西野カナ 全シングルレビュー Vol.5

西野カナちゃんの全シングルレビュー、これが最後になります。今回は23rd『We Don’t Stop』から 現時点で最新にあたる32nd『手をつなぐ理由』までをレビューします。

 

 

We Don't Stop(初回生産限定盤)(DVD付)
23rd SINGLE『We Don’t Stop』 (2014.5.21)

01. We Don’t Stop ★★★★★★★★★★
02. Happy Birthday ★★★★★★★★☆☆
03. 25 ★★★★★★★★☆☆

 

 ジャケ写の仁王立ちカナヤンが目を惹くシングル『We Don’t Stop』。またしてもGiorgio Cancemiプロデュース曲なわけですが、なんと今回は表題曲ではほとんどお目にかかることがないアッパーなEDMナンバー。といっても、過去のカップリング曲でいう『ONLY ONE』『Secret』といったクール系でも『今夜はPARTY UP』『SUMMER TIME』といったアゲアゲ系でもなく、フロア感をばっちり押さえつつコマーシャルな歌モノにしっかり仕上がっており、制作チームのプロフェッショナルぶりがしかと窺える作品に。歌詞もまた上手いっすね。タイアップ先(日本テレビ系ドラマ「花咲舞が黙ってない」)に年齢やキャラ設定を合わせながらも普遍的な応援ソングとしてしっかり機能しているし、2コーラス目では恋愛要素も絡めていたりと自身のアドバンテージもさり気に活かすこの仕事ぶり。MVのポニーテールなカナちゃんもくっそ可愛いし、これは傑作の一曲でしょう。

 

 

 カップリングの『Happy Birthday』は甘味とエモみとキラメキを程よく含有したミドルポップナンバー。ブラックユーモアを隠し武器とするカナちゃんも今回はその側面を敢えてセーブし、真っ当にお友達の誕生日をお祝いしています。

 

 『25』はカナちゃんにしては珍しい作風にあたる 足取り軽やかなポップロック。当時西野カナちゃんは25歳だったわけですが、自身のことではなく、あくまで一般的な25歳女性をイメージして綴った歌詞でしょうな。ごくごく普通のポップソングですが、ほのかに含まれたセンチメンタル要素にちょっとグッときてみたり。

 

 

Darling(初回生産限定盤)(DVD付)
24th SINGLE『Darling』 (2014.8.13)

01. Darling ★★★★★★★★☆☆
02. LOVE & JOY ★★★★★★★☆☆☆
03. Still love you ★★★★★★★★☆☆

 

 表題曲の『Darling』は、『GO FOR IT !!』に続きカナちゃんにとってターニングポイントとなった楽曲。今度はいつぞやのテイラースウィフトに触発された感バリバリのカントリーポップ。明るく軽快でほのぼのした作風も新鮮ですが、歌詞も いわゆる会いたがりなスイーツでもなけりゃ恋する乙女への応援ソングとも違う、現在進行形の恋愛を分かりやすくかつ画がしっかりと浮かぶように描写しておりば。当時のカナちゃん的には異例にあたる楽曲でしたが、これを機にすっかりこの手のサウンドや歌詞もカナちゃんの特徴のひとつに。

 

 

 カップリングの『LOVE & JOY』は、5thオリアル『with LOVE』にも収録されたケイティー・ペリー風ポップロックナンバー。こんな軽やかなサウンドの上で世界に向けて単純なフレーズを並べて自己啓発を促すという、まあカナちゃんらしいっちゃらしい楽曲ですな。

 

 『Still love you』はタイトルまんまのロストラブバラード。90s中盤以降の盤石バラードではありますが、歌唱の丁寧さと 変に湿り気を出さない程よい情感の込め様が非常によいがゆえに良作。

 

 

好き (初回生産限定盤) (DVD付)
25th SINGLE『好き』 (2014.10.15)

01. 好き ★★★★★★★★☆☆
02. Never Know ★★★★★★★☆☆☆
03. I Say No ★★★★★★★★★☆

 

