LIV アルバムレビュー

 元俳優の押尾学率いるロックバンド・LIVのアルバムレビューであります。

 

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★ 1st Album『The first chapter…』


『The first chapter…』 / LIV
2002.10.30
★★★★★★★★★☆

01. The first chapter ※※※※※※※※※※
02. HATE ★★★★★★★★☆☆
03. Without you ★★★★★★★★★★
04. Valor ※※※※※※※※※※
05. Try ★★★★★★★★★★
06. Losers ★★★★★★★★☆☆
07. Payback ★★★★★★★★★☆
08. T ★★★★★★★☆☆☆
09. SOUL ★★★★★★★★★☆
10. I wanna be with you ★★★★★★★★★☆
11. What? ※※※※※※※※※※
12. Pain ★★★★★★★★☆☆
13. 銀月 ★★★★★★☆☆☆☆
14. BRAVE ★★★★★★★★★★

 

 元俳優の押尾学率いるロックバンド・LIVの1stアルバム。

 「16歳から19歳まで日本の米軍キャンプでハードコアロックのライブ活動をやっていた」という押尾先生ですが(真偽は不明)、本作ではリンプビズキットやリンキンパークをさらにキャッチーにしたようなミクスチャーロックを演ってます。っていうか、本人がオリコンか何か雑誌の記事でリンプビズキットやリンキンパークを最近よく聴いてるとか影響を受けてるとか言ってるのを見た覚えがあるんで、分かりやす過ぎるほどにそのインスパイアされっぷりが音に表れてます。先ほどキャッチーと書きましたが、演奏はどの曲もカッコいいし、アグレッションも十分。そして、ソングライティングも総じてかなり好感触。

 

 リンプもリンキンもかなり聴きやすい部類に入ると思うんですが、おそらくこの手のミクスチャーロックを聴き慣れてない人からすると、これでもちょっとついていけないとなるかも分からないので、このアルバム、ひいてはLIVというバンド自体がミクスチャーロックの最初の一歩として有効な存在になり得るはずだったんですが…。如何せん押尾先生の歌唱が残念すぎる!誰がどう聴いても明らかに音痴だし、思っきしリンプのフレッドを真似てるし、そもそも声が生半可にダーティー。楽曲の好みや良し悪し以前に、そのダーティーさをカッコいいと思うかどうかが分水嶺になるのかなと。ちなみに私的にはアリです。人としては尊敬とか魅力的に思える箇所は全くありませんけど、ネタ的な意味合いとか抜きにカッコいいと思ったんで、なんやかんやでアルバムは全作聴いてます。

 

 デビュー曲である『Without you』は、もうこれ以上は無理ってくらいに聴きやすさを重視しつつ演奏のカッコよさもなんとか確保したミクスチャーロック。「Do you remember the day?あれから二人終わってるのは分かってるけど真夜中にまた尋ねていい?」という歌詞は悪い意味で押尾先生っぽくてあまりイメージがよろしくないですが、2コーラス目のBメロで疾走モードに転換し、その勢いを継続したままサビに突入するくだりがものっそくカッコいいので、これはかなり好きな楽曲。

 

 

 押尾先生出演のドラマ主題歌にもなった『Try』は、ミクスチャーというより もはやスクラッチとストリングスが入ったポップ寄りのロックナンバーといった感じですが、演奏はもとより、鍵盤とストリングスによるシリアスなムード演出がカッコいいし、そのポップなメロディがかなり上質ゆえ、私的には本作でも特に好きな楽曲。

 

 

 ラストを飾る『BRAVE』は より効果的にストリングスアレンジを用いたハードロックナンバーで、壮大なスケール感を打ち出したアレンジと 押尾先生のイメージにない熱い歌詞の力もあって、なかなかの佳曲に仕上がってるんではないかと。この3曲は今でもちょいちょい聴いてます。

 

 押尾先生がお怒りぶりを露わにしたヘヴィロック『HATE』、悪そうな感じを出してきたハードコアナンバー『Losers』、本作で最もミクスチャーロックらしいミクスチャーロック『Payback』、大陸的なスケール感を有したダイナミックかつポップなロックナンバー『I wanna be with you』、程よいダークさとハードさで聴かせる『Pain』など、これら楽曲もJ-POPユーザーをリンプやリンキンへ導くための架け橋として微力ながら機能してくれるんじゃないかなと思ってるんですが、まあ押尾先生のボーカルを受け入れられるかどうかだよな。

