アルバム感想『DON’T STOP THE MUSIC』 / KEYTALK

 
『DON’T STOP THE MUSIC』 / KEYTALK
2019.11.6
★★★★★★★★★☆

01. DE’DEVIL DANCER ★★★★★★★★☆☆
02. 真夏の衝動 ★★★★★★★★☆☆
03. BUBBLE-GUM MAGIC ★★★★★★★★☆☆
04. アカネ・ワルツ ★★★★★★★★★★
05. ララ・ラプソディー ★★★★★★★☆☆☆
06. ブルーハワイ ★★★★★★★★★☆
07. Catch The Wave ★★★★★★★★★☆
08. 旋律の迷宮 ★★★★★★★★★☆
09. DROP2 ★★★★★★★★☆☆
10. COMPLEX MANIA ★★★★★★★★☆☆
11. 桜色の街へ ★★★★★★★☆☆☆
12. 少年 ★★★★★★★★☆☆

 

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 約1年8ヵ月ぶりとなる6thアルバム。

 

 レーベルをビクターエンタテインメント・Getting Betterからユニバーサルミュージック・Virgin Musicへと移籍し、5月にシングル『BUBBLE-GUM MAGIC』、6月に配信シングル『ララ・ラプソディー』、そして8月には4週連続で『真夏の衝動』『旋律の迷宮』『ブルーハワイ』『Catch The Wave』と立て続けにリリースを重ねてようやくドロップされた本作。もうここまでくると、初期~『OVERTONE』まであったオサレ感は皆無に等しいし、複雑な曲展開やテクニカルな演奏が炸裂するなんてことも ほぼなくなってきてます。その代わり、ダンサブルなポップロックを軸にJ-POPさながらの絢爛ぶりや下世話なポップ感を纏うようになってきたわけですが、個人的にはコレがかなりの大きな当たり。面白さのレベルで言えば初期~『OVERTONE』とほぼ同等のトコまで上がってきた感じで、こいつぁ思わぬ収穫でしたな。

 

 『DE’DEVIL DANCER』は彼ら王道の裏打ちダンスロックナンバー。「ナーナナナナーナーナーナーナー♪」などシンガロングのパートも設けていたりと徹底して盤石な作りではありますが、かつてのようなチャラさなんぞ微塵もございません。むしろJ-ROCK界隈にダンスロックを広く浸透させた先駆者としての矜持や貫禄を感じさせる 手堅く真っ当にカッコいい仕上がりで、これは中々の好感触。まあ言うても彼らはもう三十路ですからね。流石に勉学そっちのけで遊び呆けてる大学生みたいなノリはもう おサラバしてるやろと。

 

 そう思った矢先に『真夏の衝動』ですよ。なんやこれ!思っきしチャラけた大学生のノリやんけ!ヤバTで言うところのウェイウェイ大学生ってやつですよ。鳥貴族でサワーで乾杯したあとスポッチャでオールナイトするテンションそのままやがな。でも私的には意外とアリなんですよね。こんな全盛期のORANGE RANGEみたいなパーリーナイトなダンスロックを演ってもなんら違和感なく聴けちゃうってのも凄いんだかなんだかって話なんですけども。まあ彼らはパッと見それほど大人の男って感じでもないからなあ。

 

 レーベル移籍後 最初にリリースされた『BUBBLE-GUM MAGIC』は今までありそうでなかった ブラックミュージックの要素を取り込んだダンサブルナンバー。こんだけ散々ダンスロックを演っておきながら この手のファンキーなノリに全く着手してなかったとはなんとも不思議な感じ。これまでの彼らになかったノリと言えども、ツインボーカルワークスやコーラス、メロディ、シンセの味付けがお馴染みのKEYTALK節全開ゆえ、らしさがしっかり伴った仕上がり。

 

 そして『アカネ・ワルツ』、これが本作における私的ベストナンバーになります。歌い出しの感触からして 義勝お得意のスウィーティーな母性本能くすぐりソングかと思わせておいて 実はカッコよさと煌びやかさを兼備したダンスロックだったという ちょっとした引っ掛け要素にまんまと掛かってしまったのがド嵌まりの始まり。彼らの裏打ちダンスロックなんてもう何べんも聴いてるってのに、いつにもまして演奏がカッコよくてもうイントロから沼に嵌まること不可避。そして、売れ線ポップスの何たるかを弁えたようなメロディ展開に キラメキと切なさが一気に開花するサビでのユニゾン!絶品すぎやせんかこれ。あまりに美味すぎて、ワルツなのに3拍子のパートが皆無であることなんかどうでもよくなっちまうほど。久々に登場した名曲。素晴らしすぎます。

