西野カナ 全シングルレビュー Vol.1

 

 祝!西野カナちゃんCDデビュー10周年!

 ということで、西野カナちゃんの全シングルレビューとかやっちゃおうカナなんて思っとります。ただ、デビューして10年で、その上 一度も活動休止をすることなくコンスタントにシングルリリースをしているので、記事をいくつかに分けてアップしていくことにします。今回はデビュー曲から5thシングル『遠くまで』までをレビューします。

 

 

I
1st SINGLE『I』(2008.2.20)

01. I ★★★★★★★☆☆☆
02. In Stereo ★★★★★★★☆☆☆
03. Just a friend ★★★★★★★★☆☆

 

 2005年に開催された『スーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックス』に参加し、応募総数約40000人の中から見出されて2006年にSME Recordsと契約を結ぶわけですが、そこからデビューにたどり着くまでに約2年もの歳月を費やしており、スタートラインに立つだけでも非常に道のりが険しかったようです。

 ということで、満を持してリリースされたデビューシングル!『I』ですが、初っ端から凄いことになっちゃってます。ここ最近どころか、ケータイ世代の歌姫などと謳われていた頃の西野カナちゃんともまるで様相が異なるマイナーメロのガールズロックってだけでも意外性十分で耳を惹くのに、変拍子を導入したサビメロとか、ブレイク以降とは明らかに違う言葉のチョイスや重い女丸出しの内容など、抜群のインパクトを誇ってます。楽曲を提供したのは、安室ちゃんの『Love Story』を手掛けたオーストラリアのSSWであるNERVO(Miriam Nervo, Olivia Nervo)。

 CD発売に先駆けて日米同時にダウンロード版が配信されたり、さらにそれよりも前に『*I*~Merry Christmas ver.~』が先行ダウンロード販売されたり(!?)と、なんか大々的な販売戦略が繰り広げられていたようですが、オリコンチャート的には最高位155位、登場週数1週と全く振るわなかったそうで。

 

 

 カップリングの『In Stereo』はUKロックテイストのけだるい全英詞ナンバー。こちらも表題曲と同様にNERVOが制作に携わっています。サウンドプロダクションがいまひとつでリズムがスカスカなのがネックではありますが、アンニュイな歌唱や英語の発音の良さなど、表題曲とはまた違った歌唱面での魅力が発揮されています。私的には表題曲よりもこっちのほうがお気に入りで、カナちゃんのボーカルとの相性も良好だと思ってるんですが、これ以降この手のUKロックナンバーは一切姿を現すことはなく。

 

 一方『Just a friend』はブレイク期のカナちゃんのイメージに近い物憂げミドルR&Bナンバー。上記2曲以上に歌唱の不安定さや垢抜けなさが散見されますが、それが結果として歌詞における「友達のラインを越えられない切なさ・もどかしさ」の効果的な表現に繋がっているので無問題、てゆーか寧ろbest way。

 

 

glowly days
2nd SINGLE『glowly days』(2008.4.23)

01. glowly days ★★★★★★☆☆☆☆
02. celtic ★★★★★★★☆☆☆
03. Yami Yami Day ★★★★★★★☆☆☆

 

 前作よりわずか2か月という短いインターバルでリリースされましたが、作風はガラッと変わり、男性ウケを狙ったかのようなアイドルポップスに着手。ようやくスタートラインに立てたというのに早くも迷走しちゃってます。デビューまでの準備期間にソニーは一体何をやっていたんでしょうか!?トラックがチープだし、そもそも全体的に華がなさすぎだし、ハッキリ言って売れるわけがないんですけども、見てくれがギャルっぽい女の子があどけなさ残る声で健気にかつ優し気にキラキラしたポップソングを歌っている様は音源だけでも思わずモエっときちゃうわけですよ。高音が若干キツそうとかまだまだ垢抜けてないとか隙は多々あるものの、甘味ある声質は当時から魅力的だったし、やっぱり英語の発音の流暢さが異様に際立ってるっていう。にしても、いろんな意味で煮え切らないこの楽曲(てかブレイク前の全シングル曲)を黒歴史化せず、オリアルにもベストにもしっかり収録させちゃう西野カナちゃんの心意気マジ素敵!

