アルバム感想『真っ白なものは汚したくなる』/ 欅坂46

真っ白なものは汚したくなる (Type-A)(DVD付)
真っ白なものは汚したくなる (Type-B)(DVD付)
『真っ白なものは汚したくなる』/ 欅坂46
2017.7.19
★★★★★★★★☆☆

[DISC-1 (Type-A,B)]

01. Overture
02. サイレントマジョリティー ★★★★★★★★★☆
03. 手を繋いで帰ろうか ★★★★★★★★☆☆
04. キミガイナイ ★★★★★★★☆☆☆
05. 世界には愛しかない ★★★★★★★★☆☆
06. 語るなら未来を… ★★★★★★★☆☆☆
07. ひらがなけやき ★★★★★★★☆☆☆
08. 二人セゾン ★★★★★★★★★★
09. 制服と太陽 ★★★★★★★★☆☆
10. 誰よりも高く跳べ! ★★★★★★★★☆☆
11. 大人は信じてくれない ★★★★★★★★☆☆
12. 不協和音 ★★★★★★★★★☆
13. 僕たちは付き合っている ★★★★★★★☆☆☆
14. エキセントリック ★★★★★★★★★★
15. W-KEYAKIZAKAの詩 ★★★★★★★★☆☆

[DISC-2 (Type-A)]

01. 月曜日の朝、スカートを切られた ★★★★★☆☆☆☆☆
02. 渋谷からPARCOが消えた日 ★★★★★★★★★☆
03. 少女には戻れない ★★★★★★★★☆☆
04. 乗り遅れたバス ★★★★★★★★☆☆
05. 東京タワーはどこから見える? ★★★★★★★★☆☆
06. 100年待てば ★★★★★★★☆☆☆
07. 沈黙した恋人よ ★★★★★★★★☆☆
08. チューニング ★★★★★★★★★☆
09. 青空が違う ★★★★★★★☆☆☆
10. 夕陽1/3 ★★★★★★★★☆☆
11. 猫の名前 ★★★★★★★★☆☆
12. 太陽は見上げる人を選ばない ★★★★★★★☆☆☆
13. 危なっかしい計画 ★★★★★★★★☆☆
14. 自分の棺 ★★★★★★★☆☆☆

[DISC-2 (Type-B)]

01. 月曜日の朝、スカートを切られた ★★★★★☆☆☆☆☆
02. 君をもう探さない ★★★★★★★★★☆
03. 渋谷川 ★★★★★★★★★★
04. 夏の花は向日葵だけじゃない ★★★★★★★★★☆
05. 1行だけのエアメール ★★★★★★★★★☆
06. AM1:27 ★★★★★★★★☆☆
07. ここにない足跡 ★★★★★★★★☆☆
08. 永遠の白線 ★★★★★★★☆☆☆
09. バレエと少年 ★★★★★★☆☆☆☆
10. 僕たちの戦争 ★★★★★★★☆☆☆
11. 微笑みが悲しい ★★★★★★★☆☆☆
12. 割れたスマホ ★★★★★★★☆☆☆
13. 危なっかしい計画 ★★★★★★★★☆☆

 

 

 秋元がプロデュースを手掛けている女性アイドルユニット・欅坂46の1stアルバム。
 初回盤A,B、通常盤とあるのですが、総収録曲数はなんと40曲!(初回盤A,Bでコンプできます)まあそのうち24曲は既存曲なんですけど、それでもまっさらな新曲が16曲!いやいやこれは破格の待遇ですよ。本作の直後にリリースされたNMBのアルバムに新曲が4曲しかなかったことを考えると余計に凄い。

 

 楽曲の大まかな傾向としては、姉妹グループにあたる乃木坂46が女性アイドルという偶像を追求あるいは美化したものが多いのに対し、欅坂は主にティーンエイジャーが抱く葛藤や反逆心など、歪でダークな側面をクローズアップしているものが目立つというか(その類の楽曲が大量にあるわけではない)少なくとも本作に関してはその手の楽曲が核となっている感じがします。

