西野カナ 全シングルレビュー Vol.4

西野カナちゃんの全シングルレビュー。今回は16th『SAKURA, I love you?』から22nd『さよなら』までをレビューします。

 

SAKURA,I love you?
16th SINGLE『SAKURA, I love you?』 (2012.3.7)

01. SAKURA, I love you? ★★★★★★★★★★
02. My Baby ★★★★★★★★★☆
03. sweet sweet ★★★★★★★★☆☆

 

 これは今聴いても凄絶すぎます。西野カナちゃんの全ディスコグラフィーの中でも随一の問題作です。
 桜をイメージさせる儚い旋律とフロアライクなアレンジが融合することなくぶつかり合ってるインダストリアルな桜ソング、というこの一点だけでも驚きなのに、歌詞がまたぶっ飛んでいて いやはやもう。優男なイマカレと何もいがみ合うことなく付き合っていて幸せなはずなのに、鼻ピアスでもしたチャラ男な元彼のことが未だに忘れられず、最終的には「本当はI love you」と認めてしまうという背徳的かつイマカレ不憫な内容。リアリティに富んでるだけに戦慄も走るし、妙に興奮しちゃったりもするし、あらぬ妄想が色々と膨らむゆえ、共感とか一切ないけどこの歌詞はかなり好きです。ていうか歌詞のテーマと桜って全く接点がないし、そもそも桜にこんなネタを絡ませてくんなっちゅう話なんですけどね。そしてMVもなかなか強烈です。ケバいメイクしたカナちゃんがくっそエロくて最高。歌詞の内容と全くリンクしてない不敵な笑みとか意味わからんけど萌え萌え。スイーツ系の進化系ともいうべき怪曲であります。

 

 

 カップリングの『My Baby』はR&B仕様のミドルバラード。これもやはり歌詞が…。っていうかシチュエーション的には表題曲とほとんど同じで、イマカレ居るけど やっぱ元彼が忘れらんないっていう内容。描写のリアルさや克明さを思えばこっちのほうがソフトな仕上がりですけど、しっとりした作風で切なさがジメジメした空気感を纏ってダイレクトに伝わってくる故、なかなか侮れません。

 

 『sweet sweet』は ヒップホップテイストを ギャルっぽいチャラさとカナちゃんならではのキュートさと併せて持ち込んだ小粋なポップナンバー。やっぱカナちゃんはこういうギャル風情たっぷりのナンバーが激しくお似合いすぎるよ。ていうか、表題曲ではイマカレ持ちの分際で元彼に「I love you」とか ぬかしてるくせに、「束縛キツめでI’m sorry 当然浮気はマジno way」「よそ見するのは許さない baby」というジャイアニズム溢れるフレーズをぶち込んじゃうこの図太さ。あんだけ強烈な表題曲を用意しといてカップリングでもここまで抜かりなくカナヤン節を大盤振る舞いしちゃうとか、さすがはカップリングの女王、格が違いすぎます。ちなみに、歌詞云々を抜きにしても普通にいい曲。

 

 

私たち(通常盤)
17th SINGLE『私たち』 (2012.5.23)

01. 私たち ★★★★★★★★☆☆
02. Happy Half Year! ★★★★★★★★☆☆
03. LOVE LIKE CRAZY ★★★★★★★★★☆

 

 表題曲『私たち』は、約1年半ぶりとなるGiorgio Cancemiプロデュース曲。『Christmas Love』(『君って』c/w)以来のタッグとなるわけですか。ということで前作『SAKURA, I love you?』とは打って変わって、コマーシャルの極北とも言える 穏やかで穢れのないバラード。友情リリック然り、美しいメロディをより美しく魅せるボーカル然り、映画タイアップがついたポピュラーミュージックの良いお手本といった感じがしますな。

 

 

 カップリングの『Happy Half Year!』…そもそもHappy Half Year!ってなんだそりゃって話なんですけど。何かにつけてすぐ記念日を設けたがる系女子ってやつですかこれは。歌詞は「大事な仕事中 鬼電しちゃってケータイにらむ私」「不器用で子どもでやっかいな君だけどずっと好きだから」「泣き虫で淋しがり屋でめんどくさい私だけどずっとよろしくね」と、バカップル志望の超めんどうな女子像をフランクに描写していて、相変わらずのカップリング女王ぶりをまざまざと魅せ付けてくれちゃってます。SKY BEATZプロデュースの瑞々しくガーリーなトラックもカップリングという立ち位置に甘んじない上々ぶり。

 

