アルバム感想『Shade』 / iri


『Shade』 / iri
2019.3.6
★★★★★★★★★☆

01. Shade ★★★★★★★★☆☆
02. Only One ★★★★★★★★☆☆
03. Wonderland ★★★★★★★★★☆
04. Common ★★★★★★★★☆☆
05. cake ★★★★★★★★★☆
06. Flashlight ★★★★★★★★☆☆
07. 飛行 ★★★★★★★★★☆
08. Sway ★★★★★★★★★★
09. Peak ★★★★★★★★☆☆
10. Keep on trying ★★★★★★★★☆☆
11. mirror ★★★★★★★★★★

 

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 女性シンガーソングライター・iriの3rdアルバム。
 初聴きの作品がこのアルバムで、後追いで1st, 2ndも既にチェック済みではありますが、ここでは敢えて実際に聴いた順に感想を書いていこうと思います。

 

 女性シンガーソングライターというと、松任谷由実だったり中島みゆきだったり、或いはYUIやmiwaといったギター弾きながら歌うPOPS/ROCK系の女性シンガーを真っ先に思い浮かべるかもしれませんが、彼女はR&B/HIP-HOP系統の楽曲をメインに歌ってるアーティスト。初期の宇多田ヒカルみたいな感じですね。

 

 で、彼女の最たる特徴として挙げられるのは、もう何といっても歌声!こんなん言ったら失礼ですけど、最初聴いた時は男性が歌ってると思ってました。深紅に艶めくスモーキーなボーカルがセクシーでくっそカッコいいし、ジャケ写やアー写で窺える女性ファッション誌モデルさながらのビジュアルとのギャップが凄まじいし、いろんな意味で衝撃的。声優の蒼井翔太ちゃんとまるで正反対じゃないですか。

 

 作詞作曲は全てiri自身によるもの。その楽曲をアレンジ・プロデュースしているのが、大沢伸一(MONDO GROSSO)、ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)、tofubeats、STUTS、Yaffle(Tokyo Recordings)、ESME MORIなど、POPSやR&B/HIP-HOPに精通しているクリエイター達。プロデュースというよりはiriと各クリエイター陣で共同制作しているという感じですかね。

 

 装いは全体的にシックで、単純明快なアゲアゲナンバーや、派手なアレンジを纏って のど自慢大会ばりに高らかに歌い上げるお涙頂戴バラードなどは皆無。ともすれば地味と捉えられてしまいそうな作風ですけど、そんなシンプルさを心掛けたトラックとの相性の良さもあって、彼女の妖艶かつ芯の通った声と リズム感に長けたグルーヴィーな節回しが際立ってるし、トラックとボーカルの双方が織り成す翳りあるムードがまた良いのよな。

 

 オープニング曲にしてアルバムのタイトル曲でもある『Shade』は大沢伸一プロデュースのナンバー。ピアノとローテンポのビートを下地とし、スケール感を伴うシンセを纏ったミニマルなトラックは 深みある影とわずかに差し込む光を象徴しているかのよう。色気や情感を多分に孕みつつもスタイリッシュで凛とした佇まいのボーカルが冒頭から聴き手を痺れさせてくれます。

 

 

 続く『Only One』も雰囲気としては前曲に通ずるものがありますが、リズムが何気にニュージャックスウィング的だったり、ハスキーさが際立つ高音やファルセットを効果的に駆使していたりと、トレンド感も意識しつつ ごく自然にテクを活かしてメロディアスさが映えた仕上がり。

 

 

 一夜限りの夢のような甘く淡いトラックがなんとも儚げな grooveman Spotプロデュースのディスコナンバー『cake』、ボーカル・コーラス演出や 真夜中の都会を連想させるアレンジに らしさが垣間見える tofubeatsプロデュースのハウスナンバー『Flashlight』といった身も心も弾むような楽曲もいい感じで、アルバム全体の中でも違和感なく馴染んでます。

 

 

 SIRUP『LOOP』のプロデュースでお馴染みの Shingo. Sによる『Sway』は、思わずカラダがノリに乗るリズムワークとアーバンなムードメイキングに酔いしれてまう名曲。彼女のソウルフルなボーカルが甘美な空気感を醸成していて たまらんわこりゃ!

 

 

 三浦淳悟(PETROLZ)、澤村一平&隅垣元佐(SANABAGUN.)がアレンジを手掛けた『mirror』は、彼女のそんなボーカルワークと 生バンド演奏が 溶けるルージュの如き艶やかさを演出して リスナーを悩殺しにかかってきてます。早い話がエロい。Kan Sanoプロデュースのジャジーなソウルナンバー『飛行』もまた 切ない陰影を帯びていながらも夢心地を喚起する絶品の一曲であります。

 

 

 ゆったりしたビートの上で 押韻と緩急を意識したフロウが途切れることなく弾む ESME MORIプロデュースのミドルR&B『Wonderland』、ラップとボーカルを境目なく織り交ぜた 滑らかで足取り軽いボイスワークがさりげなく耳を惹く STUTSプロデュースのミドルR&B『Common』、極上のメロディアスさと 押韻に徹しながらもナチュラルさに配慮して生み出されたグルーヴが超単純に上々な ケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)プロデュースのミドルナンバー『Peak』、淡白かつ閉塞的なトラックの上で切なさがほんのり浮き彫りになるミドルスロー『Keep on trying』といったその他の楽曲達も軒並み好印象。

 

 本作のどの曲に対しても言えることですけど、楽曲の味の決め手になっているのは紛れもなく彼女のボーカル。誰がどう見ても美女なのに声がマジ男っぽい、っていうインパクトとはまた別に、トラックとの相性が抜群で その上グルーヴとムードの双方で実権を握ってるわけですから、R&B/HIP-HOPに関心があろうとなかろうと 彼女のボーカルを気に入った人は絶対に聴くべき一枚ですよこりゃ。

 

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