 

 

 カップリングの『celtic』は1stアルバムにも収録されている楽曲で、ブレイク期のイメージにドンピシャの切なさ溢れすぎなスイーツ系ミドルR&B。てことで、会いたがり症候群を患った歌詞が早くもここで登場。まあトラックが表題曲と同様にチープな作りで歌唱も垢抜けなさが良くも悪くも際立っちゃってる感じなのですが、路線としては男ウケを狙うよりこの曲の系統で進んだほうがベターだなというのは前作と今作を聴いただけでももう明白。

 

 で、『Yami Yami Day』はアルバム未収録曲。R&B要素も絡めたカジュアルなポップナンバーであります。のっけから「うまくいかないいつも もう全部やだ」と愚痴り、「甘い夢は朝目覚めて消える」「止めても止めても鳴り出すアラーム」「苦いコーヒー流し込み」といちいちネガティブな言葉を並べていて本当に病みまくりです。と思いきや、ノリが軽快なオケに倣うかの如く 最後は「雨もいつかは止むんだし 明日に期待しよう」という深く考えないでMAICCA~♪に着地するお気楽ぶりをみせていて なんだそりゃって感じなんですが、そこがまた可愛いのよなっていう。

 

 

Style.
3rd SINGLE『Style.』(2008.8.13)

01. Style. ★★★★★★★★★☆
02. Stamp ★★★★★★★☆☆☆
03. September 1st ★★★★★★★★★☆

 

 アニメ『ソウルイーター』のEDという好タイアップを獲得したはいいが、チャートアクション的には思っきし撃沈。それでも最高位57位と、初めてベスト100入りすることは出来たんで、全くタイアップ効果がなかったわけでもない様子。
 前作に続き男ウケを狙った的なアイドルポップス系なんですが、今回はカラフルで躍動感があるキュートなミドルアップナンバーで、これはかなり気に入ってます。前作とはまた違った萌え要素が備わってるし。まあでも売れるわけないっすよね。男ウケを狙ってる割には突き詰め方が中途半端だし、まだチープさが抜け切れてないし、ソニーさん絶賛迷走中というほかない楽曲ですな。でも今思えばこれで良かったのよね。仮にそこそこでもヒットしてたらケータイ世代のカリスマには絶対なってないし、やっぱりブレイクする前に契約終了になっちゃってたんじゃないかなって。

 

 

 カップリングの『Stamp』は浮遊感あるエレクトロポップナンバー。このふわふわしたサウンドがカナちゃんの甘ったるいボーカルと相俟って、耳心地がいい反面、頭がぼけぇ~っとしそうで運転中に聴くのはちょっと危うい。ブリッジ部分の「Neck?Shoulder?Breast?Arm?Hip?Leg?」は、英語教育でお馴染みの歌「Head, Shoulders, Knees and toes (あたま、かた、ひざ ポンの歌)」を思い出させます…ていうか絶対これが元ネタよね。にしても「大好物には唾つけとくでしょ」というフレーズ、ぶっちゃけ何を言ってるのか全く以て理解が出来ません。動物か!虫さんか!んなもん分かるか!私人間ですねん(酒井藍風)

 

 んで『September 1st』はちょっとオシャレぶったミドルテンポのエレクトロR&B。冒頭のギターループから早速シャレオツ感を醸し出してます。んで言葉の乗せ方がリズミカルで、これがスタイリッシュなイメージ演出に有用しておりば。歌詞は「歩幅、横顔も、ちょっかい、JOKEも全部愛しい ずっとStay with me.」といった惚気ものですが、これまでのカナちゃんの楽曲に比べて洗練されたサウンドが甘ったるさを上手く回避。1stアルバムに収録されなかったのが不思議に思えるくらいの隠れた佳曲であります。

 

 

MAKE UP
4th SINGLE『MAKE UP』(2009.1.28)

01. MAKE UP ★★★★★★★★★★
02. Kirari ★★★★★★★★☆☆
03. Sherie ★★★★★★★★☆☆
04. MAKE ★★★★★☆☆☆☆☆

 

 2008年12月に「みえの国観光大使」に史上最年少で任命されたカナちゃんですが、その直後にリリースされた楽曲がこれですか!?ターゲットを同世代の女性に変更したのはいいが、こんなケバッケバなギャルに変貌しちまってて、もはや迷走じゃなく暴走。明らかにグレてるやんって感じの風貌ではありますけど、実はこれが何気に快作で、ファン人気もそこそこ高めなようです。これまでのカップリングでちょいちょいみせてきたエレクトロポップサウンドをグロッシーにメーキャップしたダンサブルな仕上がり。とは言いつつも、ジャケ写ほどケバいアレンジが施されてるわけじゃなく、陽性のメロディとギターの効果もあって聴き心地が思いのほか爽快なのが人気の秘訣か!?よくわからんが。ちなみにチャートアクション的にはあまり芳しくない結果に終わり、またしてもベスト100に入れず仕舞い。なんてこったい!