 

 ロックバラード『T』とアコースティックナンバー『銀月』は流石にちょっとなあ。まあ前者は演奏もメロディも良いから なんとか聴けますけど、後者はいくらなんでも…。軽くリズムを敷いているとはいえ、アコースティックギターのみをバックに押尾先生の濁声を3分半も聴かされるとか普通のリスナーからすりゃ拷問以外のなにものでもないやんかと。リアルジャイアンリサイタル。押尾先生のボーカルを一応カッコいいとか思っちゃってる私でもこれはちょっとキツいな。「ベーイベッ♪」とか歌ってる場合じゃないっす。

 

 『The first chapter』は『BRAVE』のエキスを交えたミクスチャーロックでお送りするイントロダクション。『Valor』は次曲『Try』へ繋ぐためのインストもといイントロって感じで、私的にはなくてもよくね?って感じ。『What?』は音楽とか楽曲とかじゃなく、ほんとにちょっとした余興。ハッキリ言ってしょーもないトラックですけど、まあちょっと面白いと思ったのも本音。

 

 くどいようですけど、本当に押尾先生のボーカルを受け入れられるかどうか、ですね。「カッコいい」とか「好き」とかってレベルじゃなく、「まあまあ良いんじゃね?」くらいにでも思えれば、本作は間違いなく世界で最も取っつきやすいミクスチャーロックアルバムですから、ミクスチャーロック慣れしていないJ-POPユーザーに聴いていただきたく存じます。

 

 

★ 2nd Album『SKELETON KEY』

SKELETON KEY(初回限定盤)
『SKELETON KEY』 / LIV
2003.9.26
★★★★★★★☆☆☆

01. Rebel ※※※※※※※※※※
02. Evolution ★★★★★★★★☆☆
03. May I be happy forever ★★★★★★★★★★
04. Fear ★★★★★★★★☆☆
05. Are you alive? ★★★★★★★★★★
06. One happy peaceful day ※※※※※※※※※※
07. E.N.J.O.Y ★★★★★★★★☆☆
08. Rose ★★★★★★★☆☆☆
09. HEROES ★★★★★★☆☆☆☆
10. Seb & Maxi ★★★★★★★★★☆
11. Skeleton key ★★★★★☆☆☆☆☆
12. Flower ★★★★★★☆☆☆☆
13. Star ★★★★★★★★★☆
14. FLY ★★★★★★★☆☆☆
15. Laughing psycho ※※※※※※※※※※
16. Go to hell ★★★★★★★★★☆
17. 蝶と花 ★★★★☆☆☆☆☆☆

 

 前作からなんと1年足らずで早くもリリースされました LIVの2ndアルバム。
 そのリリースペースの早さや、ほぼミクスチャーロックで固められていた前作よりもバリエーションが拡張したこと、随所で遊び要素が盛り込まれているあたりから、押尾先生のバンド活動に対する貪欲さが窺えますな。

 

 爽やかポップロックな『HEROES』だったり、メロ重視の大マジバラード『蝶と花』だったり、サウンドの重さより荒廃したムードで押した感があるミドルロック『Skeleton key』だったりと、前述通り 前作では見受けられなかった新たな側面を多々魅せてくれているんですけど、それがいいかどうかはまた別の話でして。

 

 『蝶と花』は歌メロが退屈な上にイントロが無駄に長かったりトータルで7分越えしていたりと 前作収録の『銀月』以上に拷問と呼ぶほかない仕上がりになってるし、『HEROES』『Skeleton key』も明らかに押尾先生のボーカルが足枷になっちまってるし、やっぱり押尾先生はハードでヘヴィなミクスチャーロック路線がいちばん性に合ってるよなということを改めて実感した次第。別にバラードや爽快ポップスを歌う押尾先生に興味ないし、そもそも14曲も押尾先生ボーカル曲いらねーだろって話ですよ。

