西野カナ 全シングルレビュー Vol.3

西野カナちゃんの全シングルレビュー。今回は11th『if』~15th『たとえ どんなに…』までをお送りします。

 

 

if
11th SINGLE『if』 (2010.8.4)

01. if ★★★★★★★★★★
02. I’ll be there ★★★★★★★★★☆
03. Beautiful ★★★★★★★★★★

 

 2ndアルバムが絶賛大ヒットしている中で間髪入れずにリリースされたシングル『if』。プロデュースを務めるのはやっぱりGiorgio Cancemi、いやいや またあんたかいと。
 久々のアニメタイアップ(劇場版『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ザ・ロストタワー』)がついた楽曲ですが、それが互いにとって有効に作用したかどうかは今振り返ってみてもぶっちゃけよく分からん。が、慈愛に満ちた歌メロを酸欠覚悟のハイトーンヴォイスで歌い上げ、さらにゴスペルでそのムードをより一層盛り上げるチャレンジングなアプローチは素直にいいなと思ったし、楽曲自体も世界中の誰よりきっと優しい気持ちになること必至の仕上がりでこれは凄く好きな曲です。父と子と聖霊の御名によってザ…アーメンって感じで。

 

 

 カップリング『I’ll be there』はディーヴァ系R&Bバラード。むやみやたらに情感を込めすぎることなく、凛とした佇まいで歌う様がふつくしいです。酸欠必至の歌い上げソングな表題曲とは歌唱スタイルが全く別モンですが、それゆえ結果的にカナちゃんの実力とフレキシブルさが如実に表れていますね。

 

 『Beautiful』は、タイトルだけ見ると美麗なバラードを想像しがちですが、それとは正反対といってもいいブリトニー風情のドラスティックなシャッフル系ダンスナンバー。トレンディなエレクトロサウンドをブイブイ効かせたサウンドがカッコよいです。んで、平歌では突き放すようなクールさで、サビではファルセットを交えて張り上げるような高音で聴かせるボーカルワークスが痛快っすね。やけっぱち同然で飛び道具を扱ってるわけじゃなく、真っ当にカッコよく乗りこなせているのはサスガ。表題曲でこの手の曲が顔を出すことはないでしょうけど、これもカナちゃんの立派な一面なのであります。隠れ名曲。カップリングで本性を曝け出すカナちゃんのスタイルが決定的なものになったのはこの辺から。

 

 

君って
12th SINGLE『君って』 (2010.11.3)

01. 君って ★★★★★★★★☆☆
02. Christmas Love ★★★★★★★★☆☆
03. GIRLS GIRLS ★★★★★★★★★★

 

 表題曲の『君って』は、初のドラマタイアップがついたハートフルなバラード。SAEKI youthK提供曲ということで、なんと今回はGiorgio Cancemiが関与していない!表題曲で彼が絡まなかったのは6th『君に会いたくなるから』以来 実に約1年5ヵ月ぶりのことだそうで。ちなみにカナちゃんにとって最大のヒットシングルがこの曲。
 詞的にも曲的にも、もはやスイーツ系という括りを越えた いい意味で普遍的な優しさラブソングです。ビブラートが炸裂した歌唱がMAXなヌクモリティを有して胸に溶け込んできます。はあ西野カナちゃんとっても温かい子。あまりにハートウォーミングゆえに、「おおオマエの胸で窒息したい」とベッタリ寄り添いたくなっちゃうほど。

 

 

 カップリングの『Christmas Love』はGiorgio Cancemiが手掛けた その名の通りのクリスマスソング。素直に可愛らしいミドルポップな楽曲ですけど、こういう正統派なラブリーソングってシングル・アルバム・カップリング通してこれが初なんですよね。もっと早くから手をつけりゃよかったのに今まで何やってんだ、こんなくっそ可愛いカナちゃんを捕まえて。

 

 『GIRLS GIRLS』は過激な実験に挑んだカオティックナンバー。ミステリアスなムードを纏ったヴァースからの攻撃性をむき出しにしたフックという流れはもちろん、それ以前に個々のパーツが既にパンチ効きまくり。『Grag Bag』や『Beautiful』に比肩するほどのエッジーさを放っていますが、ライブでどうノッたらいいのかサッパリわからん、という意味ではその2曲よりも曲者的な存在。にもかかわらず裏ベストに収録されちゃってるってことは意外とこれってファン人気が高い曲なんか!?じぇじぇじぇっ!??カップリングの女王という称号に箔をつけた強烈な珍曲。

 

 

Distance
13th SINGLE『Distance』 (2011.2.9)

01. Distance ★★★★★★★★★☆
02. beloved ★★★★★★★☆☆☆
03. Call Me Up ★★★★★★★★★★

 

 MATS LIE SKARE & FAST LANEなるチームがプロデュースを務めた『Distance』は表題曲としては約2年ぶり、ブレイク以降ではなんと初となるアップテンポの楽曲。フロア寄りのサイバーアレンジが施された開放的なキラキラサウンドを展開しつつも骨格はJ-POPで、それが決してチープにならずトレンド感をもって昇華できているのがよいです。歌詞は今回も恋愛中毒から抜け出せないカナヤン節全開ですが、衝動に駆られた的なフレーズが能動的なサウンドと相俟ってなんとなくポジティブっぽく聴こえる不思議。好きな曲です。飛び道具的な感じじゃなく、「いや、こういうのも普通に出来ますけど?」的な感じでサラッとやってのけてるのもいいっすな。