 

 

 『Kirari』は、オリジナルテイクに関してはアルバム未収録ですが、1stアルバム『LOVE one.』に短尺版が『*Prologue*~Kirari~』という名目で収録されてます。日差しがこぼれる清々しい朝を思わせる、爽やかキラキラなミドルナンバー。シンセストリングスが実に効果的で、恋する乙女の心情をこれひとつで見事に音像化しています。てか冒頭の「目覚めた morning sun」が何回聴いても「めざめぇ~タモリさーん♪」にしか聴こえん。

 

 『Sherie』は裏ベスト盤『Secret Collection ~RED~』のラストを飾った楽曲。『MAKE UP』以上に躍動感に溢れたキラキラポップナンバーであります。センチメンタリズムを内包しつつ突き抜けた歌メロが実に眩い。安っすい自己啓発フレーズが並ぶBメロの歌唱がやはり不安定気味なのですが、結果的に気持ちばかりが先走ってる感を表現できているようにも取れるので、これはこれでAlrightなんでは…って前にもこんなこと言ったような気が。

 

 『MAKE』は、イントロ聴いたときカナちゃんのフェイクが入ってなかったので『MAKE UP』のインストかと思ってたんですけど、表題曲の歌詞違いバージョンだったんかいと。オケはほとんど同じですけど、歌詞の内容は表題曲とは真逆でネガティブで、歌唱にも憂いが混じってます。それだけで楽曲のムードがガラッと変わっちゃうんすね。わたしは断然 表題曲派っすな。

 

 

遠くても feat.WISE
5th SINGLE 『遠くても feat.WISE』(2009.3.18)

01. 遠くても feat.WISE ★★★★★★★★★★
02. GIRLS JUST WANT TO HAVE FUN ★★★★★★★★☆☆
03. Saturday☆Night feat.Giorgio 13 ★★★★★★★★★★

 

 思い切ってギャルっぽく振る舞うも鳴かず飛ばずに終わってしまった前作からわずか2ヵ月後にドロップされたシングル。いよいよここから本格的にスイーツ系にシフトするわけですけど、さっそく名曲をドロップしちゃいましたか。プロデュースを務めたのは西野カナちゃん大ブレイクの立役者であるGiorgio Cancemi。ヴァイオリンを駆使したハートウォーミングなオケとカナちゃんのまろやかな歌唱の相性が良く、会いたがり症候群を発動しながらも、”寂しさ”と、それ以上に”愛しさ”を描写した遠距離恋愛詞がそんなサウンドと相俟ってジーンと心に響く一曲なのであります。スイーツ系、そして女性シンガー・フィーチャリング・ラッパー系への初参戦にしていきなり金字塔を打ち立てた西野カナちゃん。オリコンチャートでは最高位40位、12週ランクインと、CDセールス的にはやっとブレイクの兆しが見えてきた程度のチャートアクションですが、着うたフルではダブルプラチナ認定という偉業を達成した模様。レコード会社がお調子にのってターゲットをスイーツ層に絞ったことで、彼女の快進撃がいよいよ本格化するのであります。

 


 『GIRLS JUST WANT TO HAVE FUN』は、シンディ・ローパーの同名曲をサンプリング・カバーしたもので、西野カナちゃんがシンディのJAPAN TOUR(2008.9)でオープニングアクトを務めたのが縁で実現したものなんだとか。そんな経緯があってカタチになったこの作品がオリアルにもベスト盤(裏ベスト含む)にも未収録で、ブレイク寸前のシングルのカップリングという極めて地味な位置に収まるのみに終止しているのはなんとも不憫ではありますが、まあそれだけカナちゃんがビッグな存在になり、数多の名曲・佳曲を残してきたということの証左なんでしょうきっと。

 楽曲はモロにディスコです。イマっぽく仕上げつつも80sの香りもしっかり感じ取れる絶妙な着地点。んで楽曲の雰囲気がものっそく六本木チックだし、キラキラしてて尚且つギラギラもしてるし、さらには終盤で田母神智子、板橋瑠美、中井一恵、上田ミレイ、岩村綾乃といった女性モデル達がギャルギャルしいコーラスで参加してるし、とにかくリア充感がハンパない。なかなか良いカバーなんじゃないでしょうか。っていうか、これはパクリジナルはせず、ちゃんとカバーとして着手するんですね。まあ経緯が経緯だし。

 

 『Saturday☆Night feat.Giorgio 13』は、表題曲に続きGiorgio Cancemiが楽曲提供し、さらにはラッパーとしても参加してます。
 タイトルからして、チャラチャラでケバケバなクラブ系アップナンバーと想像しがちですが、そんなギャルギャルしい作風ではないのでご安心を。ただ、『Saturday☆Night』というワードに相応しい煌びやかさやウキウキ感を内包した心浮き立つポップナンバーであることに間違いはありません。Giorgio Cancemiが楽曲提供ということで、彼らしい実に軽い打ち込みリズムが敷かれてるわけですが、この曲に関しては「軽やか」に作用しており、ウキウキ感の演出に寄与しています。そして何といってもこの曲最大の魅力はカナちゃんのボーカル。可愛らしさといじらしさを滲ませた歌唱に思わずトキメいてしまうこと必至。ラスサビ手前のビブラート効かせたハイトーン歌唱もまた素敵なり。現時点でどのアルバムにも収録されていないのですが、オシャレで甘い雰囲気に包まれた隠れ名曲ですよこれは。私的には西野カナちゃんの全楽曲の中でいちばん好きな曲。

 

 


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