 

 なんたってリード曲が『月曜日の朝、スカートを切られた』ですからね。「スカートを切られた」だけでもショッキングなのに、そこに「月曜日の朝」という憂鬱なキーワードまでプラスされちゃってるという。そして楽曲もアイドルポップスにしてはやけに血生臭いイントロで、音だけ聴くと若干サスペンスチックな感じが(言い過ぎ)。てゆーかこの曲はやっぱパフォーマンスがややミュージカルめいてる映像とセットで聴いてこそだと思うんで、音だけだと正直そんなに面白味はないです。背筋がゾッとするようなイントロだけインパクトがあるっていう。

 

 本作やグループの特徴・象徴でもある、ティーンエイジャーが抱く葛藤や反逆心を吐露し 彼らを啓蒙した退廃的ナンバー『サイレントマジョリティー』を筆頭に、
どう聴いてもガルネクでしかない『不協和音』、絶望だの何だのと大袈裟に悲劇のヒロインぶった陰性ロッキッシュミドル『大人は信じてくれない』、大人になることに対して割り切りをみせているシリアスアップ『君をもう探さない』、10代が抱く(抱いていた)孤独や寂しさにフォーカスを宛てたEDM導入ナンバー『東京タワーはどこから見える?』『AM1:27』ネジはずれ気味な歌詞と音符を詰め込み放題な平歌が耳を惹くロッキッシュアップ『危なっかしい計画』などがありますね、本作の核を担ってる楽曲といったら。

 

 あと、収録曲の特徴としては、歌謡曲っぽい歌メロが多めってことと、サウンドプロダクションがいまひとつで薄暗くぼやけてるものがちらほら見受けられるということ。前者については善し悪し云々というアレではないけど後者は…。といっても、48Gや乃木坂と音楽性自体はさほど大きな差があるわけじゃないですからね。歌詞、パフォーマンス、次いでメロディが優先される一方で、歌唱、アレンジ、サウンドプロダクションはどうしても疎かになりがち、という傾向が欅坂でも露になってます。

 

 『少女には戻れない』のソウルテイストアレンジとか本当もったいない。上手くやれば薫り高き上質ポップスになり得ただろうに。なんというか、味わい深きコーヒーに大量の水をぶっこんで薄めてしまったような感じ。思い出も香りもなにもかも薄れろと言わんばかりのプロダクションときたら、ああもう…。

 

 そして本作にはソロ曲やユニット曲も多数収録されてます。
 まずは平手友梨奈ちゃん。『渋谷からPARCOが消えた日』『自分の棺』といった おおよそ15,6歳の女子がひとりで歌うもんじゃない系の楽曲を歌ってます。

 『渋谷からPARCOが消えた日』は7,80年代テイストのアッパーな歌謡曲ver.2016といった趣のナンバーでコレはカッコいい。

 『自分の棺』はどんだけどん底ダークネスな楽曲なのかと思ったら、単に辛気臭くて泥臭いだけのスローテンポな歌謡曲でした。表現力に長けたパフォーマンスを思えばボーカルはぶっちゃけ大したアレではない(もちろん歌唱力とは別)ので物足りなさはありますが、過度にどん底ぶりを期待してなければ悪くない曲。歌詞は予想通りソウルジェム真っ黒な内容。

 

 長濱ねるにもソロ曲が用意されてまして、開放的な純正アイドルポップス『100年待てば』がそれにあたります。ボーカルはぶっちゃけ下手ですが、ゆるふわなボーカルは一聴しただけで即インプットしちまうくらいの強烈なキャラクター性を有しているのでこれは強味。カウンターサイド担当とかではないけど、欅坂のパブリックイメージと雰囲気がかけ離れているのもポイントですね。

 

 そして、今泉佑唯ちゃん、もとい、ずみこ。彼女は真っ当に歌が上手いです。まだ垢抜けてない感じがあるものの、『夏の花は向日葵だけじゃない』では欅坂きっての歌唱のみならず、その垢抜けなさやナイーブさ、いじらしさが活かされていて胸にじんとくる仕上がりに。

