アルバム感想『THE ASHTRAY』/ Suchmos


『THE ASHTRAY』/ Suchmos
2018.6.20
★★★★★★★★☆☆

01. 808 ★★★★★★★★☆☆
02. VOLT-AGE ★★★★★★★★★☆
03. FRUITS ★★★★★★★☆☆☆
04. YOU’VE GOT THE WORLD ★★★★★★★★☆☆
05. FUNNY GOLD ★★★★★★★★★☆
06. ONE DAY IN AVENUE ★★★★★★★★☆☆
07. ENDROLL ★★★★★★★☆☆☆

 

 

 前作から約1年5ヵ月ぶりとなるアルバム。

 ブレイク作となった前作の路線をまんま継承したとか、ポピュラリティの高い鬼POP激キャッチーなラインナップになったとか、まあ分かっちゃいたけど サチモスに限ってそんなことがあるはずないわなと。今回はブラックミュージックやAORテイストを基調としつつロック色を強く打ち出すようになっており、これまでよりも骨太になったような印象を受けました。

 

 『808』は『STAY TUNE』系統のシャレオツグルーヴィーでポップなブラックナンバー。この手の曲ならいくらでも書けるぜと言わんばかりの余裕綽々ぶりが窺える手堅い出来映えで、これもカッコいい曲。ラスサビではなく、2サビ直後の間奏で転調する展開をスムーズにキメているトコもまたカッコよき。

 

 

 「2018 NHK サッカーテーマ」に起用された『VOLT-AGE』は、シャレオツ感や渋さとは距離を置いたナンバーで、これまでのSuchmosの楽曲の中で最もロックな側面がクローズアップされたような印象。重いグルーヴを煮え滾らせるベースと熱気をじわじわと立ち上らせるギターが実にスリリング。そんな中、YONCEのボーカルはあくまでクールな装いで、それが内側で密かに燃える闘志とか興奮まっ只中な様相をダイレクトに体現している感じがする。音源だけでもかなり好印象だけど、スタジアムクラスの会場で鳴らすとどちゃくそカッコいいだろうね、この曲。

 

 

 『FRUITS』はブルージーな香り漂うAOR風ナンバー。家族への感謝の意をもYONCEはクールかつ渋めに歌唱。前々作『THE BAY』にありそうな作風ですね。

 

 『YOU’VE GOT THE WORLD』は前作『THE KIDS』に通ずるスモーキーさを纏ったR&Bにスケール感を醸し出すロックサウンドを掛け合わせたようなナンバー。新境地というよりはこれまでのSuchmosの発展系といった感じ。着目ポイントはなんといっても中盤に突如挿入されるスクラッチで楽曲が甘く妖艶な音空間に転じるくだり。そこから元のヒリついた雰囲気へとナチュラルに軌道修正するあたりもさすが。

 

 『FUNNY GOLD』は仄かな甘みとビターさが混在したソウルナンバー。音使いは至ってシンプルなのに響きが洒落てるんですよね。そんな演奏やYONCEの歌唱もあって、エロい歌詞がヤらしく聴こえないこのスタイリッシュさがやはりSuchmosらしい。あと、ブラックフレイバーを演出するコーラスがいいっすよね。終盤の突き抜けた「Haaaa~~~~~~♪」っていうハイトーンとか如何にもって感じで。私的に本作でいちばん好きな曲がこれ。

 

 

 『ONE DAY IN AVENUE』もまたスタジアム映えしそうなロック感やスケール感を有したナンバーで、サビにおけるYONCEの張り上げた熱唱ぶりがカッコいい。社会を風刺しつつ、「俺たちは俺たちのままヤらせてもらうぜ」というスタンスを貫くのも彼らっぽい。そして、バックストリートな雰囲気を醸し出すアウトロ『ENDROLL』で締めと。

 

 全体的に、従来のSuchmosらしい楽曲といったら『808』と『FUNNY GOLD』だけですけど、敢えてパブリックイメージを外しただけでなく、Suchmosの新たなスタンダードをプレゼンしたような感じがしますね。どの曲も実験的な感触がなく、彼らのイズムがハッキリ感じ取れるくらいしっかり根付いているので、今後も骨太なロックテイストの楽曲も彼らの強力な武器になりそう。ミニアルバムながらフルアルバムに相当する濃密さが備わった良作であります。

 

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