アルバム感想『CHRONICLE VIII・記 八』 / Ayasa(絢沙)


『空想冒険音楽集「CHRONICLE VIII・記 八」』 / Ayasa(絢沙)
2019.9.1
★★★★★★★★★☆

楽曲一:帝都ハ闇二包マレテ ★★★★★★★★★★
楽曲二:サーカス団其ノ名ハ「アカツキ」 ★★★★★★★★★☆
楽曲三:伝書鳩ヨ、行ケ ★★★★★★★☆☆☆
楽曲四:婦人記者瑠璃子ノ秘密 ★★★★★★★★★☆
楽曲五:陸軍高岡式光学反射砲乙号 ★★★★★★★★☆☆

 

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 CHRONICLEシリーズ3作連続リリースのラストとなる作品。

 前2作(ただし、アニソンカバーは除く)とはまた趣が変わったアルバムで、どうやら「架空の怪奇映画のサウント゛トラック」というコンセプトみたいなものを掲げてるっぽい。レトロタッチの和風アレンジがアルバム全体の雰囲気を決定づけており、ジャケ写のイメージがそのまんま体現されてます。

 

 本作の幕開けを務める『帝都ハ闇二包マレテ』がいきなり個人的ハイライトナンバー。アルバム全曲に言えることですけど、この曲は特に 古ぼけたバックトラックと 「艶」や「濡れ」を帯びたバヨリンとの絡み合いが絶品。単に不穏なだけでなく色気や奥ゆかしさをも孕んでいて、危なげながらもついつい惹かれてしまいます…これぞ「妖艶」!

 

 

 続く『サーカス団其ノ名ハ「アカツキ」』も大正や昭和初期を想起させるレトロな音世界で、こちらはどこかコミカルさや娯楽的な躍動感を有した ちょっと楽しげなナンバー。拍子やテンポが変わり、ハシャぎにハシャいで再度 元の拍子とテンポに戻るくだりは まるでゼンマイで動く玩具のよう。

 

 『伝書鳩ヨ、行ケ』は、スカのビートでツタツタ駆けるナンバーで、なんかタイトルから想像してたのと だいぶ異なる雰囲気。こちらはコミカルというより なんかダサいという感じがしますが、その分Ayasaさんのバヨリンが織り成す壇蜜ばりの艶かしさが異様に際立ちます。

 

 『婦人記者瑠璃子ノ秘密』は、雨の日の喫茶店に独り身の女がぼっちでお茶してるみたいな画が浮かんでくる ちょいと洒落た一曲。楽曲の下地となっているアコギが シンプルな演奏で哀愁を滲ませつつオシャレ感を醸成。バヨリンも併せてうっすらとセピアの色味を出すことでアルバムの雰囲気にもしっかり馴染んでいて 実に上手い。

 

 そしてラストの『陸軍高岡式光学反射砲乙号』は、まるで開戦前夜のような険しくヘヴィなムードが蔓延したナンバーで、モノクロの世界大戦の画が自ずと浮かんでくるような深刻さ。いちばんの聴きどころは、佳境に相当するパートで シリアスな空気感をさらに煽るAyasaさんの細やかに刻むプレー。その後も悲痛な叫びにも似た超高音も耳を惹きます。今までにない重苦しい余韻を残して本作は幕を閉じます。

 

 僅か5曲にして随分と深みある空想の音世界。曲調も色んなタイプのものがあるし、意外性もあってこれまでの作品とはまた違う楽しさを堪能させていただきました。

 

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