アルバム感想『HYPERTOUGHNESS』 / Fear, and Loathing in Las Vegas


『HYPERTOUGHNESS』 / Fear, and Loathing in Las Vegas
2019.12.4
★★★★★★★★★☆

01. The Stronger, The Further You’ll Be ★★★★★★★★☆☆
02. The Gong of Knockout ★★★★★★★★★★
03. CURE ★★★★★★★★☆☆
04. Great Strange ★★★★★★★★☆☆
05. Interlude ★★★★★★★★☆☆
06. Keep the Heat and Fire Yourself Up ★★★★★★★★★☆
07. Treasure in Your Hands ★★★★★★★☆☆☆
08. Karma ★★★★★★★★☆☆
09. Thoughtless Words Have No Value But Just a Noise ★★★★★★★★★☆
10. Where You Belong ★★★★★★★★★☆
11. Massive Core ★★★★★★★★★★

 

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 前作から約2年ぶりとなる6thアルバム。

 

 昨年6月にはオリジナルメンバーであるSxun(Gt.)の脱退、さらには今年1月にKei(Ba.)の急逝という予期せぬ事態が立て続けに起こりましたが、新メンバー・Tetsuya(Ba.)を迎えて復活を遂げたチャラリーモバンド・ラスベガス。

 

 作風としては、まあ相変わらずですよ。ハードコア、スクリーモ、ヘヴィメタルetc.とダンスミュージックをハイブリッドして複雑奇怪な曲展開を繰り広げるお馴染みのラスベガス劇場は激動の直近2年、ひいては母体が結成されてから10年以上の歳月を経た現在でも健在であります。つまりそれはデビュー当初から大まかな音楽性が変わっていないということになるわけで、ここ最近の作品と比べてもサウンドやボーカルのアプローチ手法に目立った変化がないので、ビギナーならともかく、ある程度以上ラスベガスを聴いてる人からしたら流石にマンネリを感じずにはいられないかもしれないっすね…っていうのは前作の時点からもうそんな感じだったんですけど笑。

 

 収録曲の半分以上は ハードコアかメタルコア系のサウンドで疾走して、必ずと言っていいほど絶叫が割り込んできて、途中どっかでブレイクダウンとかダンスミュージックとかが挿入されて、最後は絶叫しながら駆け抜ける、っていう大雑把なフォーマットがある程度出来上がってるんですよね。それもここ2,3年とかじゃなく だいぶ前から笑。

 

 しかし今回は事情が違います。演奏・パフォーマンスやクリエイティブ面での甚大な損失、メンタル面での大きなダメージなどがあったことを考えると、サウンドにしか関心のないリスナーからすれば「現状維持」に過ぎなくとも、メンバーへの思い入れがある身としては「見事に持ち直した」という印象が強いんですよね。ゆえに、私個人としてもマンネリを感じる部分はありますが、相変わらずのラスベガスサウンドに対して今回も好印象を抱いてます。マンネリっつっても、演奏もアレンジも絶叫もやっぱり「カッコいい」ってのがどうしても先行しちゃうし、2,3回聴いた程度じゃワンコーラスすら覚えられないカオティックぶりに飽きるどころか むしろ性懲りもなく痺れちゃったりしてますからね笑。

 

 Keiがレコーディングに参加した最後の曲『The Gong of Knockout』が個人的にドンピシャ大嵌まり!まあ言ってみりゃラスベガス鉄板のハチャメチャなチャラリーモって感じのナンバーなんですけど、楽曲の印象を決定づけてるフューチャリスティックなシンセの音色とか、わけわからん曲展開に余裕綽々で乗っかってくドラムのキレキレぶりとか、Minamiの衰え知らずの絶叫とかも最高だし、あとは何といってもギターソロだよな。ブレイブリーなカッコよさと、本作のどの楽曲の歌メロにも匹敵するほどの(笑)メロディアスさが備わっていて、実はここが本作随一のハイライトだったりします。

 

