アルバム感想『100』/ w-inds.


『100』/ w-inds.

2017.7.4
★★★★★★★★★★

01. Bring back the summer ★★★★★★★★☆☆
02. Dirty Talk ★★★★★★★★★★
03. Temporary ★★★★★★★★★★
04. I missed you ★★★★★★★★☆☆
05. Celebration ★★★★★★★★★★
06. We Gotta Go ★★★★★★★★★☆
07. Time Has Gone ★★★★★★★★★★
08. Stay Gold ★★★★★★★★☆☆
09. The love ★★★★★★★★★★
10. All my love is here for you ★★★★★★★★☆☆
11. Drive All Night ★★★★★★★★★☆
12. Sugar ★★★★★★★★★☆

 

 

 約1年4ヵ月ぶりとなる13thアルバム。

 

 2010年3月リリースの『Another World』以降は、時代の最先端サウンドをベースにしたアルバム制作がされていましたが、今回はトレンドもしっかり押さえつつ、ポップスやファンク、ヒップホップ、R&B、EDMなど、これまで彼らが着手してきたサウンドを総括したようなラインナップとなっておりば。総括といっても、『Forever Memories』『SUPER LOVER』『Long Road』みたいな初期のアイドルポップスは一切登場しないので、その手のナンバーを期待しないように。

 

 そして、今回は慶太が収録ナンバー全てをプロデュースしていることもトピックの一つ。それも、作詞作曲、ボーカルプロデュース、トラックプロデュースまで務めるオールマイティーぶりを発揮しちゃってます。ここまでくると、ミックスやマスタリングに留まらずCDプレスまで自らの手で演るようになるかもわからんな。

 

 ほんで、彼が手掛ける楽曲がいちいち凄い。その凄さは『We Don’t Need To Talk Anymore』(2017.1.11)が世に出た時点でもう明らかでしたけど、決してクリエイターとして一発屋的な存在ではないということを改めて実証してます。

 

 本作のリード曲である『Temporary』が私的にもハイライトにあたる楽曲で、現在のトレンドの一つであるフューチャーベースを取り込んだR&Bナンバーであります。ドロップ(サビ)で鳴らされるフューチャーベースとオリエンタルな音色が、歌詞の通り「刹那に輝く 瞬間に咲く」花火の 儚い様相を鮮明に映し出しています。

 

 

 また、『Time Has Gone』もフューチャーベースを駆使したR&Bナンバーなのですが、こちらはサビでフューチャーベースを鳴らすと同時にボーカルチョップ(ボーカル素材を切り刻んで再構築する手法)を採用しているのが特徴的。これによって、楽曲の詞世界にある「記憶や思い出が徐々に砂嵐で覆われぼやけていく」様や切ない心模様を巧みに具現化していて これまた鮮やか。

 

 

 んでんで『Dirty Talk』はセクシーもといエロさ開けっ広げのスタイリッシュなニュージャックスウィングナンバー。リズムワークだけじゃなく、煌びやかさや艶やかさを有したアーバンなムードメイキングまで、隆盛期に鳴らされていたニュージャックスウィングの系譜をしっかり継承し、それを現代の音でアウトプットしてます。んでボーカルワークがまた良いんだよな。Aメロで柔らかでウェットな感触の落ち着いた歌唱からBメロCメロでファルセットを駆使せず徐々にトーンを上げて高音で歌い上げる歌唱法への変遷や、バックでの吐息アプローチによるセクシーさ演出もサウンド同様に重要なポイントであります。

 

 

 その他、レイドバックしたファンクナンバー『Bring back the summer』、浮遊感を生み出すエレクトロサウンドが揺らめくミドルR&B『I missed you』、90s R&B的なシックさや甘み、切なさを含有した『Celebration』、他の収録ナンバー以上に3人のボーカル・ラップワークがオリジナルカラーを上手いこと打ち出したR&B/HIP-HOPナンバー『We Gotta Go』、今や慶太の武器の一つとしてすっかり定着したファルセットで真っ当なメッセージを投げかける煌びやかなミドルR&B『Stay Gold』、幻想的な空気感を纏ったアンビエントR&B『The love』、モノクロな雰囲気に包まれたアンビエントR&B『All my love is here for you』、小気味よいカッティングギターと打ち込みベースの鳴りが気持ちいいダンサブルかつ疾走感あるファンクナンバー『Drive All Night』、1コーラス目ではBメロがサビを、2コーラス目ではAメロがサビの役割を担うといった具合に メロディの立ち位置が曲展開に応じて変わっていく まさにT-BOLANの『Bye For Now』のような構成の麗しく雄大なバラード『Sugar』と、いつも以上に水準が高い名曲佳曲を畳み掛けてきます。一曲毎の尺がさほど長くなく、トータル50分以内で聴けるコンパクトな収容や、音数が少なくなったこともそうですけど、音楽ストリーミングサービス・Spotifyで聴かれることを意識した上でのこういった配慮も個人的にはプラス要素。

 

 なんつーか、「僭越ながらチャレンジしてみました」的な感触が全くないんですよね。クリエイターとしてのキャリアがさほど長くない割りに拙さとか粗っぽさがこれっぽっちもないし、見よう見まねで表層だけを取り繕ったなんてことも断じてなし。単にトレンドに乗っかるわけじゃなく、慶太なりに世界のトレンドをフレキシブルに咀嚼し、日本ならではの情緒やメロディアスさなどを織り交ぜながら高い質を以て確信犯的にアウトプットしてるのが素晴らしいっすな。

 

 日本でこの手のサウンドを鳴らしてるアーティストはまださほど多くないし、ましてやダンスボーカルユニットが自身でクリエイトまで手掛けちゃってるという。本格的にアーティスト志向に振り切ってもうすぐ10年になりますけど、その中でも本作は、w-inds.だけじゃなく日本のダンスボーカルユニットの歴史においても、演じ手の音楽に対するクリエイティブな姿勢や取り組みがしっかり結実したという点でエポックメイキングな一枚。w-inds.の最高傑作でもあり、2018年最強を誇る一枚でもあります。

 

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