アルバム感想『KiLLER BiSH』 / BiSH


『KiLLER BiSH』 / BiSH
2016.10.5
★★★★★★★★★☆

01.DEADMAN ★★★★★★★★★☆
02.ファーストキッチンライフ ★★★★★★★★★★
03.オーケストラ ★★★★★★★★☆☆
04.Stairway to me ★★★★★★★★☆☆
05.IDOL is SHiT ★★★★★★★★☆☆
06.本当本気 ★★★★★★★★★☆
07.KNAVE ★★★★★★★☆☆☆
08.Am I FRENZY?? ★★★★★★★★★★
09.My distinction ★★★★★★★★★☆
10.summertime ★★★★★★★★☆☆
11.Hey gate ★★★★★★★★☆☆
12.Throw away ★★★★★★★★★☆
13.生きててよかったというのなら ★★★★★★★★★★

 

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 前作から約9ヵ月ぶりとなる3rdアルバムで、メジャーとしてはこれが初となるオリジナルアルバム。ハグ・ミィが脱退し、アユニ・Dが加入してから僅か2ヵ月後にリリースされました。ちなみに、このあたりからキャッチコピーが「楽器を持たないパンクバンド」に変わったっぽい。

 

 メジャーに進出したからといって丸くなったり小綺麗になったりということは全く以て皆無。むしろ今までよりも荒々しくかつ刺々しくなってるやんかと笑。インディーズの2作よりもこっちのほうがBiSのイメージに近く、全体的に ならず者の卑屈さや自暴自棄ぶりなどドス黒いオーラが渦巻いてるような感じがしますな。

 

 1曲目の短尺ハードコア『DEADMAN』にその殺気立ったピりつきが端的に表れてます。機械処理された絶叫と、メジャーに進出したというのに相変わらず粗雑なサウンドプロダクションが、まさに上の人間に向かって歯向かう愚か者の様相をまんま音像化しているかのようで面白い。

 

 それに続く『ファーストキッチンライフ』でもそのピリついたムードや音触りが継承されており、鳴らされてる音だけじゃなく、出で立ちや精神性、脳の中身までもがもはやパンキッシュという域にまで達してます。文字では『ファーストキッチンライフ』と謳っていますが実際には「ファッ○ン・マイライフ」と歌っているということは、要するにコレこそがこの曲のテーマということなんでしょうな。凄まじいドラムプレーにギターサウンドが埋もれがちだったり、リンリンが手掛けた歌詞には「情報テレビのおっさん」「世間知らずの位を舐めんなよ」「誰も止めること出来ない 戻られない」「批判なんて敵だ」など変な日本語が多々混じっていたりと明らかに様子がおかしい箇所もあったりしますが、そういうアンバランスさやカオティックさも込み込みでパンキッシュを体現。そして、ここでのアイナの歌唱は、感情の歯車がイカれたような素振りで実に痛快。メンバーの個性が アイドル界におけるBiSHのカウンター的な立ち位置とフィットして歪に昇華された名曲であります。

 

 

 『stairway to me』はタイトルから想像できる通り、レッド・ツェッペリン『Stairway to heaven』を意識した曲展開で魅せる BiSHにしては渋みあるナンバー。前半の陰鬱なメロウパートも良いし、後半のハードロックのパートも本作の中でもずば抜けてカッコよくて最高なんですけども、終盤で甲高い絶唱を魅せるどころかボーカルパート自体がないまま幕を下ろしてしまうのがなんとも。筆致は雑でもいいから最後まで律儀に元ネタをなぞりゃいいのに。

 

 そして、個人的にハイライトとして挙げたいのが『Am I FRENZY??』。これは なんといっても、血反吐まみれのズタボロな姿が容易に想像できる リンリンの絶唱が強烈!「息とめては生き返りそう 死にきれない 殺してくれ 赤に染めてく絶望 あ”ぁぁぁぁぁ」という生き地獄のフレーズをここまで生々しく表現できるってスゲーな。あまりに生々しすぎて、言葉がリンリンの表現力に逆についていけてないもんな笑。「あ”ぁぁぁぁぁ」っていうワードじゃ流石にヌルくて何も知らない人には凄みが全然伝わらない。とりあえず聴けっ!!

 

 

 ほんで、今やBiSHの代表作として挙げられることが多くなった『オーケストラ』は、これまでのBiSHにはなかった ドラマティックなメロディアスアップナンバー。曲自体は本当に素晴らしいです。でも諸手を挙げて喜べる仕上がりにまで至っていないのが正直なトコ。各メンバーの歌唱力がその要因なのですが、楽曲が欲しているレベルに表現力が追い付いてなくて どうしてものっぺり聴こえてしまうし、変なトコでブレスが入って歯切れが悪くなったり 声量不足でオケに飲まれてしまってるのも大きな痛手。さらに言うと、サウンドプロダクションの粗雑さがここでは足枷になってしまってる。本作収録の大半の楽曲ではその粗雑さが各楽曲やユニット自体のコンセプトに合致していてプラスに作用してますけど、この手の楽曲はやっぱりクリアで奥行きのあるサウンドに仕立てないとスケール感の打ち出しようがないし。スキルアップを果たした際に改めて録り直ししてほしい曲ですな。

 

 その他、NIGHTMARE(ナイトメア)のRUKAが楽曲提供した V-ROCKの香り漂うラウドロック『IDOL is SHiT』、ザコキャラの不屈の精神が爆発した アユニ・D作詞のエモーショナルなラウドロック『本当本気』、攻撃性と感傷性の双方が研ぎ澄まされたハードコアナンバー『My distinction』、本作では数少ない明るめな雰囲気のアメリカンロックナンバー『summertime』、「王道アイドルなんざ まっぴらごめんだ」とでも言いたげなメロコアナンバー『Throw away』、ハートフルな歌メロと、卑屈さを剥き出しにしつつ ささやかでも安らぎを求めようとする歌詞に泣けてくるミドルナンバー『生きててよかったというのなら』など、クオリティもハードエッジぶりもやたらキレた名曲・佳曲がガンガン繰り出されておりば。

 

 メジャーに進出し、グループの人気や注目度が目に見えて高まってるこのタイミングでのこの攻めっぷりはシンプルに凄い。カウンターカルチャーでサバイブするアイドルの生き様を刻み付けた好盤であります。

 

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