 『LOVE LIKE CRAZY』はVIVID Neonプロデュースのエッジーさとポップさを兼備したダンスナンバー。「体重計 昨日よりもちょっと減ってるかな」「そう1キロでも1パウンドでも増やしたくない」なんつーダイエット依存する様の描写や「ねえどうしてなの こんなに好きなの ムカつくくらいLIKE CRAZY」なる乱暴な愛情表現がまさしく恋愛中毒に陥ったスイーツといった感じ。「ONE WAY LOVE」「LOVE IS BLIND」という過去曲のタイトルを歌詞にぶち込んだりして 毎回カップリングに多大なる期待を寄せるファンへのちょっとしたサービスを提供したりと、カナちゃん今回も絶好調。そしてVIVID Neonとのタッグも相変わらず強力です。

 

 

GO FOR IT!!
18th SINGLE『GO FOR IT !!』 (2012.7.25)

01. GO FOR IT !! ★★★★★★★☆☆☆
02. TALK TO ME ★★★★★★★☆☆☆
03. SUMMER TIME ★★★★★★★★★☆

 

 前々作『SAKURA, I love you?』に続き、またしてもやらかしてしまった(ていうか完全に確信犯だけど)問題作。冒頭のコールといいMVのチアリーディングといい、明らかにマドンナの『Give Me All Your Luvin’ 』を意識しまくり。グルーヴとエロで言えばマドンナのほうが上ですが、可愛さとキラメキで言えば圧倒的にカナちゃん、ということで私的にはなかなか甲乙つけがたいトコ。それとはまた別に、女の子らしい可愛らしさを視聴覚的にここまでハッキリと打ち出したのはこの曲が初めて。当時としてはイレギュラーな立ち位置の楽曲でしたけど、後にこういったアイドルとは違う いち女性の可愛らしさを打ち出したポップソングがちょくちょく出るようになったし、単純にこの曲自体がカナちゃんの全楽曲の中でも特に人気が高いっぽいし、結果的にカナちゃんの新境地を開拓した重要作になったわけですな。私的にはまあまあ好き、っていう程度の曲なんですけど。

 

 

 カップリングの『TALK TO ME』でもまたまたやらかしてます。今度は『A Perfect Sky』(BONNIE PINK)をパクリジナルしちゃったわけですか。ぶっちゃけさほどスマートなパクリジナルではないですけど、まあまあオモロいポップソング。

 

 『SUMMER TIME』はフロア仕様の爽快バキバキなEDMナンバー。やっぱりたまにはこういうダンスナンバーも演ってくれないとね。英語は相変わらず流暢だし、ノリ重視ゆえに歌詞も完全にオマケで中身とかどうでもいい系でありながらも自ずとカナヤン節が滲み出ているし、この手の楽曲でもしっかりグルーヴとオリジナリティが出せているのは地味に強み。

 

 

Always
19th SINGLE『Always』 (2012.11.7)

01. Always ★★★★★★☆☆☆☆
02. Happy Song ★★★★★★★☆☆☆
03. Love you, Miss you ★★★★★★★☆☆☆

 

 アルバムリリースから約2か月という短いブランクでリリースされた『Always』。『Always』と謳われてますが、むしろこの曲で『LOVE』とタイトリングしたほうがいいんじゃね?ってくらいにスケールのデッカい愛を歌ってます。いわゆる歌姫バラードってやつです。J-POP的に王道すぎるというか中庸を極めちゃってる感じがして、私的にはまあ可もなく不可もなく。

 

 

 カップリングの『Happy Song』は目がくらんでしまいそうなくらいにキラキラしまくった活発シンセポップ。カナちゃんのハイトーンヴォイスも相俟ってハッピーオーラの圧が尋常じゃありません。楽しい曲だけど、落ち込んでる時に聴いたら うざったくてしょうがないって感じになるきっと。

 

 『Love you, Miss you』は、タイトル的にシケたムードのバラードかと思いきや、セツナ成分を僅かに含有したキラキラ四つ打ちアップナンバー。キラキラポップスなんて2連チャンもいらんねんって感じなんですけど、前曲があまりに明るすぎる作風だったこともあり、この曲のちょっとした影の部分がいい意味で浮き上がってきてるように聴こえて案外いい感じ。にしても年の差カップルをテーマとしたこの歌詞が相変わらずリアルでなおかつ不動のカナヤン節が全開。恋愛系であればどんなサブカテゴリーでもお手の物って感じがするな。

 

 

Believe
20th SINGLE『Believe』 (2013.6.5)

01. Believe ★★★★★★★★★★
02. Rainbow ★★★★★★★☆☆☆
03. Story ★★★★★★★★★☆

 

