アルバム感想『HEART』/ L’Arc-en-Ciel

HEART
『HEART』/ L’Arc~en~Ciel
1998.2.25
★★★★★★★★★★

01. LORELEY ★★★★★★★★★☆
02. winter fall ★★★★★★★★★★
03. Singin’ in the Rain ★★★★★★★★☆☆
04. Shout at the Devil ★★★★★★★★★★
05. 虹 (Album Version) ★★★★★★★★★★
06. birth! ★★★★★★★★★☆
07. Promised land ★★★★★★★★★★
08. fate ★★★★★★★★☆☆
09. milky way ★★★★★★★☆☆☆
10. あなた ★★★★★★★☆☆☆

 

 

 約1年2ヵ月ぶりとなる5thアルバムで、ドラマーがsakuraからyukihiroに交代してから初となるアルバムでもあります。

 

 ジャケ写が表してる通り、うっすらと霧に包まれたようなムードを纏ったような印象の作品。霧に包まれてるっていうか、人造人間みたく洞窟の奥底に隠されていたシェルターから出てきて、その時に発生した煙にまみれてる4人を押さえたショットって感じもしますね。俺たちは孫悟空を倒すために目覚めた的な。よくわからんけど。

 

 そして、これまでの作品と違い中性的かつ耽美的な要素は幾分薄れており、hydeの男性的な魅力やロック的な音触りが前面に表出するようになりました。豪華絢爛なアレンジが施された前作に対し、比較的シンプルなサウンドで挑んでいることが大きく影響してるのかも。

 

 また、yukihiroがドラマーを務めるようになったことで、これまでの硬派でカッチリしたドラムサウンドが、トコトコと軽やかさがありつつもソリッドで力強さがしっかり備わったインナーマッスルなサウンドへと変化しています。ポップな曲、ハードな曲、ダークな曲、美しい曲、どの楽曲においても軽快なグルーヴ感を核にして柔軟に機能していますが、中でもライブコンシャスなシャッフル系ロックナンバー『Promised land』でのドラミングがべらぼーにカッコいい!ラスサビ手前の躍動感たっぷりなプレーが特に!

 

 本作のイメージを端的に象徴する『LORELEY』は、退廃的かつ雄大な音世界を繰り広げる楽曲。まるでhydeが神の子であることを示すかのようなボーカル、さらにはhyde自身が演奏したというサックスが楽曲の世界観により一層の深みを持たせています。歌詞はぶっちゃけ全体的になんのこっちゃサッパリといった感じですが、「小さな影に怯える私が~」のくだりが目を惹きますね。大いなる河との対話。常人離れしてます。hydeをより神の子たらしめるフレーズでもあり、実際にライン川を訪れた際にインスパイアされた事象が集約されたフレーズでもあります。

 

 演奏面でダントツでカッコいいのが『Shout at the Devil』。4人の本領がいかんなく発揮された 当時のラルクきってのハードさを誇るロックナンバーで、ヒンヤリとした狂気と男気が振る舞われたhydeのボーカル、独特の軽快さがありながらもアグレッシブに駆け抜けるyukihiroのドラム、そして スリリングかつタフな鳴りで楽曲をリードしているtetsuのベースと、要するに全パートがもれなく見せ場でしかない楽曲。あ、いけね、kenのギターが抜けてた。

 

 そして、シングル曲2曲が掛け値なしに素晴らしい。
 再始動シングル『虹』は破滅と蘇生を歌い上げたダークでゴシカルなロックナンバー。重々しくも美しいサウンドは、綴られたフレーズと相俟ってとても感動的な響き。そしてブリッジパートはまじエヴァンゲリオン。

 んでそれに続くシングル『winter fall』は新生ラルクのイズムとポップスとしての普遍性を見事に兼備した煌びやかなポップソング。颯爽と駆け抜けるベースとドラム、雪景色のキラメキを体現したギター、クールさ、美しさ、儚さを内包したボーカル、そして楽曲の情景をより一層明確に描写するストリングス&ホーンアレンジ、んでさらにさらに言っちゃうと、MVで広大な雪原の上を踏みしめるように歩く4人の姿が、ここからまた始めていくんだと決意を新たにして動き出してるようなイメージで音も映像もとにかく素敵すぎるんだな。そう、それはまるで孫悟空の命を狙って歩き出した人造人間17号達のように…人造人間のくだりはもういいか。

 

 その他、スウィングするピアノがお洒落な西洋映画的な印象を与えるジャジーなミドル『Singin’ in the Rain』、清々しさと眩さに満ちた疾走ポップロックナンバー『birth!』、ベースの鳴りが実に官能的で歌い出し前から思わず発情してしまいそうになる退廃エロのミドルロックナンバー『fate』、tetsuの少女趣味がストレートに打ち出されたアイドルソング的メロのどポップナンバー『milky way』、ラブロマンス系映画のエンディング的なイメージの、オーケストラアレンジてんこ盛り甘々バラード『あなた』と今作も名曲・佳曲揃い。

 

 発売当時ガッツリ聴きまくって未だに愛聴しているアルバムなので個人的な思い入れも一入といった感じなのですが、我々世代のみならずサトリ世代にも響く一枚なんじゃないでしょうか。

 

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