『Ultra Beatdown』/ Dragonforce
2008.8.20
★★★★★★★★★★
01. Heroes of Our Time ★★★★★★★★★☆
02. The Fire Still Burns ★★★★★★★★★☆
03. Reasons to Live ★★★★★★★★★☆
04. Heartbreak Armageddon ★★★★★★★★★☆
05. The Last Journey Home ★★★★★★★★★☆
06. A Flame for Freedom ★★★★★★★★☆☆
07. Inside the Winter Storm ★★★★★★★★☆☆
08. The Warrior Inside ★★★★★★★★★☆
09. Strike of the Ninja (生産限定盤ボーナス・トラック) ★★★★★★★★★★
10. Scars Of Yesterday (生産限定盤ボーナス・トラック)★★★★★★★★★☆
11. E.P.M. (日本盤ボーナス・トラック)★★★★★★★★★★
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約2年8ヵ月ぶりとなる4thアルバム。
デビューから(てか結成当初から?)性懲りもなく 呆れるくらいの爆走ぶりを魅せつけてきたドラゴンフォースですが、ここにきてなんか減速宣言をしたとかなんとかで、これまでの3作とはちょっと感触が異なる一枚に仕上がってます。
といっても別に路線変更したわけじゃないすけどね。タイトルで「ウルトラビートダウン」とか謳ってますけど、それは 間奏でスローパートを増やしたりとかなんとかで緩急の幅を広げたり、ドラフォにしてはちょっとテンポ遅めの曲がいくつか用意されてるという程度で、あからさまに遅い曲なんてバラードを除きゃ一曲たりとも存在しないし、むしろ今まで以上に爆走パートが引き立ったというか、曲単位でもアルバム単位でもメリハリを増したことで よりドラマティックさに拍車が掛かったような感じがして、結果的にこれは過去3作から正統進化を遂げた一枚なんじゃないかなと。
そうとも!ドラフォの「スピード」というぶっといアイデンティティは案の定ちっともブレちゃいなかったのさ!『Heroes of Our Time』『Inside the Winter Storm』みたく相変わらずドラフォすぎるとしか言いようがない曲もきちんと用意されてるし。
楽曲・アルバム全体の両方でしっかりメリハリをつけるにあたって、スローパートを増やすこと以外に色々と新たな試みに着手しているのがいいっすね。『Heartbreak Armageddon』では間奏で湿っぽい泣きのギターを聴かせたり、『The Last Journey Home』では 爆走っぷりではなく躍動感を武器にアプローチをかけてみたり。
スローパートの導入でいちばん「おおっ!?」ってなったのが『The Warrior Inside』ですね。ファンタジックなイントロの鮮やかさも然ることながら、グランドフィナーレへ向けての爆走→なんとも神々しさを放ちながらビートダウンするというこの劇的な流れがいいなあって。
『Reasons to Live』では、これまで以上にガッチガチなブラストビートを駆使しながらも、これまでのドラフォ節を一切崩さない陽性オーラを放っているのが凄い。間奏ではタンゴ風味や瑞々しさに溢れたピロピロギター/シンセを交えたりして起伏に富んだ展開を魅せているし、あとメロディアスな歌メロがより映える締めもいいですね。かつては後戯を知らないなんつー男の風上にも置けない野郎だったドラフォですが、今ではピロートークをソツなくこなせるようにまでなったみたいで。本編でもとりわけ目を惹く佳曲であります。
『A Flame for Freedom』が本作のバラード枠にあたる曲なんですけど、メロディだけをとれば なんか一気にJ-POPに近接しちゃったなって感じがしますな。スケール豊かなバラードというより、ごく普遍的な夕暮れミドルポップスをバカでかい音で鳴らしただけ、っていう曲で、これはこれでまあ面白いですよ。なんかELTが前にこんな感じのバラード歌ってた気がする。
そして今回もボーナストラックが美味いこと美味いこと!
『Strike of the Ninja』は、爆走はしてないけど 軽やかに駆け抜けるイメージのポップな曲で、メロディが先述の『A Flame for Freedom』以上にJ-POP!!しかも曲の尺が僅か3分台と、ドラフォ基準で考慮せずともコンパクトに纏まったなって感じで、新鮮味に富んでいながらも思いのほか違和感を感じない粋な一曲。なんだよ、こういうポップソングも普通に演れちゃうんじゃねーかよ!
『Scars Of Yesterday』は、ダンサブルに幕を開けるも堪えきれず爆走に転じてしまう結局系ナンバーですが、FFみたいなシンセやゴシカルなピアノ、ブラストビートなど色々と盛り込みまくりのオケが圧巻。
冒頭、8bit効果音でフェイントをかける『E.P.M.』は、いつも以上に強力な爆音の嵐が吹きすさぶ、ウルトラビートダウンするどころかドラフォらしさの極北に達してしまったようなイメージのウルトラヒートアップな一曲。途中でスローになったりゴシカルな香りを漂わせたりなんてアクセントがあるもののやっぱりアグレッシブに爆走!爆走!爆走!そしてシンセをピロピロ鳴らすばかりか、ビーイング系やつんくに負けじとオケヒを恥ずかしげもなくギャンギャン鳴らしまくる始末。最後の最後にとてつもなくスパルタな曲を持ってきやがりましたな。ウルトラスタミナダウン化を免れることはもはや不可避。
王道が衰えることなく、かつ新機軸が単なるアクセントではなく王道に引けを取らない力を発揮した、実に頼もしいアルバム。ドラフォの最高傑作なんではないかなと。
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