アルバム感想『瞬間的シックスセンス』/ あいみょん


『瞬間的シックスセンス』/ あいみょん
2019.2.13
★★★★★★★★★☆

01. 満月の夜なら ★★★★★★★★★★
02. マリーゴールド ★★★★★★★★★☆
03. ら、のはなし ★★★★★★★★☆☆
04. 二人だけの国 ★★★★★★★★★☆
05. プレゼント ★★★★★★★★☆☆
06. ひかりもの ★★★★★★★★☆☆
07. 恋をしたから ★★★★★★★★☆☆
08. 夢追いベンガル ★★★★★★★★☆☆
09. 今夜このまま ★★★★★★★★★☆
10. あした世界が終わるとしても ★★★★★★★☆☆☆
11. GOOD NIGHT BABY ★★★★★★★★★☆
12. from 四階の角部屋 ★★★★★★★★☆☆

 

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 約1年5ヵ月ぶりとなる2ndアルバム。

 

 前作とは明らかに風格が別モンです。前作まであったアマチュア臭さとか荒削り感とかすっかり薄れており、メジャーフィールドで活躍するアーティストらしい佇まいを魅せています。今までダッサい部屋着を着て ニキビもシミもソバカスもお構い無しなすっぴん状態のまま外出していた子がちゃんとメイクをするようになって 私服もある程度まともなものを着用するようになったっていう、そんな感じの変化。

 

 この変化は「漂白」ではなく「洗練」ですね。歌詞の綴り方にしてもそうだけど、いちばん大きく変化したのはボーカル。純粋に歌が上手くなってるし、微細な感情表現も向上してるし、知名度や人気、セールスだけじゃなく、スキル面でも順当にステップアップしてるじゃないすか。

 

 夏休みのある小学校時代に帰りたくなるノスタルジックな爽快ミドルナンバー『マリーゴールド』、清々しくも切ない余韻を残すミドルナンバー『今夜このまま』といったシングル2曲は、あいみょんがかねてより有していた優良なメロディセンスがしっかり普遍性を伴って本領発揮された佳曲。

 

 

 んで同じくシングル曲である『満月の夜なら』は、言葉や歌を強調すべく敢えてアレンジをシンプルに抑えたグルーヴィーなポップナンバー。といっても、いわゆるダンスチューンだとかファンクナンバーといった類のものではないのですが、これは聴いててノレるし、ベタつきのない爽やかな甘みある雰囲気もあって とても心地良い響き。そして、歌詞がまた良いっすね。内容は明らかに情事を歌ったものですけど、描写がものっそくカジュアルだし、「君のアイスクリームが溶けた」だの「白い 深い やばい 神秘の香り」だのイマジネーションを掻き立てるフレーズチョイスが実に巧み。さらには、平歌もサビも関係なく韻を踏むことで メロディだけでなくリズム面でも軽快ながら強力な求心力を生み出してるという。名曲じゃないすか!あいみょんの全楽曲の中でもこれがいちばん好きかも。

 

 

 アルバム曲だと、『二人だけの国』が特に耳を惹きます。本作どころか これまでの彼女の楽曲にもなかった 浮遊感ある空間的なサウンドだけでも強烈なインパクトを放っているし、愛し合いながら心中する模様を描写した歌詞もまた異彩。内容そのものというより、やっぱりフレーズチョイスが、ですけど。「ナンマイダ~ナンマイダ~」って念仏唱えちゃってますからね。しかも生気が抜けかけたような声で。徐々に解放されていくようなイメージのサビは昇天してる様を表現してるのかしらん?

 

 

 マーチング的なリズムの開放的なポップサウンドに ガチ恋模様を描写した自称気持ち悪い歌詞を乗っけてしまった『ら、のはなし』、まるで女神の目線で綴られたような歌詞が印象的な 思わず涙が沸き上がってきそうなほど輝きに溢れたミドルナンバー『プレゼント』、ELTの『ソラアイ』に通ずる温かさと切なさを内包したサウンドに 繊細で力強い意思を乗せたバラード『ひかりもの』、恋することで感じたプラス要素もマイナス要素も余すことなく綴ったアコースティックナンバー『恋をしたから』、自暴自棄に陥りながらもさりげなく「明日は明日の風が吹く」精神を胸に秘めているやさぐれロックナンバー『夢追いベンガル』、陰りを帯びていながらも力強さを覗かせたミドルナンバー『あした世界が終わるとしても』、抑制しがたい性欲を忍ばせながらもおセンチで爽快なポップソングに仕立て上げた『GOOD NIGHT BABY』、ネジが外れたように荒くれるアンサンブルと あさっての方向に鳴り散らすブラスサウンドが前曲までの綺麗な流れをぶち壊す痛快ロックナンバー『from 四階の角部屋』と、その他のアルバム曲も抜かりなく充実しています。

 

 あからさまな毒々しさやアバンギャルドさは控えめになっているけれど、このアルバムを聴いて改めて気付かされたのは、彼女の本質はそこではなく、人間誰もが持っている純粋さも歪さもナイーブさもアブノーマルさも全て選り好みせず飲み込んで包み隠さずアウトプットするスタイル…自分が自分であることに対し、そして自分がひとりの人間であることに対する 潔く誠実な姿勢。その点に関しては本作でも変わってはいないし、楽曲自体も元からポップでメロディも相変わらず上質。私的には前作よりも本作のほうが好きだな。良作であります。

 


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