アルバム感想『NOMAD』/ シド


『NOMAD』/ シド
2017.9.6
★★★★★★★★☆☆

01. NOMAD ★★★★★★★★☆☆
02. XYZ ★★★★★★★☆☆☆
03. 硝子の瞳 ★★★★★★★☆☆☆
04. スノウ ★★★★★★★★★☆
05. 躾 ★★★★★★★☆☆☆
06. バタフライエフェクト ★★★★★★★☆☆☆
07. 低温 ★★★★★★★★★☆
08. KILL TIME ★★★★★★★★☆☆
09. 螺旋のユメ ★★★★★★★☆☆☆
10. 普通の奇跡 ★★★★★★★☆☆☆

 

 

 

 実に3年半ぶりとなるメジャー5thアルバム。

 この期間中、ベスト盤リリースやソロ活動などがありましたが、まあだからといって前作から大きな変革があったわけではなく、総体的には今回も大雑把ながらシドっぽいアルバムという感じ。どのジャンルの要素を拝借しても最終的にはしっかりポップに着地させるトコとか、ソツなくスマートにこなす いい意味で優等生な演奏とか。かと言って、「安定」の一言や「過去作と似通ってる」の言葉で軽く片づけるわけにもいかない内容で、そんなちょっとした曲者感がまたシドっぽくもありで。

 

 妖しげな雰囲気を醸し出した骨太ロックナンバー『躾』とか、キメ細やかな演奏が光るジャジーな『KILL TIME』とか、オーソドックスなバラード『普通の奇跡』とか、お馴染みのシドらしい楽曲もあります。が、なんかシドっぽいけど 今までにありそうでなかったな~といった感じの楽曲がちょいちょいあるんですよね。荒波の予感を孕みつつ希望の光の眩さをうんと感じる船出をイメージさせる華やかで勇ましいアップナンバー『NOMAD』からしてそうだし。

 

 いちばん分かりやすいトコだと『スノウ』。こちらはセンシティブなファンクナンバーで、程よい隙間を有した音空間やハラハラ舞う粉雪のような効果音、フェミニズムを漂わせたマオのナイーブなボーカルが美しくも儚げでどことなく危うい。単なるチャレンジングに終止せず 自身の持ち味を活かして仕上げているのが良いですな。

 

 インダストリアルなアプローチで以てタイトル通り低温を音像化させた『低温』も、これまでの彼らにはないタイプの切り込み方ながら、不思議とシドイズムが備わっていて違和感なくスッと聴けてしまうという。つーかなんかラルクっぽいな。カップリングとかアルバムでたまーにやってるような感じの。もっと言っちゃうと『a swell in the sun』に近い感じ。

 

 ワイルドなリフで引っ張り 男っぽさを強調したようなライブコンシャスなロックナンバー『XYZ』もそうっすね。 『one way』『Dear Tokyo』といった疾走ギターロック系や、メロディアスさから やや距離を置いたハードロック『park』『右手のスプーンと初恋とナイフ』とは明らかに異なる感触だし、同じく歌モノ感を有したハードロック『S』とも括りはやっぱ違うんですよね。

 

 

 シングルにもなった『硝子の瞳』『バタフライエフェクト』はいずれもザ・V系っぽい曲。まあ本人達が取り立ててV系っぽさを意識して制作に臨んだとは思えないけど、前者は黒執事タイアップということで、ミステリアスさと繊細さを併せ持った退廃的なポップロック。後者もアニメタイアップはないながらも 混沌と退廃性が渦巻くミドルロックナンバーで、どちらも今までのディスコグラフィーにありそうで実は似通ったものがさほどない類の楽曲。

 

 

 『螺旋のユメ』はヴィジュアル系らしき退廃感を纏ってるという点では『硝子の瞳』『バタフライエフェクト』 と共通してますが、迷宮を彷徨っているイメージの平歌から眩い光に溢れた大空へ羽ばたくようなサビへ転じる展開は なかなか唐突で意外性がありながらもドラマティックさも兼ねていて、ここが聴きどころの一つ。

 

 これまでのシドのイメージから大きく踏み外したものはないけど、何かしら今までとは違うプラスアルファがあるので、マンネリを感じることなく安心して聴ける一枚であります。私的には『NOMAD』『スノウ』『低温』が特に聴きどころのナンバーですな。

 

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