 表題曲は『好き』ということで、タイトルがシンプルなら楽曲も至極オーソドックスなバラードで、過去作でいうと『君って』に通ずるハートフルな作風。本来なら、真っ当に良い曲でシンプルに好き、という一言で感想が終わるのですが、なんとイントロがまんまドリカムの『未来予想図Ⅱ』!あまりに前科が多すぎるので今回も確信犯なのかと思っちまうのですけど、この手の楽曲にオマージュとかブラックユーモアとかいらんねんって話ですよ。まあ楽曲の足を引っ張ってるわけでもないんで、そこまで目くじら立てて言うようなアレでもないんですけど。

 

 

 カップリングの『Never Know』は草食系男子の攻略に手こずってる女子の心模様を綴ったシンセポップ。ぶっちゃけ曲自体はどうってこたあないのですけど、相変わらずお題の設定と歌詞の描写が巧い。独特な言葉選びをしてるわけでもないのにひと通り読んでカナちゃんっぽい筆致だと感じ取れる不思議は今回も健在。

 

 そして『I Say No』は久々にJeff Miyaharaが登板したストリートライクなミドルナンバー。なんですかこの歌詞は。啓蒙要素を一切取っ払ったサイレントマジョリティーか何かですか。まあそれはそれとして、この曲はカナちゃんのハイトーンヴォイスが大活躍していてかなり好きな曲です。そして、サビ冒頭の「ああこんなもんじゃないの欲しいも~の~は~~♪」のリズム感とインパクトがなかなか強力。

 

 

もしも運命の人がいるのなら
26th SINGLE『もしも運命の人がいるのなら』 (2015.4.29)

01. もしも運命の人がいるのなら ★★★★★★★★★★
02. Lucky ★★★★★★★★★☆
03. Shut Up ★★★★★★★★★☆

 

 「ビタミン炭酸MATCH」タイアップの他にも、後に『第88回選抜高等学校野球大会』開会式入場行進曲として選定されることになった『もしも運命の人がいるのなら』。躍動感あるピアノをベースとしたミュージカルタッチのポップソングであります。「運命の出会いがあるなら あなたはいったいいつになれば辿り着くのかしら」といったフレーズのチョイスや1サビ2サビの締めで「いつかあなたが迎えに来てくれるその日まで待っているから」と歌いつつ、ラスサビで「その日までやっぱり… 待てないわ」とひっくり返す展開もまたミュージカルちっくで楽しい。カナヤンイズムを堅守しながら新たなアイデアを注入して仕立て上げたこれまた傑作の一曲。

 

 

 カップリングの『Lucky』は、付き合って3年のカップルを題材にしたお惚気ミドルポップス。可愛らしさを程よい分量で塗しつつグルーヴにもしっかり気配りが行き届いているトコがいいです。言葉の選択と節回しの双方が功を奏していて心地良いノリを形成しておりば。

 

 『Shut Up』はトラップっぽい要素を取り込んだヒップホップライクなナンバー。ここにきてカップリングの女王カナヤンが新境地を開拓!口うるさい外野に中指を立て親指を下に向けるかのような このふてぶてしい歌い回し。特にサビの「シャラーップ!シャラァ↑↑ーーップ!シャラーップ!」の件で尻上がりになるトコなんか かなり振り切っちゃってます。ここ最近のカナちゃんの楽曲では圧倒的にエッジが効きまくってる強烈な一曲。

 

トリセツ

27th SINGLE『トリセツ』 (2015.9.9)

01. トリセツ ★★★★★★★★★☆
02. A型のうた ★★★★★★★★★★
03. True Love ★★★★★★★★☆☆

 

 『会いたくて 会いたくて』に並ぶ西野カナちゃんの代表曲にまで登り詰めた『トリセツ』。これもまたアイデアの勝利でしょう。マーチングリズムの可愛らしくほのぼのしたサウンドに乗せた歌詞は やはりカナヤンイズムを踏襲しながら取扱説明書になぞらえて乙女心を描写するというアイデアがしっかり活きていて、それが共感と可愛らしさと面白さとインパクトに繋がったみたいな。全ディスコグラフィーの中でも、アーティスト西野カナを形成する要素が最も多分に詰まった一曲でしょう。

 

 

 カップリングの『A型のうた』はA型あるあるを題材にしたキュートでコミカルなポップソング。はあああ西野カナちゃんくっそ萌え!!!!もうこの一言に尽きる!血液型診断に根拠はないとか だりぃこと言ってんじゃねーよ!!!

