西野カナ 全シングルレビュー Vol.2

 西野カナちゃん全シングルレビュー。今回は6thシングル『君に会いたくなるから』~10thシングル『会いたくて 会いたくて』までをお送りいたします。

 

 

君に会いたくなるから
6th SINGLE『君に会いたくなるから』(2009.6.3)

01. 君に会いたくなるから ★★★★★★★★★☆
02. 失恋モード feat.WISE ★★★★★★★★☆☆
03. Again ★★★★★★★★☆☆

 

 スイーツ系にシフトした前作に続いて またもやこの路線で名曲を生んてしまったか。『君に会いたくなるから』のプロデュースを務めたのはJeff Miyahara氏で、彼もまた西野カナちゃん大ブレイクの立役者の一人であります。

 前作『遠くても』とは違うセツナ系の失恋ソングで、俗に言う着うた系ソングとかスイーツ系ソングの象徴みたいな楽曲ですね。ていうか早くもスイーツ系における完成形を極めてしまった感があります。カナちゃんの特徴の一つである会いたがり症候群もしっかり発動してるし、初期の西野カナちゃんを代表する一曲といってもいいでしょう。
 チャートアクション的には最高位こそ19位止まりですが、アルバムからの先行シングルでありながらも過去最高の順位とイニシャルを記録し、着うたフルではダブルプラチナ認定。この辺りからレコチョクなどのCMでこの曲が流れたり、Mステなどの音楽番組にも出演するようになったりとメディア露出が増え始めたんですよね。

 

 

 カップリングの『失恋モード feat.WISE』は、『遠くても』に続く 女性シンガー・フィーチャリング・ラッパー系ソング。今回はヒップホップ的要素を加味した美麗なミドルナンバーです。サビでは歌声張り上げすぎてカナちゃん酸欠寸前になっちまわないか心配になるほどだったんですが、素晴らしいですね、前年までのウィークポイントだった高音の危うさは改善されてきてます。そういうメタファーに頼らずとも切なさを出せているという。

 

 続いて『Again』は梅雨時にピッタリなジメジメしたミドルナンバー。憂鬱に侵された気だるいボーカルが楽曲の湿っぽさをさらに促進しています。しかし、これまた歌詞が凄いっすねえ。冒頭から「「どこ行きたい?」「どこでもいい」「何それ?」」と、恋に依存する女のウザさを惜しげもなく放出してるし。「「ねえ大事?」「大事だよ」「じゃあどっちが?」無理な選択 嘘でも私と言ってほしかった」という自身のウザさを自覚した上でのわがままフレーズといい、結局 別離という結末を迎えたラストの「思い出焦がれてた日 全部宝物にしてみたけど 君はガラクタにしたの?」なるフレーズといい、いちいちヘヴィすぎて、スイーツ層は激しく感情移入、男は戦慄・イライラ・さぶいぼ・じんましんモノという印象の二極化が容易に想像がつきます。知名度・人気の上昇だけでなく、カナちゃんのキャラクター性の確立もこの辺りから着々と進んでいることが窺えますな。

 

 

もっと・・・
7th SINGLE『もっと…』 (2009.10.21)

01. もっと… ★★★★★★★★☆☆
02. missing you ★★★★★★★★☆☆
03. Dear My Friends ★★★★★★★☆☆☆

 

 1stアルバム『LOVE one.』がヒットし、知名度や人気が絶賛上昇中のところでリリースされたシングル。CDチャートでは初のベスト10入りを果たし、フル配信ではミリオン認定と、ヒットの規模はさらに拡大。一気に着うた系歌姫の代表格にまで上り詰めた感があります。

 ということで、Giorgio Cancemiがプロデュースを務めた表題曲『もっと…』。前作『君に会いたくなるから』で打ち出したスイーツ系な作風を継承したミドルナンバーで、リリース時期に相応の秋色な装いで仕上げられてます。ファルセットやフェイクなど、至る所でカナちゃんの伸びやかなボーカルが憂いを伴って綺麗に響いており、デビューしてからというもの着実にスキルアップしていることがハッキリと窺えます。そして歌詞も心象描写がより具体的になり、その結果これまで以上にウザさ倍増。会いたがり症候群に加え、愛情表現をやたら求めたがるようにもなり、恋愛依存はエスカレーションする一方です。当時はこれが一部の界隈でトレンドだったというか、音楽番組でこの系統の楽曲が頻繁にピックアップされていたのよ。

 

 

