日別アーカイブ: 2019年1月23日

アルバム感想『supersonic girl』/ 水樹奈々


『supersonic girl』/ 水樹奈々
2001.12.5
★★★★★★☆☆☆☆

01. Love’s Wonderland ★★★★★☆☆☆☆☆
02. The place of happiness ★★★★★★☆☆☆☆
03. supersonic girl ★★★★★★☆☆☆☆
04. Heaven Knows~Brave edit~ ★★★★★★☆☆☆☆
05. 想い~Pedigreed mix~ ★★★★★★★☆☆☆
06. Look Away~All together version~ ★★★★★★★☆☆☆
07. TRANSMIGRATION ★★★★★★★★★★
08. LOOKING ON THE MOON ★★★★★★★★★☆
09. 真冬の観覧車 ★★★★★★★★☆☆
10. NANA色のように ★★★★★★★☆☆☆
11. 水中の青空 ★★★★★★★☆☆☆
12. WINDOW OF HEART ★★★★★★☆☆☆☆

 

 

 声優界のトップランカー・水樹奈々さんの1stアルバム。

 ”supersonic girl”などと まるでPerfumeみたく時代のトレンドに乗っかりポップアイコンとして振る舞っています的なタイトルが冠されていますが、実際のところトレンドどころか本当に2001年発売なのかと疑いたくなるくらい古臭いJ-POPばっかで、初っ端の『Love’s Wonderland』から思わずズッコケちまうこと不可避。

 

 アイドルポップスとか しっとりバラードとか ボサノバちっくなやつとか テレ東アニメのテーマソングっぽいのとか色々あるけど、どれもこれも消化不良で各楽曲の質はことごとくイマイチだし、サウンドプロダクションもうっすら淀みかかってるし、奈々さんのボーカルもJ-POP慣れしてないし(そもそもその手の楽曲に適してない)で、全体的にとにかくチープ。そしてハンパ感がハンパない!プロデューサーであるアキオこと三嶋章夫氏は奈々さんをアーティストとして育て上げようとしてたはずですが、こりゃあどう聴いてもB級アイドルやんかと。どこをどう取っても東京ドーム公演で成功を収める姿は全く想像できやせんぞと。

 

 生音っぽいドラムのリズムとかブラックな女性コーラスのせいで なんかソウルっぽく聴こえる『supersonic girl』も表層を取り繕うことすらまともにやれちゃいないし、 歌メロがもろ90sアニソンな『The place of happiness』とかエッジの効いたロックサウンドで仕上げればめっちゃカッコよくなっただろうに、ああなんと安っぽい仕上がり。

 

 『Heaven Knows~Brave edit~』も なんだか鬱な響きのマイナーなAメロ(といってもラップですけど)からBメロでメジャーに転じ、サビではforbidden loverのように空高く舞い上がるという展開を魅せるサウンドがまるでテレ東アニメのテーマソングのようで面白いんですけどね、如何せんサウンドプロダクションが…。儚げな雰囲気のミディアムナンバー『水中の青空』も同様の理由でめっちゃ勿体ないなあって感じが。

 

 「キミを探してる キミの心の中 キミが見えなくて 空が遠くに見える」と不安定な心境を歌った質素でナイーブなミドルスロー『想い~Pedigreed mix~』や、 ギターとパーカッションによるボサノバ調の癒しソングながら「わたしの中にもきっと悪魔は住んでる」とウィスパー気味にサラリと歌っちゃう『Look Away~All together version~』、クリスマスバラード『真冬の観覧車』、演歌チックなこぶしのきいた歌い回しが発動した穏やかスローバラード『WINDOW OF HEART』あたりは、上記のアップナンバーよりは幾分まともに聴けます。あくまで相対的に、っていう意味で。

 

 サビで「めげてるときには夜空を見上げてみようよ」と歌うも、音的には気持ちのいい青空が真っ先に浮かんでくる 爽やかミディアムアップなアイドルポップス『LOOKING ON THE MOON』は、劣悪なサウンドプロダクションがB級アイドルっぽさに拍車をかけており、図らずも旨味として機能してしまってます。奈々さんのポップスに不慣れなハイトーン歌唱と相俟って萌えと切なさを醸し出しており、これは中々好きな曲です。一応 本作中では最もハジケてるアイドルポップス『NANA色のように』は、特別このサウンドプロダクションが有用してるとは思わんけど、まあまあ良い曲。

 

 そして、ライブ人気が高い『TRANSMIGRATION』は、次作以降でプロデュースを手掛けることになる 矢吹俊郎氏が手掛けたヒロイックな歌謡ロックナンバー。奈々さんの歌唱が情熱的で 他のどの収録曲よりもサマになっていることもあり、楽曲の仕上がりについても飛び抜けて上々。「思い出した深い記憶~愛した人はあなた 結ばれぬままここまで来たよ~今度こそ私だけのためもう一度‘愛’故に落ちてゆく奈落」といった、前世では結ばれなかったが「輪廻」して再びあなたと出会い、また愛していく様を描写した歌詞もまた情熱的でドラマティック。

 

 ということで、ビギナーが最初に聴くには薦めにくいアルバムですが、ひたすら大人に振り回されているB級アイドルの奈々さんを拝めるのはこの作品だけだし、ライブアレンジ次第で良曲へとアップデートし得る楽曲もあるので、珍味を嗜みたいとかライブに向けてコンプしときたいという人は是非とも。

 

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