と、インスパイアされてる感丸出しナンバーを多々ぶっ込んできた彼らですが、いやいやそんなトコまで律儀に総括するんかいと。

 

 つーことで、今回はなかなか面白かった。今まで曲単位でもアルバム単位でも実験やチャレンジといった感じが多分にあったけど、今回は大まかなテーマや狙いみたいなものを設けつつも鳴らしたい音を自然と鳴らせている感じがするし。やっと技術がアイデアに追い付いてきたっていうかね。

 

スポンサーリンク




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です