 そうそう、前作までとの違いを敢えて挙げるならば、前述のようなギターソロパートが明らかに増えたことがまず一つですね。これまでにも『Scream Hard as You Can』とか『Thunderclap』とかにも一応ギターソロはありましたけど、尺的には申し訳程度って感じだったし、最終的にはキーボードがしゃしゃり出て印象的なフレーズをジャンジャン鳴らしてたから、ここまで単独でスポットライトが当たるってのは本作が初めてなんじゃないでしょうかね。

 

 もう一つはMinamiのボイスワークのレベルがまたワンランクアップしたこと。スクリーム・グロウル・デスヴォイスといった絶叫に加えて、前作で本格的に開花させたイケメンボイスラップも巧みに織り交ぜてくるようになっており、それがカオティックさとスタイリッシュさの向上にも繋がってます。盤石のメタルコア『The Stronger, The Further You’ll Be』でダンスミュージック枠に切り替わった際にもキリっとイケメンボイスを振る舞ってるし、チャーミングなシンセが印象的なハネモノポップナンバー『Great Strange』でも、序盤のTaikiとSoが掛け合いするシャウトのアーチをくぐるように颯爽とイケメンラップをお披露目してたりするし、些細と言えど過去のラスベガスにはなかった面白さをもたらしているのは確か。

 

 

 そしてKei急逝の影響がダイレクトに表れた楽曲が存在するのも 本作ならではのちょっとした特徴。
 『CURE』は疾走サウンドを基軸としていながらも 憂いの色合いが濃く滲み出た ラスベガスにしては異色のナンバー。苦境を乗り越えた彼らだからこその言葉が刻まれているのですが、そんな曲でもブレイクダウンだのグロウルだの凶悪な要素が容赦なくブチ込まれてるのがラスベガスらしいイカレっぷり笑。

 

 まあ「イカレてる」と言えば、タイトルからして変態ソングと容易に想像がつく『Thoughtless Words Have No Value But Just a Noise』こそがまさしくって感じですけどね。メタルコア、スクリーモ、ダンスロック、エレクトロ、J-POP、素っ頓狂な電波ソングと、噛み合うはずのない異なる楽曲達のパーツを無理やり嵌め込んで一つの楽曲に仕立て上げるという アルバムに1曲は存在する強引な手口のカオティックナンバー最新版ですが、やっぱり変態すぎて何やってんだかサッパリわからん笑。

 

 アルバムのトリを飾る『Massive Core』は、ビリーブユアセルフを唱え聴き手を鼓舞する歌でもあり、「Putting them on you」(その信念を纏え)「For those gone」(去っていった人たちのために)という これまたKei急逝の影響が見受けられるフレーズからして ラスベガス自身の決意表明を刻み付けているようにも思える曲ですね。まるでマリオカートのレインボーロードをプレーしている最中みたいな煌びやかなサウンドを身にまとってガムシャラに突っ走るチャラリーモナンバー。1ミリたりとも影を映さんとするこの満ち溢れた眩さになんだか泣けてくるな…。

 

 

 お馴染みのラスベガス劇場ソングの一つ『Treasure in Your Hands』、本作未収録のシングル曲『Greedy』のエキスを注入したトランシーなインスト『Interlude』、オリエンタル要素を絡めたドタバタ展開のチャラリーモ『Keep the Heat and Fire Yourself Up』、耽美性を孕んだ鍵盤の旋律が美しさと危うさを演出するハードコアナンバー『Karma』、ウォーキングテンポの雄大なミドルナンバー『Where You Belong』と、なんのかんの言っても結局は好きな曲ばっかってのがオチです。

 

 新しい要素も一応はあるけども、それはやっぱり付加価値に過ぎなくて、本作の礎になってるのは 吉本新喜劇ばりに盤石で不変のラスベガス節なんですよね笑。前述の紆余曲折があったからこそのこの感想なわけで、それがなかったら果たしてここまでポジティブにこのアルバムを受け止められたのかどうか…なんて考えてもしょうがないか。兎にも角にも良い作品でした!

 

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