 

 

 カップリングの『beloved』は瑞々しさ溢れるミドルポップナンバー。カナちゃんの気張らない歌唱からほんのり滲み出る可愛らしさが魅力的であります。歌詞はタイトル通り一途な愛を少女漫画タッチで大仰に綴っており、随分とあっさりした楽曲に乗っけて歌ってんなあって感じが。アクは極めて控えめで私的にはちょっと物足りなさも感じたりするのですが、ファン人気が高いのは大いに納得。

 

 そして『Call Me Up』、こちらはチャーミングに躍動するバウンシーなダンスポップナンバー。スーパーボールの如くちょこまかと跳ねるビートとカナちゃんのラップ紛いなボーカルが気持ちいいこと。一転して伸びやかなボーカルが映えるカジュアルキュートなサビメロもいいし、これは表題曲以上にお気に入り。胸の隅にあった冒険心と遊び心をカップリングで大いに振る舞うアナザーカナヤン節は今回も健在。

 

 

Esperanza
14th SINGLE『Esperanza』 (2011.5.18)

01. Esperanza ★★★★★★★☆☆☆
02. Thinking of you ★★★★★★★★★★
03. ONLY ONE ★★★★★★★★☆☆

 

 DJ Mass(VIVID Neon*)プロデュースの『Esperanza』は3rdアルバムからの先行シングル。スパニッシュギターやハンドクラップをフィーチャーしたフラメンコちっくな楽曲で、前作とはまた違った攻めの仕上がり。歌詞は彼女持ちの男に恋してしまった女性の心模様を描写したものですが、メランコリーに耽るに終止せず奪い取ってやろうと密かに意気込む様もまた前作以上に能動的なイメージが。ガラッとイメチェンではなく、従来のイメージやスタイルを堅持しつつ これまでとは違う側面を上手いことアピれているのがチーム西野カナの強み。それがデビューしてから10年経っても一線で活躍し続けられている所以の一つでしょう。

 

 

 カップリングの『Thinking of you』は麗しいことこの上ない友情バラード。冒頭イントロなしのサビ歌いだしで早くも涙腺が崩壊すること請け合い。美しくセンチメンタルな歌メロを巧みに抑揚をつけた歌唱で歌い上げたり、バックのピアノとストリングスが盛り上げすぎることなく絶妙な塩梅でその美しさを引き立てたりと、バランス感覚が冴えた各パートの連携により築き上げられたこの珠玉の音世界!いやあ感動的です。西野カナちゃんの全バラード曲の中でも断トツで最高峰に君臨する名バラードナンバーですよ。裏ベスト『Secret Collection ~GREEN~』にも収録されてるんで、是非ご一聴を。

 

 そして『ONLY ONE』は完全にフロアサイドへと振り切ったダンスナンバー。それゆえに今回は『Grag Bag』『Beautiful』『GIRLS GIRLS』『Call Me Up』のようなギミックは存在しませんが、そこに寄りかからなくともカッコよくクールに乗りこなせちゃってるのが流石。歌詞は9割くらい英語で埋め尽くされていますが、難しい単語や文法は一切なし。英語が苦手な中学生にとってはいいお勉強道具かもしれませんな。

 

 

たとえ どんなに・・・
15th SINGLE『たとえ どんなに…』 (2011.11.9)

01. たとえ どんなに… ★★★★★★★★☆☆
02. Just the way you are ★★★★★★★☆☆☆
03. Secret ★★★★★★★★★★

 

 いやー、ジャケ写が最高すぎやしませんか!?はあJD風情の西野カナちゃんくっそ可愛すぎる!ということで、『たとえ どんなに…』。プロデュースは『君って』以来となるSAEKI youthK氏。
 溢れんばかりの切なさが押し寄せてくる正統派バラード。なんというか、熱唱って感じですね。カナちゃんのハイトーンヴォイスがぐぁんぐぁん鳴り響いてますよ。歌詞は、忘れられない想いと謳いながらも「君からもらった幸せはずっと心の中で輝くの」と一応は現実を受け止めて割り切っているが故か湿っぽさや重さを感じさせないハートブレイクな内容。なんか東京ラブストーリーのリカが脳裏をよぎる歌詞ですね。数多の男やサバサバ系女子がウザがるスイーツ系女子の姿は影を潜めたようですが、それでも「カナちゃんならでは」の筆致がしかと窺えるトコが凄いっすな。

 

 

 カップリングの『Just the way you are』はブロークンハートしてしまった女子たちを激励するR&Bバラード。ぶっちゃけR&Bのリズムがなけりゃ表題曲と大して変わらんバラードだけど、いいものはいいってことで。

 

 そして『Secret』はクール&ビターな装いのダンサブルなR&Bナンバー。トラックも勿論カッコいいのだけど、やっぱり歌に痺れちゃうのよね~。「泣いてたり吠えてたり噛みついたりして そんなんばかりが女じゃない」とでも言いたげなこのクールな振る舞い!ハイトーンで切ない乙女心を吐き散らす歌唱に引けを取らないほど このボーカルも魅力的なのに、表舞台で姿を魅せる機会が少ないのがほんと勿体ない。

 

スポンサーリンク




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です