 『True Love』は、質素な作風の3拍子ミドルナンバー。はあ切ねえなあ。

 

 

 

あなたの好きなところ【初回生産限定盤】(DVD付)

28th SINGLE『あなたの好きなところ』 (2016.4.27)

01. あなたの好きなところ ★★★★★★★★★★
02. A HA HA ★★★★★★★★★☆
03. Thank you very much ★★★★★★★★★☆

 

 レコ大で見事 大賞を受賞した『あなたの好きなところ』。『トリセツ』での成功に味を占めたのかどうか、今回もキュートなポップサウンドとアイデアフルな歌詞が活きたラブリーな楽曲に仕上がってます。もうね、これは”52 Reasons I Love You”というテーマを取り上げた時点で勝負あったって感じ。何から何までくっそ可愛すぎるし、MVは過去最高レベルで萌え萌えだし。基本言ってることはくっそ可愛いとか萌え萌えとかそんなんばっかですけど、それが極まっちゃったのがこの曲ということで。

 

 

 カップリングの『A HA HA』はブロークンハートな私を女友達が誘ってくれて気が付いたら私ずっと笑ってた的内容のチャーミングな陽性シンセポップ。サビはじめの「あ~ああ♪」のちょいユル感に萌え萌え。

 

 『Thank you very much』は、『Darling』に続くテイラー意識のカントリー調ナンバーで、アルバム『Just LOVE』にも収録されてます。ハートブレイクし おひとり様になった後の身軽さと少しの寂しさを晴れやかな面持ちで歌っておりば。スイーツ系時代の面影は何処へやらって感じのカラッとした作風。

 

 

Dear Bride(初回生産限定盤)(DVD付)
29th SINGLE『Dear Bride』 (2016.10.26)

01. Dear Bride ★★★★★★★★☆☆
02. Merry Christmas ★★★★★★★★★☆
03. 君が好き Rearrange ver. ★★★★★★★★★☆

 

 シングルとしては久々となるバラード曲。結婚する友達に対し祝福と祈りを込めたウェディングソングです。これもまた実に手堅い仕上がり。派手すぎない華やかさとチープに陥らない音触りを有したアレンジにサウンドプロダクション、そして歌詞も相変わらずの巧みなカナヤンマジックが発動しているし、ウェディングソング自体は初の試みではあるけど、総合的にはチームカナヤンの堅実な仕事ぶりを改めて示したような楽曲ですな。

 

 

 カップリングの『Merry Christmas』は温かみとちょっとしたチャーミングさを有したミドルポップナンバー。ほのぼのムードに包まれた、まさしく二人きりのハッピークリスマスって感じがする佳曲であります。「舞い落ちる雪 世界に二人きり」「このまま時よ止まれ Stop!」なるフレーズが実にアホっぽいですが、それもほのぼのムードに寄与していてまあ良いではないですか。

 

 『君が好き Rearrange ver.』は、6thアルバム『Just LOVE』収録の ピアノをバックにしたバラード『君が好き』をリアレンジしたもの。ピアノとアコギとリズムで再編成されたもので、ぶっちゃけさほど大きな変化ではないけど、私的にはこっちのテイクのほうが好きかな。イメージとしては原曲がデモテイクでこっちが本テイクって感じがする。

 

 

パッ(初回生産限定盤)(DVD付)
30th SINGLE『パッ』 (2017.5.3)

01. パッ ★★★★★★★★★☆
02. 27 ★★★★★★★★☆☆
03. Work ★★★★★★★★★☆

 

 表題曲の『パッ』は、ひと昔前のアイドル歌謡を現代版にアップデートした的なポップナンバー。デビュー当初は男ウケを狙ったチープなアイドルポップスをやっていたこともありましたが、スイーツ路線に転換し、ブレイクを果たし、NHK紅白出場だの配信年間チャート1位だのレコ大や有線大賞で大賞を受賞だの大成功を収めて さあデビュー10年目(≠10周年)というこのタイミングでまさかのアイドルポップス回帰!しかもデビュー当初の楽曲以上に可愛さを押し出しているではあーりませんか!にもかかわらず、カナちゃんはアイドル視されるなんてことはなく 飽くまでもアーティストというポジションを確固として堅持しているという。凄いです。売り出し方が巧みです。初期の甚大なる迷走ぶりが嘘のようです。そして楽曲自体もめっさ良いし西野カナちゃん相変わらずくっそ可愛すぎる!