 『missing you』は裏ベスト『Secret Collection ~RED~』にも収録された人気ナンバー。カナちゃんの良質なボーカルワークが映えるオーソドックスな哀愁R&Bで、こちらもスイーツ路線まっしぐら。終盤の転調で切なさが2割増。表題曲と違い、別離後の心模様を綴ったものですが、未練が拭えず ここでも会いたがり症候群が発動。ただ、表題曲ほど事細かな描写ではないのでウザさは若干控えめ。だからこそ、良曲ながらカップリングという立ち位置に収まってしまったんでしょうな。良くも悪くも『もっと…』のキャラはかなり濃いめですからね。

 

 『Dear My Friends』はアルバム未収録の楽曲。シケたムードの前2曲とは打って変わって、こちらは開放感あるピコピコハウスナンバー。「いつかみんなと笑顔で再会するためにも夢に向かって頑張ってるなう」みたいな内容で、友情ソングというより自分自身を鼓舞するような感じですね。当時のカナちゃんの心境をまんま綴った的な。極めて凡庸な楽曲ではあるけど、カナちゃんのボーカルのおかげでまあ良い曲。

 

 

Dear・・・/MAYBE
8th SINGLE『Dear… / MAYBE』 (2009.12.2)

01. Dear… ★★★★★★★★☆☆
02. MAYBE ★★★★★★★☆☆☆
03. Yours only, feat.WISE ~maison de m-flo~ ★★★★★★★★☆☆

 

 前作から1か月ちょっとという短いスパンでリリースされたシングル。今回もGiorgio Cancemiがプロデュースを務めておりば。
 『Dear…』はシングルでは初となるバラードナンバー。前作のようなシケたムードは皆無ですが、逆に今度は激甘です。初っ端から「じゃあねって言ってからまだ5分もたってないのにすぐに会いたくてもう一度」と、遠距離恋愛でもないのに今回も会いたがり症候群が発動されております。が、「平気だよって言ったらウソになるけど、大丈夫って思えるのは君だから」というフレーズからして会いたがりぶりはそこまで重度なものではなく、比較的まあ健全なほうなんじゃないかなと。完全にティーンエイジャー意識の歌詞ですけど、なんやかんやで私も少なからず共感しちゃうトコもあるし。まあ曲自体は至ってありがちなスイーツ系バラードですけど、マーガレット系少女漫画のヒロイン風情の健気で伸びやかな歌唱が耳を惹く佳曲であります。

 

 

 両A面扱いの『MAYBE』はミステリアスな雰囲気を纏ったダンスナンバーで、この手の楽曲がシングル曲として採用されるのは初めてのこと。つっても、言うほどエッジが効いてるわけでもなく、割かしキャッチーかつポップな着地なんですけども、タイアップ先であるMAYBELLINE NEWYORKのCMにはイメージがフィットしていてなかなかカッコいい。例によってこれもGiorgio Cancemiプロデュース曲。

 

 カップリングの『Yours only, feat.WISE ~maison de m-flo~』はm-floのカバー曲で、2009年9月にリリースされたm-floのトリビュートアルバムに収録されたものをまんま持ち込んだだけっていう。死別を越えてもなお貫き通す愛がテーマとなったバラード曲で、カナちゃんが普段歌っている楽曲よりも幾分シリアスな内容ではありますが、軽すぎず重すぎずの絶妙な塩梅で歌い上げています。そんなカナちゃんの歌唱のおかげで楽曲も軽薄にならずライトタッチな仕上がりに。ていうかWISEのラップって必要か!?関取風情の節回しはユニークで私的にはまあアリなんですけども、そもそもVERBALのラップパートが存在しない曲なのにわざわざラップパートを新たに設けた意図は一体なに?っていう。単に女性シンガー・フィーチャリング・ラッパーというフォーマットがちょっとしたブームになっているから、ということですか。

 

 

Best Friend
9th SINGLE『Best Friend』 (2010.2.24)

01. Best Friend ★★★★★★★★★☆
02. ONE WAY LOVE ★★★★★★★★★☆
03. 今夜はPARTY UP ★★★★★★★★★★

 

 前作から2か月ちょいというこれまた短いスパンでリリースされたシングル『Best Friend』。プロデュースはまたしてもGiorgio Cancemi。シングルではケータイ小説ユーザー向けな恋愛モノがやたら多かったカナちゃんですが、今回のテーマは友情。ということで、これまで通りスイーツ系ポップスの要素も押さえつつ、一般層へのアピールも図ったかのような麗しきミドルポップナンバーに仕上がっておりば。相変わらずマーガレット系少女漫画のようなイメージの歌詞ですけど、ターゲットを絞らないシンプルかついい意味で抽象的な描写で、これが大衆からの大いなる支持に繋がったんではないかと。甘酸っぱさとキラメキを帯びた楽曲は嫌味のない可愛らしさが感じられてなんだか胸キュンしちゃいますね。真っ当に良い曲。NHK紅白に出場した際に歌唱したナンバーということもあり、カナちゃんの全ディスコグラフィーの中でもかなり知名度・人気が高い楽曲であります。