 前作からなんと7ヵ月ぶりのシングルです。特にアルバムリリースもなかったし、6月リリースですがこれが2013年初のCDリリースというだいぶお久しぶりな感じだったわけですが、そのデカいブランクを埋めるがためなのかどうか、またしてもこの子はやらかしちゃってます。冒頭のコーラスがまんまカーリーレイジェプセン(厳密にはOwl City&Carly Rae Jepsen)の『Good Time』で、これもまたれっきとしたパクリジナルの技術です。楽曲自体は『GO FOR IT !!』に通ずるガーリーでキュートなポップソング。なにもパクリジナルの技術が炸裂するトコまで律儀に継承しなくてもよかったんですけど、これはきっとカナちゃんなりのブラックジョークですよね。みんなを笑かそう思って確信犯的に忍ばせたギミックですよね。「ね、みんな、分かるでしょ!?これ」みたいな。そんなブラッキーな側面も込みでめっちゃ好きな曲です。単純に聴いてて楽しい。

 

 

 カップリングの『Rainbow』はお花畑が辺り一面に広がった歌詞が実に鮮やかなミドルナンバー。いやいや慣れって怖いですよね。ある意味なかなかの歌詞にもかかわらず、いざ聴いてみたら お馴染みのカナヤンポップスってな印象に終止しちゃうわけですからね。プロデュースを手掛けてんのもGiorgio Cancemiだし、隅から隅までお馴染みの極み。

 

 『Story』はスペーシーなサイバーアレンジが施されたミドルナンバー。完全なるフロアサウンドに振り切らず、ピアノやシンセストリングスを絡め敢えてJ-POP感を醸成することで 歌モノに仕上げてきてるというか、歌詞が伝わりやすくなるよう意識してんなって感じがしますな。その歌詞では、恋愛をテーマとしながらも スイーツを脱却し大人になろうと試みている姿が描写されており、一人の女性としてのリアルな成長ぶりが窺えます。

 

 

涙色(初回限定盤)(DVD付)
21st SINGLE『涙色』 (2013.8.7)

01. 涙色 ★★★★★★★★☆☆
02. GAME OVER ★★★★★★★★☆☆
03. can’t stop, won’t stop ★★★★★★★☆☆☆

 

 ベストアルバムリリースを1ヶ月後に控えたタイミングでリリースされたシングル。ということで『涙色』、ここに来て原点回帰か何かっすか?この時期ほとんど着手していなかったスイーツ系路線のセツナソングを久々にガッツリとやってます。そのサウンドプロデュースを手掛けるはGiorgio Cancemiというこの徹底ぶりよ。まあ あまりに徹底されすぎていて逆に今更どうこう言うアレも特にないんですけども、セツナソングでありつつも、かつてのようなシケたムードはなく、悲しみの涙と僅かな希望とのダブルミーニングでのキラメキに包まれてるのが特徴的かな、みたいな。いい曲ですよ。

 

 

 カップリングの『GAME OVER』は、隠し事してると思わしき彼氏の疑惑を解明したがる女性の心模様を描写したエモーショナルなシンセポップ。ジャイアニズムを押し出す感じではなく、女性の繊細さや焦燥感などをさり気に表現しているのが上手いっすね…って、カナちゃんがそこまで意識して書いてるかどうかわからんけど。にしてもサウンドと歌詞の内容がちっとも上手く噛み合ってないような気しかしないんですけど、そんなにまでして今このタイミングで女の性を歌いたくてしょうがなかったんか!?

 

 『can’t stop, won’t stop』は欲望を抑止できない系女子をキュートに歌ったつもりの開放的なエレポップ。2012年あたりからブームとなっているパンケーキを歌詞に忍ばせているあたりは流石といった感じですが、ダイエットのくだりで「開けたら最後 You can’t stop」ってフレーズをぶち込んでいたらモアベターだったのに。まあ至極オーソドックスなポップソング。

 

 

さよなら(初回生産限定盤)
22nd SINGLE『さよなら』 (2013.10.23)

01. さよなら ★★★★★★★★☆☆
02. Brand New Me ★★★★★★★★☆☆
03. 会いたくて 会いたくて(Live on MTV Unplugged) ★★★★★★★★☆☆

 

 ベスト盤リリース直後のシングルタイトルが『さよなら』!それもかつてないまでに辛気臭いムードが蔓延した歌謡バラードときたもんだ。なんでしょう、このまま引退しちゃうんじゃないのかって感じがバリバリなんですけど。ブレイク直後のカナちゃんでは出せなかったであろう深みがしっかり出ていて、これはなかなかの佳曲。かと言って、特別この路線を求めてるわけでもないんで、あんまりこの手の曲に着手しなくてもいいんですけど。

 

 

 カップリングの『Brand New Me』はちょいとクールなミドルナンバー。表題曲でさよならしたかと思いきや、ここではいきなり「Hello, Hello, Hello」ですか。てゆーかこれは表題曲の後日談?憂さ晴らしソング?

 

 そして『会いたくて 会いたくて(Live on MTV Unplugged)』は原曲とは異なるサルサちっくなアレンジが施された生演奏テイク。カナちゃんの色気が微増したボーカルも手伝って雰囲気がアダルティ。原曲よりこっちのほうが好きだな。

 

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