アルバム感想『All That We Have Now』 / Fear, and Loathing in Las Vegas


『All That We Have Now』 / Fear, and Loathing in Las Vegas
2012.8.8
★★★★★★★★★★

01. Acceleration ★★★★★★★★★★
02. Scream Hard as You Can ★★★★★★★★★★
03. Crossover ★★★★★★★★★★
04. How Old You are Never Forget Your Dream ★★★★★★★☆☆☆
05. Interlude Ⅰ
06. Just Awake ★★★★★★★★☆☆
07. Defeat and Beat ★★★★★★★★★☆
08. In the End, the Choice is All Yours ★★★★★★★★☆☆
09. Ley-Line ★★★★★★★★★☆
10. Interlude Ⅱ
11. Don’t Suffer Alone ★★★★★★★★☆☆

 

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 若手チャラリーモバンドの2ndアルバム。前作(1stミニアルバム『NEXTREME』)は満足度的に微妙でしたが、今回は初っ端からギッタギタのメッタメタのミックミクに打ちのめされました。

 

 相変わらずチャラチャラとシンセを鳴らしていますが、バンドアンサンブルが大幅に強化されており、ラウドロック・メタルっぽさがより一層アップしてます。デジタルとアンサンブルとの融合が織り成す”軟”と”硬”のコントラスト、「明⇔暗」「静⇔動」「ゴリゴリ⇔ピコピコゆんゆん」などのグラデーションが非常に鮮烈であることも耳を惹くポイントで、ノリの良さとはまた別のトコで恍惚させられました。

 

 オープニングを飾る『Acceleration』からもう強烈です。忙しなく喧噪する発色豊かなシンセが楽曲のムードを支配していますが、前述通り、バンドアンサンブルが強度を増しているがゆえ、これまで以上に骨太でゴリゴリしてんなって感触もしっかりあります。チャラチャラしてるけどチャラいという感じではなく、フューチャリスティックでダンサブルなハードロックって感じですね。終盤には怪力なブレイクダウンとグロウルで聴き手を千尋の谷に突き落とすというメタリックなどんでん返しが待ち構えており、Minamiのヤケクソ気味な絶叫で強引に楽曲を締めます。なんだこのアタマおかしいオチは。

 

 続く『Scream Hard as You Can』は、序盤こそ硬派なスクリーモといった感じで猛進しますが、1コーラス終了後の間奏以降、チャラいシンセが出しゃばるようになったり、シャウトやグロウルなどもバンバン繰り出すようになったりと、サブ的ポジションに居たMinamiが真ん中を陣取ってやりたい放題。んで、この曲随一の聴きどころはなんといっても2分台で突如起こる超スペクタクルな力業転調。スクリーモ⇒ケバいダンスミュージックへとシフトチェンジするこのくだりに本作の特色やハイライトが集約されてるといっても過言じゃないですよ。当然メロディも今までのパートと全く繋がりのないものが飛び出してくるし。その割にダンスミュージックからスクリーモに軌道修正するトコは不思議とスムーズにやれちゃったりして、曲構成スキルやセンスの進歩を実感させられます。私的に本作でいちばん好きな曲。

 

 

 そして『Crossover』。メタルコアとレイヴミュージックの二段構えでぶちかますイントロがいきなり衝撃的だし、その後も重心を下げてブレイクダウンとグロウルをキメたりハードコアモードで爆走しながら絶叫しまくったりと、これまた好き放題やり散らかしてます。いきなり見知らぬ男どもが部屋に乗り込んできて すぐさま服脱がされてヤラれちゃうみたいなこの急展開ぶり、なんじゃらほい。そして、前曲以上にMinamiの独壇場と化してます(Soもちょっとデスボで参加してるけど)。クリーンパート皆無でシャウトやグロウルしか登場しないし、「Aメロ→Bメロ→サビ」という基本的なフォーマットどころか「ヴァース→フック」とか「1コーラス目、2コーラス目」という境目や概念すらも全くないし、それなのにグズグズに陥ることなく、巧みに雑多な音楽性を詰め込んでいち楽曲として成立させているのが素晴らしいというか恐ろしいというか。冒頭2曲でバンドの成長とイカれっぷりをまざまざと見せつけられたのに、またさらに強烈な一撃を喰らわされてもうた。

 

 

 『How Old You are Never Forget Your Dream』は序盤3曲と打って変わり、鍵盤と電子音が哀愁を喚起する 本作唯一のミドルナンバー。メロディセンスの良さがひと際目立っている佳曲なのですが、この曲であのキンキンした絶叫って要るか?アクセントとかスパイスとかコントラストとか、そういう機能の仕方が全く見受けられないので、そこだけちょっとアチャーって感じ。

 

 その他、前後曲の繋ぎ的役割を全うしつつ、バンドアンサンブルとデジタルサウンドを巧みに使い分けて 鮮やかなグラデーションを見事に音像化した『Interlude Ⅰ』、メロコアを主軸にし 途中でチャラいダンスミュージックへと転じるという前作(『NEXTREME』)に通ずる作風を継承した『Just Awake』、シャッフルビートを刻むチャラリーモサウンドからは 曙がパリピの格好してスキップしてるかのような画が自ずと浮かんでくる『Defeat and Beat』、「能天気な8bitサウンドを織り交ぜたハードコアサウンド」と「重厚なメタルサウンド+グロウル」の二刀流が 天と地を行き交うかのようなイメージを喚起させる『In the End, the Choice is All Yours』、レイヴミュージック要素を前面に押し出しつつも 主にリズム隊がHR/HM感をどっしりと演出している『Ley-Line』、ボイスコラージュを駆使したデジタルアプローチ重視の『Interlude Ⅱ』、本作中でも特にパワー、アイデア、テクニック、メロディアスさを多分に詰め込んだ ド派手な打ち上げ花火的チャラリーモアップ『Don’t Suffer Alone』など、緻密でめまぐるしく展開するアグレッシブな楽曲が目白押し。

 

 サウンドアルケミストと呼びたくなる 神戸の大日本異端芸者こと フィアー・アンド・ロージング・イン・ラスベガス!神戸だか日本だかラスベガスだかよくわからんが、とにかく本作は、超サイヤ人3に覚醒したゴテンクスばりに 豊富なアイデアとさらなるアップデートを果たした演奏スキルが確かなクオリティで以って見事に結実した快作であります。

 

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