 

 てことで、ハードエッジなサウンドとポップで熱気溢れるメロディを共存させ、LIVなりのコマーシャルなミクスチャーロックを見事に実現させた『Are you alive?』、ヘヴィながらもキャッチーなミクスチャーロック『Evolution』『May I be happy forever』『Fear』、それに加え歌詞にコミカルな要素をぶち込んだミクスチャーロック『Seb & Maxi』、所々で呑気なレゲエパートを挿入したパンクナンバー『E.N.J.O.Y』、ただ単に暴れたいだけのハードコアナンバー『Go to hell』といったロックナンバーはどれも好感触っすね。あと、13曲目の『Star』は超どポップなラブソングなんですけど、これは結構好きです。純粋にメロディがいいしギターリフも分厚くギンギンに効いてるので、なかなか聴き心地がいいんですよね。

 

 

 でも、本作で最も凄まじいナンバーといったらやはりシークレットトラックに収められた正体不明のアレでしょうな。これはほんと度肝抜かれるぞ!何かの手違いで流通してしまったプライベートな音源じゃないのかってくらいに押尾先生の穴という穴が開けっ広げになっちゃってて、その威力は半端じゃなく甚大。ここまで衝撃的なナンバーは今まで聴いたことがないし、これからも多分現れないと思います。ていうか、こんな恥ずかしすぎる歌誰も演りたがらねーよ、って話だよな。なんなんすか、「キレイな海で~チャララチャララチャララ(中略)チャララチャララァーーー!!」って!

 

 

★ 3rd Album『Mi Vida Loca』

Mi Vida Loca (初回限定盤)
『Mi Vida Loca』 / LIV
2005.6.22
★★★★★★★☆☆☆

01. New Civilization Of Massive Destruction ★★★★★★★★★☆
02. Instillation ★★★★★★★★☆☆
03. 未来の花 ★★★★★★★★☆☆
04. FAKE STAR ★★★★★★★★★☆
05. Mi Vida Loca ★★★★★★★★★☆
06. THE SHOW ★★★★★★★★★★
07. 事情通A氏 ★★★★★☆☆☆☆☆
10. 旅立つ人へ ★★★★★☆☆☆☆☆
09. Faraway ★★★★★☆☆☆☆☆
10. FALL ★★★★★★★★☆☆
11. 光陰 ★★★★★★☆☆☆☆

 

 前作から1年9ヵ月ぶりというちょっと長めのブランクを経てリリースされた3rdアルバム。

 

 11曲43分というコンパクトさは特に問題じゃないんですけど、如何せんアルバム後半が質的に物足りないというか、ぶっちゃけ退屈なナンバーが立て続けに並んでいるのが非常に痛いっす。『Faraway』『旅立つ人へ』『光陰』とか、いくらロックテイストのアレンジが施されていても やっぱり押尾先生のボーカルにこういう爽やか系バラードはあんまり合わないのよ。

 

 あと、本作きっての遊びソング『事情通A氏』。遊びソングの導入は大いに歓迎だけど、何を躊躇しているのかどうも弾け切れてない感じがするし、ユーモアさも楽曲の中で上手く機能してなくて全体的になーんか抜けが悪いっすね。押尾先生のくせに恐る恐る演るなよと。

 

 でも前半のナンバーはなかなか良いと思います。スリリングな変拍子ミクスチャーロック『New Civilization Of Massive Destruction』は押尾先生とTHE MAD CAPSULE MARKETSのボーカル・Kyono氏との掛け合いがカッコいいし、『THE SHOW』は冒頭からライブ感溢れる開放的かつ豪快なサウンドが炸裂して気持ちがいいし、『FAKE STAR』では「偽者はL.I.V?はたして…?」だの「虚言癖よ消えてしまえ」だの、外野をディスってるともツッコミ待ちともとれるフレーズを潔く歌い飛ばしていて実に痛快です。もろリンプなミクスチャーロック『Instillation』『FALL』も安定の出来。

 

 また、押尾先生自身が作詞曲を手掛けたポップロック『未来の花』も佳曲。意外と言ったらアレですけど、押尾先生もいいメロディ書こうと思えば普通に書けちゃうんですね。滑舌悪くて歌詞がまともに聴き取れない箇所がちょいちょいあるのが難点ですけど。