 

 

 『ララ・ラプソディー』は年甲斐もなくウキウキしたモータウン調のポップロック。『真夏の衝動』と同様に、三十路を迎えた男達が演っても全く違和感がないのが凄い。サウンドやメロディ的には完全にアイドルの世界ですからね。なんでそんな楽曲を一切の着飾りなく堂々と演れんねんって感じなんですけども、まあ普通に良い曲ですよ。

 

 『ブルーハワイ』は、真夏の刹那的な煌めきや眩さを密封したような爽快ポップナンバー。「ウォーオーオオッオー♪」っていうシンガロングのパートがありますけど、もうこれは思っきしJ-POPに傾倒しちゃってます。特別古臭い感触はないけども、90年代に清涼飲料水のCMで流れても違和感なさそうな感じが。でもこれは素直に良いと思った。以前に『FLAVOR FLAVOR』という清涼飲料水のCMタイアップ狙ってんのか的なポップソングを演っていたのですが、こっちにはあからさま過ぎる90s演出がどうにも受けつけなくて未だに嵌まれずにいるわけです。でもこっちは時代どうこうに囚われずストレートに綺麗な海が目に浮かんでくるし、青春まさかりの中で過ごす短い夏のひとコマひとコマを大事にしている感が問答無用で胸をキュンとさせてくるのよ。ラスサビでのユニゾンとかまた巧いことやりよるなあ。さらに切なさを喚起して胸を締め付けてきやがる。

 

 

 『Catch The Wave』もまた夏うたで、こちらがEDMを取り込んだダンスロック。これまた以前に『Summer Venus』というEDM導入のダンスロックがあったのですが、取り入れ方に付け焼刃感ありありだったもんで こちらも嵌まれず終い。でもこっちは上手いこと演ってますね。あくまでバンドサウンドがメインになってるし、ちゃんとEDMサウンドが織り成す彩りや音触りが有用してますからね。

 

 『旋律の迷宮』は根底こそダンサブルなポップロックですが、ミステリアスで大人びた雰囲気がKEYTALKにしては異色。初期の彼らとは趣が異なるムードメイキングがほんとに素敵で、なんだ、年相応の装いも衒いなく演れんじゃねーかよと感心したまで。これも中々の佳曲です。

 

 

 『DROP2』は前のめりなギターが楽曲を終始リードする疾走アップナンバー。まるでKis-My-Ft2にでもなったかのようなカッコつけ感が面白い良曲。それに続く『COMPLEX MANIA』も性急なビートで駆けるアップナンバーで畳みかけてきます。サビメロがちょいと『秘密』っぽくて「ありゃ?」って感じだったんですけども、クレジットみたらコレも八木氏が手掛けた曲だったんかい、ということでまあ納得。

 

 『桜色の街へ』は本作唯一の聴かせどころミドルナンバー。KEYTALKのくせにやたら叙情的でスケールがデカい。そして巨匠のナルシシズムがここで大いに炸裂しちゃってます。まるで社訓を唱和するかのように「会ぁいぃたぁいなあああああぁぁぁぁぁーーーーーーーーー!!!!」と腹の底から声高らかに熱唱してますよ。まああんまり茶化してはならんトコかと思いますけど、どうしてもそこばっかりに意識が傾いてしまうな。あ、でも叙情的でスケールがデカいと書きましたけど、J-POPにありがちなストリングス頼みということは全くなく、バンドサウンドが主体となって楽曲をリードしているトコは流石っすな。

 

 そしてラストの『少年』はカラッとしたポップロックナンバー。歌メロに感傷を孕んでいながらも 空高く突き抜けるような勢いあるサウンドも手伝って至極清々しい印象。少年の心を忘れまいとする三十路の男達らしい締めですな。

 

 J-POP同然の豊富なバリエーションを上手いこと取り揃えたことがアルバム全体の面白さにそのまま繋がったような感じですね。夏うたが仰山収録されてたり、秋冬すっ飛ばして春を連想させる新曲があったりと11月リリースであることを一切無視したラインナップになっちまってますが、そこを気にしなければ本当に良いアルバム。

 

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