 

 さらに、ずみこと小林由依ちゃんの二人によるユニット・”ゆいちゃんず” の楽曲が3曲。
 タイトルの割りになんだか田舎臭い仕上がりの ふるさと系フォーク『渋谷川』『不協和音』のカップリングだけに表題曲と相反するタイトリングがなされた素朴で軽快な70sフォーク『チューニング』、ちょっと牧歌的な雰囲気のミドルスロー『1行だけのエアメール』と、どれもいい曲なのですが、いちばんハモりが綺麗なのが『1行だけのエアメール』。小林由依ちゃんが歌唱において上手いことオリジナルカラーを打ち出す術を身に着けたことが窺えます。

 

 その他、『青空が違う』『割れたスマホ』『ここにない足跡』などを歌う “青空とMARRY” とか、『沈黙した恋人よ』を歌う “りまちゃんちっく” とか、前述の『少女には戻れない』を歌う “五人囃子” とか、『僕たちの戦争』を歌う “FIVE CARDS” とか、『バレエと少年』を歌う “156” とか、『微笑みが悲しい』を歌う “てち&ねる” とか、他にも『猫の名前』(菅井友香、守屋茜、加藤史帆、佐々木久美)や『AM1:27』(小林由依、鈴本美愉、平手友梨奈)みたくユニット名を設けられてないものもあったりしますけど、そんな感じにユニットが多々あります。が、これは各メンバーのパフォーマンスあってこそのユニットであって、グループ毎にボーカルの個性が特別際立ってるわけじゃないので、音源にそれを求めるのは野暮ってもんです。
 まあ “青空とMARRY” のまるで手骨にヒビが入って思うように拳に力が入らない感じのボーカルワークはある意味個性というか存在感は際立ってますけどね。そして数あるユニットの中でいちばん坂道っぽいです。か細い感じとか。

 

 数多ある本作の楽曲の中でも特に良いのが『エキセントリック』。これはリード曲やデビュー曲と並んで本作を象徴する名曲でしょう。
 斜に構えたような歌詞は言ってしまえばただ単に中二病を患ってるだけと片づけられてしまう内容なのですが、それに見合った冷涼でダンサブルでちょっとシャレオツなトラックがカッコいい上に プロダクションも上々。台詞さながらのラップや歌メロ、コーラスワーク、歌詞とアレンジがガッチリ合致してるし、これはちょっとした新境地開拓か!?それとも発明品と称すべきか!?

 

 あと『二人セゾン』もすごくいい。これは2010年代のアイドルクラシックと呼んで然るべきナンバーですよ。清々しく感傷的なメロディ、それを やや硬めながらも彼女たちなりに丁寧になぞろうとするボーカルが一切の菌を寄せ付けないほどに清楚かつ清潔な響きでこれ絶品なり。サビ締めの「ふ↑↑た↓り↑セゾ~~~~ン♪」とか、チューインガムのCMに起用してもいいくらいにお口の恋人感が半端ない絶大なる清涼感・爽快感。結成から1年3か月、デビューから僅か8ヵ月弱にして早くも坂道アイドル極まっちゃってます。

 

 アイドルらしい側面をクローズアップした楽曲や健全な女子中高生的な楽曲も少なからずあるものの、それによって運営側がパブリックイメージとして根付かせた 歪で陰を帯びた側面の存在感がより際立つという。

 作品全体においてストーリー性とか意識してるのかどうかは分からんけど、グループの大まかなスタンスやコンセプトを作品に込めることは出来てると思うし、それによって作品がなんとなく纏まりがあるように収められてはいるけど、やっぱり一曲一曲の作り込み様に差があるのはどうもなあ。『二人セゾン』『エキセントリック』の様なしっかりしたプロダクションが全体に行き渡っていればより良いアルバムになったのに、そこが勿体ない。

 

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