アルバム感想『THE GUERRiLLA BiSH』 / BiSH




『THE GUERRiLLA BiSH』 / BiSH
2017.11.29
★★★★★★★★★★

01. My landscape ★★★★★★★★★☆
02. SHARR ★★★★★★★★☆☆
03. GiANT KiLLERS ★★★★★★★★★☆
04. SMACK baby SMACK ★★★★★★★★★☆
05. spare of despair ★★★★★★★★☆☆
06. プロミスザスター ★★★★★★★★★☆
07. JAM ★★★★★★★★☆☆
08. Here’s looking at you, kid. ★★★★★★★★★☆
09. ろっくんろおるのかみさま ★★★★★★★★★☆
10. BODiES ★★★★★★★★★★
11. ALLS ★★★★★★★★★★
12. パール ★★★★★★★★★☆
13. FOR HiM ★★★★★★★★★☆

 

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 フルアルバムとしては約1年ぶりとなる4thアルバム。

 

 本作リリースに先駆け、2017年11月4日、全国のタワレコで歌詞カードなしの本作CDを2日間限定299円でゲリラ販売したり、11月5日に大阪・道頓堀でゲリラライブをしたり、11月6日にiTunes Storeにて1日限定アルバム300円で先行配信したりと、アルバムタイトルに掛けたゲリラプロモーションが実にインパクト絶大でしたが、アルバム自体の仕上がりも その話題性に飲まれるどころか この1年間の飛躍ぶりに相応な勢いが実感できるものになってます。

 

 オープニングの『My landscape』からして凄い脂の乗り様。『プロミスザスター』以降BiSHの定番スタイルの一つとなった 煌びやかなメロディとスケール感を携えたロックナンバーの第4弾で、これまでとはまた少し違った荘厳なストリングスアレンジと グルーヴへの意識をより高めたメロディに対する言葉の宛がいが特徴的ですな。プロデューサーであるJxSxKこと渡辺淳之介氏が手掛けた歌詞はメンバーの手によるソレと同様に文字だけ見るとちょいちょい日本語がおかしかったりするんですけども、光を目指して地獄から這い上がってくようなサウンドをバックに その歌詞がメンバーの歌に乗った時、断片的なそのフレーズ一つ一つが不思議と説得力を持つんですよね。歌唱力自体は高いとは言い難いけど(それでも着実にスキルアップしてますけどね)表現力が以前よりもさらに向上しているがゆえに胸に迫るものがあります。狂気やギミック、アバンギャルドさだけでシーンを引っ掻き回してるんじゃねーんだぞというのがこの1曲だけでも十分わかるかと思います。

 

 

 なんて言ってるそばから次曲のスクリーモナンバー『SHARR』では狂気剥き出しのシャウトが炸裂しちゃってますけど。これまでにもメンバーがシャウトしている楽曲はいくつかありましたが、それらと違うのはシャウトに全くエフェクトが掛かってないということ。つまり響きが生々しいということですね。欲を言えばもちっと声量と迫力が欲しいなってのが正直なトコですけど、前作まであった負け犬の遠吠え感がすっかり解消されてるトコは良かったなと。

 

 その後も、ミニアルバム『GiANT KiLLERS』のリード曲『GiANT KiLLERS』、「逆らっていたくない 心地良く縛られて」と 敢えて従順なスレイヴに扮することでその様を皮肉るスパイシーなロックナンバー『SMACK baby SMACK』、奇天烈なギターリフやクセのある歌謡メロがまんま9mm Parabellum Bulletな歌謡ロックナンバー『spare of despair』と攻めの楽曲を畳みかけ、前半ラストには 彼女たちの代表曲の一つとなった『プロミスザスター』が鎮座。アルバムの終盤ではなく、このポジションに配置しているのが逆に良いですな。これによってアルバム全体が引き締まってる感じがするというか。

 

 

 本作のど真ん中に位置する『JAM』は、アイドルポップスをロックテイストでアレンジしたミドルバラード。曲自体は普通に良いって感じですけど、バラードも落ち着いたテンポの曲も本作にはこれ一曲しかない上に それ以外はアクティブなロックナンバーばっかなので かなり貴重な存在。RPGでいう宿屋みたいな存在ですよ。

 

 そして後半戦。『Here’s looking at you, kid.』は、作風こそこれといって特に真新しさのないオーソドックスなガールズロックですが、それを発足当初「新生クソアイドル」と謳っていたBiSHが演っているということを考えると逆に異色の存在。リンリンが手掛けた歌詞にも「犯した傷の味見をしたらピーターパンも大人になれんだ」なんつーユニークなフレーズが飛び出すし、アヴリル・ラヴィーンちっくな痛快ロックサウンドに乗せて お前らスフィアかよって言いたくなる陽性なオーラとガーリッシュな可愛らしさをぶっ放してるわけですから面白くないわけがないやんかと。

 

 そしてさらにさらに…自分の思うままに生きる覚悟を刻み付けた 青臭く清々しいロックンロールナンバー『ろっくんろおるのかみさま』、歌メロやギターサウンドがくっそエモーショナルすぎるハードロック『BODiES』、『SHARR』での血に飢えた獣みたいなシャウトと違い 未成年の主張で屋上から叫ぶ女子中高生みたいなシャウトに不覚にも萌えてもうた 続・エモーショナルなハードロック『ALLS』、ストリングスアレンジと猛烈なドラムプレーによりコズミックなスケール感を有した2ビートのハードロック『パール』、イントロやサビでのギターが実にブレイブリーでカッコいい シンプルなロックナンバーでありつつもエンドロールやカーテンコールに相応しい風格の『FOR HiM』と…

 

 後半は最後の最後までアッパッパーなノリでかっ飛ばしてます。怒涛の勢いで畳みかけ、終盤ドラマティックな展開に持っていき、ヒロイックな素振りでピリオドの向こうへと飛び立っていく…みたいなこの流れが熱くてたまらんですな。これまでより音数を控えめにした代わりに演奏のダイナミズムが増したのも好印象だし、楽曲やメンバーの歌唱が前年よりも目に見えて洗練されてきたのもプラスポイントでしかない。難点を挙げるならば、やっぱサウンドプロダクションかな。敢えてズタボロな音触りを選択したような前作よりは流石にマシだけど、それでも楽曲の真価をフルで発揮している鳴りとは言い難い。まあでも不満はそんぐらいで、総合的には過去作よりも断然良い。前回のミニアルバムで簡易的に提示したBiSHのスタイルや アイドル界のカウンター的立場として攻めることを止めない前のめりぶりを1枚のフルアルバムにぎゅうぎゅうに詰め込んだ傑作であります。

 

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