アルバム感想『nine cubes』/ 華原朋美

nine cubes
『nine cubes』/ 華原朋美
1998.11.26
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01. daily news
02. needs somebody’s love
03. あなたについて
04. here we are (album version)
05. さがしもの
06. winding road
07. storytelling
08. tumblin’ dice (album version)
09. waiting for your smile
10. sagashimono-reprise-

 

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 ということで、こちらがJ-POP史上最狂の怪盤と称される トモちゃんこと華原朋美の3rdアルバム『nine cubes』であります。

 

 小室先生がトモちゃんに飽きてきたのか嫌気がさしてきたのか、この時期トモちゃんと小室先生の関係が末期状態あるいは既に破局していたのは間違いなさそうですが、その模様をトモちゃん目線で描写しトモちゃんに歌わせてしまったのがこのアルバムです。前作は明らかに手抜きでしたけど、これはある意味 力が入ってますよ。我が子を千尋の谷に落とすとかじゃなく、単なる確信犯的嫌がらせ もといドメスティックバイオレンス。こんな可愛いトモちゃん とっ捕まえてゲージツ家 気取りですか?破滅の美学を体現したつもりですか?1st『LOVE BRACE』で築き上げたシンデレラストーリーを自ら破壊しにかかるかのような楽曲、歌詞、そしてトモちゃんへのボーカルディレクション、徹底的なまでにヤバいです。いや何処に力入れとんねんって話よ。まあ厳密に言うとボーカルディレクションは小室先生によるものではないんですけど(『here we are』のみ小室先生)。

 

 初っ端の『daily news』から早くもやっちまってます。『Just a real love night』『I’m proud』『LOVE BRACE』のような歌姫オーラを纏った楽曲とは大きく乖離した能天気なレゲエ調アイドルポップスってだけでもズッコケもんなのに、トモちゃん出だしから全然歌えてないし、転調する終盤では喉に餅を詰まらせているかのようなファルセットをかますし、歌詞も「遠い景色も近い風景も 商売っけばかりでお金しか見えない」とか トモちゃんに何歌わしてんだってフレーズが飛び出すし、色んな部分のネジが吹っ飛んじゃってます。中居くんの音痴ボーカルなら笑いとしてまかり通るけど、トモちゃんのこの歌唱はアカン。もはや放送禁止にして然るべきレベル。ていうか、よくこの音源を桃の天然水のCMで流したな。そのCM映像にしても 可愛らしさも品も全くない仕上がりで この曲に毒されちゃったんじゃないかって感じだったし。

 

 これ以降の楽曲も軒並みこんなヤバさ溢れる仕上がりで、2曲目の『needs somebody’s love』なんかは早速メーターを振り切っちゃってます。聴き手の鼓膜を徐々に蝕んでいくように不穏なシンセがじわじわと空間を覆っていく病的なデジロックナンバーで、あまりに歌えていないボーカルも相俟って絶望感に襲われること不可避。そして、トモちゃんを未来永劫縛り付けるかの如く「私もこのまま何もわからないまま あなたをず-っとず-っと必要としていくね」と呪いのフレーズを歌わせるこの残酷さ。ダークネスなオーラを放つミドルナンバー『さがしもの』も、「あなたを守っていく事には 周りも誰でも捨ててもよかった」と依存症レベルの一途な愛を貫かせたり「pure mind 持ち続け 失ったものも探さないままで 今日も微笑む」「これからはどこ?わたしの居場所は」と まるで捨て猫のようなトモちゃんの行く末密かに暗示するようなフレーズを歌わせたりしていて、どちらの楽曲も悪い意味で隅々まで極まっちゃってます。

 

 前作のアルバムタイトルでもあり、インストナンバーでもあった『storytelling』は新たに歌詞とメロディが追加されアレンジも新調したテイク。これはガチでヤバいぞ!ダークネスな旋律にオルゴール仕様のアレンジを掛け合わせたオケは尋常じゃないほどホラー掛かっていて、のっけから背筋が凍ること必至。歌メロもかなり様子がおかしいけど、常人なら歌が始まる前に脱落します。眠りにつかずとも悪夢を喚起する超絶怪曲。あまりに怖すぎて、赤道直下で汗だくになりながら聴いても震えずにはいられません。私的に本作のピークはココです。

 

 『あなたについて』はサウンドこそ まったりふわふわしたミドルスローで別段どうってことはないけど、その分 生気に欠けた不安定なトモちゃんのボーカルが悪目立ちしちゃってるし、穏やかなオケに何故か2サビからノイジーなギターサウンドが絡んで無意味に雰囲気がヘヴィ化する『winding road』もトモちゃんの狂ったようなフェイクが気持ち悪く響くし、マイナー歌謡バラード『here we are』も、3分手前あたりのトチ狂った歌唱で楽曲が一気に崩壊へと向かってまうし。

 

 疾走デジロックナンバー『tumblin’ dice』なんて完全にアウトやん!歌いだしの時点から事故りそうなドライブって感じの不安定さで疾走してんのに、曲展開が進むにつれて情緒不安定ぶりがエスカレートしてるし、終盤における断末魔も同然の絶唱とか行き着くトコまで行き着いちゃってる感じがして 聴いてるこっちまで白目むいちゃいそう。どんなに歌ヘッタクソなアイドルでも このレベルの歌唱がパッケージングされることはまずないでしょ。TV収録ではこの音源よりだいぶまともというか こんなヤバすぎな歌唱はさすがに披露してませんでしたからね。やっぱり小室先生、狙ってこの壊れっぷりを音源に密封したんだな。

 

 そして『waiting for your smile』は前曲で燃え尽きて灰になってしまったかのように鎮静した感があるアコースティックナンバー。あんこが空っぽなアンパンマン状態のトモちゃんが虫の息同然の声で歌っていて、前曲から流れ通りに聴くとやはり戦慄せずにはいられません。ラスト『sagashimono (Reprise)』はピアノを主軸としたアレンジによる美しくも暗いインストで、言ってみりゃこれはレクイエムです。怖っ。

 

 実はわたし、ジャケットのトモちゃんがかわいいからという理由でこのアルバムをフラゲしまして、帰ってすぐこのアルバム聴いたんですけど、5曲目あたりで「こんな耳障りな曲ばっかり聴くのやめて!」と母親にマジで怒られてしまったんですよね。遠くの部屋にいた母親をも わずかに漏れた音で不快にさせてしまう強烈な不協和音。こんなもんCDコンポなんかで聴くもんじゃありません。周囲の迷惑にならないようひっそりとイヤフォンしてプレイヤーで聴きましょう、ってめっちゃ心臓に悪すぎだけど。てゆーかあなた、こんだけこのアルバムのヤバいトコ暴露しても史上最凶のこの怪盤を聴くつもりですか?

 

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1 thought on “アルバム感想『nine cubes』/ 華原朋美

  1. ryoma

    tumblin’ diceはライブでは歌が上手くなってたんで不通にかっこ良かったですね。同じくhere we areも。

    daily newsみたいなあからさまにおかしな曲もあるけど、歌い直すだけでかなりいい曲になるのもあると思うので今のボーカルでやり直してみたい気もします。

    序でに次回作も

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