 

 

 カップリングの『27』は『25』の続編的なナンバーで、楽曲も『25』に通ずる作風。てか世間一般的な27歳ってこんな感じなんですかね。私的には30歳くらいのイメージなんですけど。

 

 『Work』は活発というより忙しなさに満ち溢れた性急アップナンバー。「今日も一日頑張ろう!」的な内容の『Have a nice day』と違い、こちらは仕事のしんどさをひたすら訴えるばかりなのが特徴的。ちょっと久しぶりにカップリングの女王カナヤンがカムバックした感じがしますな。全日本もう帰りたい協会のテーマソングにはもってこいの一曲であります。

 

 

Girls(初回生産限定盤)(DVD付)
31st SINGLE『Girls』 (2017.7.26)

01. Girls ★★★★★★★☆☆☆
02. Go Fight Win! ★★★★★★★★★☆
03. YOKUBARI ★★★★★★★★★☆

 

 表題曲『Girls』は、サイバーアレンジが施されたミドルナンバー。この音使いはなんかGiorgio Cancemiっぽいなって思ってクレジット見たら、やっぱりあんたかい。
生きとし生ける全ての女子たちを鼓舞するかのような歌詞はいいけども、サビで間延びしちゃってるメロディはいかがなものか。アレンジのおかげでなんとか踏みとどまってるって感じがしちまいますな。

 

 

 カップリングの『Go Fight Win!』は元気ハツラツなエレポップナンバー。タイトルを見れば真っ先にチアリーディングを連想しますが、まさにそんなイメージの楽曲で、女子たちの黄色い掛け声もめいっぱい注入されてます。てゆーか今年こそ有言実行のくだりで「早寝早起き・週3ジム・英語の勉強・料理が上手くなる・新しいPCを買う・富士山に登る・バンジージャンプ」ってあるけど、「今年こそ」とか言ってる奴にこれだけのプランを実行できるわけがないやん。上達云々以前に4項目くらいは始める前にまた年が明けちゃうっていう。あと、やると決めたら雨天決行の「ニューヨークでミュージカル・キューバでサルサ体験・アマゾン探索・地球をぐるっと一周・人に優しく・自分に自信を持つ・すぐイライラしない」は我々凡人的には序盤4項目がスケールがデカすぎてついてゆけません。てゆーかほとんどの項目が天候云々でやるやらないを決めるやつではないやんみたいな。そんな感じで、歌詞においてもカナヤン節がハツラツとしておりば。

 

 『YOKUBARI』はややダサめなダンスポップナンバー。ヴァースでは飄々とラップもこなし、ノリはややユルめながら こちらの楽曲もなかなか楽しげ。楽しけりゃ歌詞なんかどうだっていいよね。単に「私は欲張り」ってことを歌ってるだけでも全然無問題だよね。カップリングの女王カナヤンが猛威を振るった今回のシングル、非常によいです。

 

 

 

手をつなぐ理由(初回生産限定盤)(DVD付)
32rd SINGLE『手をつなぐ理由』 (2017.10.18)

01. 手をつなぐ理由 ★★★★★★★☆☆☆
02. One More Time ★★★★★★★★★☆
03. Drive Away ★★★★★★★☆☆☆

 

 現時点で最新のシングル『手をつなぐ理由』はピアノと弦楽器によるハートフルタッチのバラード。歌もいいし歌詞も凄くいいし曲の出来も手堅いのだけど、いかんせん地味です。良く言えばシンプルってことなんですけど、わざわざCDシングルとして切る必要あったんかい、みたいな。

 

 

 カップリングの『One More Time』は初期のスタイルを想起させるフロアライクなアレンジが施されたミドルスロー曲。失恋と未練がテーマになってるのも初期っぽいっすね。すれちがいざまに感じた香水の匂いを切っ掛けに元彼との思い出や愛しさがフラッシュバックしちゃった的な内容ですが、初期に比べたら綴り方はだいぶ洗練されてますね。良曲。

 

 アルバム未収録の『Drive Away』は疾走シンセポップ。なんともチープなサウンドですが、楽しいっちゃ楽しい。

 

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