アルバム感想『LETTERS』 / BiSH


『LETTERS』 / BiSH
2020.7.22
★★★★★★★★☆☆

01. LETTERS ★★★★★★★★☆☆
02. TOMORROW ★★★★★★★★☆☆
03. スーパーヒーローミュージック ★★★★★★★★☆☆
04. ロケンロー ★★★★★★★★☆☆
05. co ★★★★★★★★☆☆
06. ぶち抜け ★★★★★★★★☆☆
07. I’m waiting for my dawn ★★★★★★★★★☆

 

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 メジャー3.5thアルバムと称されたBiSHの新作。元々シングルとして発売予定だったタイアップ曲3曲と、新たに制作された4曲を収録した、全7曲入りの作品ではありますが、ミニアルバムではなくオリジナルアルバムとしてカウントされてるっぽい。

 

 コロナ禍の状況を踏まえたメッセージ性と 沸き上がる活力を密封したようなラインナップで、BiSHの武器の一つである刺々しさやデンジャラス感は激薄。そしてミドル/バラード系は一切収録されてません。それはつまり、正攻法の楽曲だけでも十分勝負できるだけの説得力があり(純粋な歌唱力とはまた別の話)、そういうポジションにまでようやく辿り着いたと自負しているということの表れですよね。

 

 リード曲である『LETTERS』は、ストリングスアレンジが清く高らかに立ち昇る眩いポップロックナンバー。『オーケストラ』や『プロミスザスター』とは系統が似てるようでだいぶ違います。自己主張感がやや優勢なそれら2曲に対して、こちらは相手に伝えることに重きを置いてる印象で、歌や音触りも比較的柔らかめ。
 歌詞はまさしくイマ、2020年に生きる我々人類に向けたド直球のメッセージって感じで、品行方正を重んじる私立校の先公が100点満点中の98点をつけちゃうような真っ当ぶりと優等生ぶりが表出しています。が、そんな中、「辛さすら飾りにしてやる 本当人間ってやつは面白いけど弱い」という、クソアイドルから成り上がったBiSHらしい なにくそ精神や、この状況下で浮き彫りになった人間の本質を端的に表した BiSHならではというほかないフレーズの存在が際立つし、そのパートを BiSHの象徴であり空前絶後のオリジナリティを有したアイナに託しているのが実にファインプレーすぎる。

 

 

 

 アニメ「キングダム」タイアップに相応しい熱血でゴリゴリなハードロック『TOMORROW』も期待に違わぬ佳曲だし、サビにおけるアイナのハスキーさフルスロットルな歌いっぷりに鼻血ブーを禁じ得ない爽快メロコア『co』、行儀よく真面目になんて出来やしなかった中学生時代に帰りたくなる的ノスタルジーを含有した おセンチメロコア『ぶち抜け』、泥まみれなメロコアナンバー『スーパーヒーローミュージック』もなかなか好感触。

 

TOMORROW
BiSH
2020/07/22 ¥255

 

 てゆーか『スーパーヒーローミュージック』のサビ「匙を投げたならすぐに拾えばいいだろ」とかいう無茶苦茶なフレーズがアユニっぽくて面白い。言いたいことはなんとなく分かるけども、それって ジャッキーチュンに苦戦して「どうしたらいい!?」と助けを求めてるクリリンに対して 悟空が「勝て!勝つしかない!」って言ってるようなもんだからね。アドバイスにも後押しにもなっとらんわと。

 

 東京スカパラダイスオーケストラをフィーチャーしたビッグバンド系アップナンバー、またの名をブラックチェリー系ナンバーともいう(Acid Black Cherry『Black Cherry』、田村ゆかり『Black cherry』みたいな作風ゆえ)『ロケンロー』は意外性もあってちょっと驚き。
 BiSHがこの手の楽曲をやるとは思ってなかったし、そもそも こういうストリップを連想させる いかがわしい雰囲気のサウンドに、それとは全く関係ない コロナ禍の現状を踏まえたメッセージを乗っけてんのが何気に「!?」って感じ。ほんで「わけもわからぬ おっさんにもたれて 助けてくれない 当たり前のこと」と政治に切り込んだと思わしきフレーズまでぶち込まれてるのも目を惹きますな。

 

ロケンロー
BiSH
2020/07/22 ¥255

 

Black Cherry
Acid Black Cherry
2008/02/20 ¥255

 

Black cherry
田村ゆかり
2006/04/19 ¥255

 

 そしてラスト、イントロが流れた瞬間スピッツを思い浮かべちまうこと不可避のエバーグリーンなミドルアップ『I’m waiting for my dawn』も良い曲。
 否応なしにグッときちゃう瑞々しいメロディに 人と人との温かい繋がりを求めるナイーブな歌詞が乗っかった曲なのに、サビの「手と手合わせたい」のくだりで、ふざけ半分でしゃくれるように「たい~♪」と歌っちゃうとは 一体なにごとざますか!?「え、BiSHらしさってそういうことだっけ?」と無駄に大マジで考えちゃったりもしたけど、シンプルに面白い。

 

I’m waiting for my dawn
BiSH
2020/07/22 ¥255

 

 BiSHに対して 歪さや毒々しさ、何しでかすか分からんヤバい連中感を執拗に求めてるとかでなければ聴いて損はないです。そして私的には、このアルバムを通じて BiSHの根本にあるものとは何なのか、そしてそれが如何に素晴らしいものなのかを改めて汲み取ることが出来たんで、それもちょっとした収穫ですかね。アイナだけがやたらクローズアップされがちだけど、メンバー全員が歌唱面でも立派にキャラ立ちしてるし、どんなに正統派に寄った楽曲でも、歌詞におけるフレーズチョイスにBiSHならではの味が潜んでるから、一見オーソドックスなメロコアでも「誰が演ったって同じだろ」みたいなトコには決して着地しないと。
 あと、個人的に今回はアユニのボーカルが特に奮闘してんなって感じがしました。てゆーか、いつもに比べてやけにアユニの声が目立ってやがる笑。なんでや。

 

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