 

 静かなる情熱を投影したようなミドルロック『Mi Vida Loca』は、これまでのLIVにはなかったタイプのナンバーで 聴き心地が生半可にインテリジェンス。ファッキンしまくりな攻めのナンバーとはまた違ったカッコよさがあって、これもかなり好感触。

 

 

★ 4th Album『Manifest』


『Manifest』 / LIV
2007.6.27
★★★★★★★★☆☆

01. digital riot ※※※※※※※※※※
02. me against myself ★★★★★★★★★☆
03. oblivion ★★★★★★★★☆☆
04. game ★★★★★★★★★☆
05. over confident ★★★★★★★★☆☆
06. moon light ★★★★★★★★☆☆
07. future tense ★★★★★★★★☆☆
08. LOVE YOUR LIFE ★★★★★★★★☆☆
09. 事情通B氏 ★★★★★★★★★★
10. perfect day ★★★★★★★★☆☆
11. キンモクセイ ★★★★★★★★☆☆
12. die#3 ★★★★★★★★☆☆
13. athens ★★★★★★☆☆☆☆
14. I miss u ★★★★★★★☆☆☆

 

 インディーズからのリリースとなったLIVの4thアルバムにしてラストアルバム。

 基本的にこれまでとやってることはほとんど変わってません。押尾先生は音痴っぷりもやはり相変わらず。バラード聴くより 過去最高レベルのアグレッシブさを誇るハードコア『die#3』を聴いたほうがそれがハッキリわかるんじゃないかなと。でも演奏に関してはこれまで以上にダイナミックでさらにカッコよくなってます。

 

 イントロダクション的な『digital riot』、重厚感と躍動感との対比が効いたミクスチャーロック『me against myself』、後にガゼットにパクられたっぽい(実際そんなはずないと思うけど)ベースリフがイカすアグレッシブな『oblivion』、スモーキーで渋めなムードを醸し出したハードボイルドなロックナンバー『game』と、序盤からLIVのグレードアップぶりを顕示するハードなナンバーを畳み掛け、続く『over confident』は本作唯一の開放的なポップソングながらこちらも勢いに満ち満ちていて聴き心地は実に爽快。

 

 で、本作とこれまでの3作との違いといえば『moon light』『LOVE YOUR LIFE』『キンモクセイ』といったミドルテンポの柔らかめな楽曲が軒並み良質だったということ。矢田ちゃんとの結婚や新たな命を授かったこと(ちなみにこの時点では、お子さんはまだ誕生していません)が影響したんでしょうか。後者2曲では、ハートフルなメロディをヒップホップやレゲエ風味の質感・リズムでコーティングしたことで柔らかなグルーヴを生み出していて、これが意外といいのです。と言っても歌っているのは押尾先生なのでとても誉められたアレではないんですけど、爽やかロックバラードに比べればこっちのほうがよっぽど好感触です。

 

 そしてもう一つ特筆すべきは前作収録の『事情通A氏』の続編にしてリベンジ作ともいえる『事情通B氏』。メロディやコードはほとんど同じなんですけど、サウンドの勢いの良さといい遊び心の機能っぷりといい、前回煮え切らなかったポイントがことごとく改善されていて抜けのよさが格段に向上してます。「上司にゴマすりイェー!部下には強気にGO!俺様最高イェー!」なんつー自己紹介乙な歌詞もあって、これぞオシロックと呼びたい最高の逸品。

 

 次曲である『perfect day』はまさかのハワイアンナンバーかと思いきや終盤で突如本編と全く関係ないノイジーなラウドロックに転じるという わけわかめな展開が繰り広げられていて、同じ遊びソングでもこっちはただただ呆れるしかないっす。

 

 ということで、ハードなナンバーがもうちょっとあったほうがよかったかなとは思ったけど、ミドルナンバーが思いの外いい味出していたのもあって、これは結構好きな一枚。まだまだ面白いことをやらかしてくれるんじゃないかなと思ってただけに、これがLIVのラストアルバムになってしまったのが本当に惜しい。

 

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