アルバム感想『Sympa』/ King Gnu


『Sympa』/ King Gnu
2019.1.16
★★★★★★★★☆☆

01. Sympa Ⅰ
02. Slumberland ★★★★★★★★☆☆
03. Flash!!! ★★★★★★★★☆☆
04. Sorrows ★★★★★★★★☆☆
05. Sympa Ⅱ
06. Hitman ★★★★★★★☆☆☆
07. Don’t Stop the Clocks ★★★★★★★★☆☆
08. It’s a small world ★★★★★★★★☆☆
09. Sympa Ⅲ
10. Prayer X ★★★★★★★☆☆☆
11. Bedtown ★★★★★★★★★☆
12. The hole ★★★★★★★★★☆
13. Sympa Ⅳ

 

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 男性4人組ロックバンド・King Gnu(キングヌー)の2ndアルバムで、メジャーとしてはこれが初となるアルバム。

 

 ざっくりと雑な言い方をすれば、彼らはミクスチャーバンド。ロック、ファンク、ヒップホップ、エレクトロニカ、R&Bをブレンドし J-POP側にも受容されるポップさをもってアウトプットされたようなイメージですね。そのミクスチャり方も刺激を加味するための実験的な手口ではなく、いずれのジャンルも既に演り手側の中で血肉化された上で鳴らされてるから、楽曲の響きに歪みも淀みもないし、ごく自然に多ジャンルが結合されている感じがするっていう。なんだこの洗練のされようは。

 

 また、このバンドにはボーカリストが2人居まして、ツインで掛け合いするわけじゃなく、楽曲の作風に応じてどちらか一方がメインを務めるスタイルをとってるのも特徴の一つ。

 そのうちの一人はキーボードも併せて担当している井口理氏。程よい甘みと色気と一抹の三浦大知くんっぽさを兼備した歌声で、ロックよりもブラックミュージックのほうがちょっと適性が高そうな印象。個人的にはかなり好きな声です。

 もう一人は、ギターを担当し、さらには全楽曲の作詞作曲、バンドのプロデュースまで務めている 司令塔も同然の存在の常田大希氏。彼のボーカルはナルシズムを感じさせる尖りある歌唱スタイルで、なかなかカッコいいのですが これは好き嫌いが大きく分かれそう。

 

 このアルバムを一通り聴いて思ったのは、奴ら強烈なまでの自信と野心を秘めてんなってこと。あまりに強烈すぎて、秘めきれずに全身から超サイヤ人ばりにそのギラギラぶりがダダ漏れしちゃってるみたいな。そして、どの曲からも計算高さが窺える。どういうアプローチならば聴き手の胸に深い爪痕を残せるのか、ってのをめっちゃ緻密に分析して作ってそうな感じがするというか。

 

 あんまり良い喩えじゃなくてアレだけど、言うなれば司令塔である常田氏はドクターゲロみたいなもんですよ。どうしたら孫悟空を倒せるか研究して、それを遂行すべく人造人間を造り上げ 自身も戦士(プレイヤー)として臨んでいる、てな感じで。

 ほんでKing Gnuはセル。多ジャンルをしっかり消化もとい昇華しているトコは 悟空やピッコロ、フリーザなど様々な戦士の細胞が組み込まれたセルの生態とリンクしてるし、それでいて今のこのバンドは17号だけ吸収した状態でまだ完全体にまでは至ってないという 発展途上の位置にいるような感じがするんですよね。大化けする余地をまだ残しているっていう。

 

 ストリングスが主旋律を担い 常田氏がヴァースもフックもお構い無しに押韻しまくるシンフォニックなヒップホップナンバー『Slumberland』、やや今更感があるEDMを纏いつつバンドの地力を惜しみなく振る舞ったダンサブルロック『Flash!!!』、リズム隊のダンサブルなプレイとファンキーなギター、ココ!というトコで上手いこと絡んでくるスクラッチとの掛け合わせが異様なまでに気持ち良い『Bedtown』はいずれも常田氏がメインボーカルを務めるナンバー。かっこいいです。常田氏が主導権を握っているだけあって、前述通り胸にしまいきれない自信と野心がモロに出てます。そしてやたら挑発的です。

 

 上記ナンバーとインスト(Sympa Ⅰ~Ⅳ)を除けばあとは全て井口氏がメインボーカルを務める楽曲。
 煌びやかで艶やかなディスコティックロック『Sorrows』、終盤「曇り空を撃ち抜いて~♪」のタイミングで転調しギターサウンドがコーラスとグルになって空高く突き抜けるくだりが見事な ドラマティックミドルスロー『Hitman』、アコースティックサウンドの他に指パッチンや 美しくもどこか古ぼけたようなストリングスなどを用いてファンタジックかつドリーミーな音世界を形成した『Don’t Stop the Clocks』、前曲と違いファンク的なビートを下地にファンタジックな音世界を展開した『It’s a small world』、虚しさに包まれた音空間の中で井口氏のナイーブなファルセットが胸に突き刺さる ニュージャックスウィングのリズムを敷いたミドルナンバー『Prayer X』と、紫と桃色が混在した井口氏のボーカルが映えるナンバーが勢揃い。

 

 そして、実質ラストを飾るバラード『The hole』。悲痛な叫びをあげるようなストリングスとやたらブーストしたシンセベースがバックで鳴り響くトラックも良いし、なんといっても 臓器を振り絞って歌い上げる井口氏の健気で懸命で暑苦しさなんぞ皆無だけどめっぽう熱の入ったボーカルがほんとに素晴らしくてもう。

 

 通しで聴くと、スノビッシュさや露骨なまでの確信犯ぶりが時折うざったく思えてならないこともありますが、一曲一曲に耳を傾けてみればなかなか面白い曲が多いゆえ、かなり好きなアルバム。常田氏と井口氏のボーカル配分は 本作くらいの割合が私的にはちょうど良いです。

 


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