 

 

 カップリングの『ONE WAY LOVE』はHIRO(Digz,inc)が楽曲提供した 甘酸っぱいミドルナンバーで、裏ベスト『Secret Collection ~GREEN~』にも収録されてます。友達のラインを越えられない切なさやもどかしさを 普遍的と紙一重なカナヤン節を効かせて ウザいくらい克明に描写した歌詞と、それを表出せず内側で燻り続けているような歌唱がいいっすな。ファン人気も高いし私的にもすごく好きな曲。

 

 そして『今夜はPARTY UP』は、タイトルが示す通りアゲアゲなクラブ系ナンバー。この手の楽曲となると歌詞はメッセージや自身の主張よりも完全にノリ重視になるので、中身が(より)ペラッペラになるのと英語詞が格段に増えるのが特徴。で、カナちゃんは英語の発音が流暢というのもあり この系統の楽曲もノリ良く躍動感たっぷりに乗りこなしてます。特に、パーティーのアゲアゲムードを牽引するかのようなBメロの歌いっぷりがイカしてる。本作以降もアゲアゲナンバーは多々制作されていますが、この系統だと私的にはこれがベスト。

 

 

会いたくて 会いたくて
10th SINGLE『会いたくて 会いたくて』 (2010.5.19)

01. 会いたくて 会いたくて ★★★★★★★☆☆☆
02. LOVE IS BLIND ★★★★★★★★☆☆
03. Grab Bag ★★★★★★★★★★

 

 2ndアルバムからの先行シングルでもある楽曲ですが、CDチャートで最高位2位、イニシャルと累計の両面で当時の最高記録を更新するばかりか、フル配信では2010年の年間1位(!)を記録するなど、この楽曲で以ていよいよ一般層を巻き込んでの大ブレイクを果たしたのでありました。

 ということで『会いたくて 会いたくて』。Giorgio Cancemiがまたしてもプロデュースを務めたスイーツ系失恋バラードの極北ともいうべきナンバー。「会いたくて会いたくて震える」というクリティカルヒットワードを筆頭に、「会いたいって願っても会えない 強く想うほど辛くなって」「誰より君の全てを知ってるのに でもどうしてもあの子じゃなきゃダメなの?」と、本当の意味でのキラーフレーズを乱れ打ちしてきやがります。っていうかキラーフレーズしかねぇよと言いたくなる歌詞です。『君に会いたくなるから』では「これからはもう前を向きたくて」と立ち直ろうという意思が窺えるフレーズがありましたが、今回はそういう希望が見出だせるフレーズが皆無でもはやどん底、このままリストカットしそうな雰囲気が漂ってますからね。そしてボーカルも、ゴスいジャケ写からイメージされる通りのメンヘラっぷりを発揮していて、これまた重症。いやあ突き詰めちゃってますね。加藤ミリヤも相当振り切っちゃってますけど、カナちゃんも中々。まあ個人的には特別そんな好きな曲ではないんですけども、インパクトのデカさという意味では今改めて振り返ってもやはり絶大。

 

 

 カップリングの『LOVE IS BLIND』は一転して躍動感ある爽快ハウスナンバー。プロデュースを務めるはHIRO(Digz,inc)。ファン人気が高いのも納得のコマーシャルなポップ感が備わった楽曲なんですが、歌詞はここでも会いたがり症候群が幅をきかせています。とんだ恋愛中毒ぶり。こんな開放的な聴き心地なのに相変わらず愛が重すぎます。

 

 そして『Grab Bag』はエキセントリックなクラブ系ナンバー。こちらは表題曲とは別の意味でかなりぶっ飛んでます。そもそも作風自体がカナちゃんにしては異端で驚きなんですが、Ke$haの『TiK ToK』をほぼまんまパクるという暴挙に出てしまってるのでありました。TAK MATSUMOTOもくりびつてんぎょうなパクリジナルの技術!まあ私は面白けりゃ何でもいいんですけども、何年も前にひっそりと発表されたニッチな楽曲じゃなく、当時世界で絶賛大ヒット中だった楽曲を堂々とパクるというこんなアバンギャルドな行為がまかり通ってることがとにかく脅威的。しかもクレジットを見たらカナちゃんも作曲に関与してるっぽいしね。しかし、このパクリジナルワークはこの後もちょくちょく発動することとなり、今回の一件は西野カナちゃんの新たなるお家芸のほんのプロローグに過ぎなかったのであった。

 

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