アルバム感想『eyes』 / milet


『eyes』 / milet
2020.6.3
★★★★★★★★★☆

01. Again and Again (eyes mix) ★★★★★★★★★☆
02. Parachute ★★★★★★★★☆☆
03. 航海前夜 ★★★★★★★★★☆
04. Somebody ★★★★★★★★★☆
05. inside you ★★★★★★★★★☆
06. Drown ★★★★★★★★☆☆
07. You & I ★★★★★★★★★☆
08. Grab the air ★★★★★★★★★☆
09. STAY ★★★★★★★★★☆
10. Dome ★★★★★★★★☆☆
11. Tell me ★★★★★★★★★☆
12. Wonderland ★★★★★★★★★★
13. us ★★★★★★★★★★
14. Prover ★★★★★★★★★☆
15. Until I Die ★★★★★★★★☆☆
16. Without Your Love ★★★★★★★★☆☆
17. Fire Arrow ★★★★★★★★☆☆
18. The Love We’ve Made ★★★★★★★★★★

 

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 女性シンガーソングライター・milet(ミレイ)の1stアルバム。

 

 2019年3月6日のメジャーデビューから1stアルバム発売まで約1年3か月。ここだけ切り取れば まあまあ順調なペースで走ってんなって感じですが、そこに至るまでに5作ものEPをリリースしちゃってるし、ドラマ主題歌、CMソング、アニメのEDテーマや挿入歌と、様々なタイアップを請け負ってるし、世に出ている音源はEPもアルバムも全部ひっくるめて合計29曲にまでなっちゃってるし、「えらいこっちゃえらいこっちゃヨイヨイヨイヨイ♪」ともう思わず阿波踊りを踊りだしたくなっちゃうほど このとてつもない物事がテンポよく且つリズムよく進んでたわけですよ。

 

 作風としては、大雑把に言うと海外のPOPS/ROCKみたいな感じですね。それはボーカル的にもサウンド的にも。

 重みがあり 翳りを帯びたハスキーな歌声は miletちゃんの強力なオリジナリティであり、リスナーが楽曲の魅力を感じ取る上で最も大きなウェイトを占めている要素でもあります。なので、miletちゃんの歌声をどこかしらでサクッとでも聴いて好感を抱いたなら、とっととこのアルバムに手を出してしまいましょう。

 

 ほんで、サウンドの大まかな特徴としては、EDMアレンジを踏襲したPOPS/ROCKと、オルタナティブなR&B, ROCKが大半。そこにmiletちゃんの歌声が乗っかることで、いずれの楽曲も彩りと影、輪郭や奥行きが克明に描写されております。

 前者のEDMアレンジってのは主にスケール感を打ち出すために用いられてるものですが、miletちゃんが歌うから溢れんばかりの解放感や近寄り難き神秘性を醸成できるのであって、誰が歌ってもいいわけじゃねーんだぞと。前述の「楽曲の魅力を感じ取る上で最も大きなウェイトを占めている」ってのは要するにそういうことで、スキルも個性も重みも不足してる日本のボーカリストがこれら楽曲を歌ったところで、海外製品を模倣しただけの使い捨て大仰J-POPに収束するだけ。まあそれはそれでジャンクフード的な美味しさはあるのかもしれんけども。

 

 また、カナダ留学の経験を活かした 英語と日本語の巧みな使い分けもmiletちゃんの強みの一つ。発音が良いことも勿論プラス要素ですが、その器用な言語のチャンポンによって随所で押韻したり、押韻の有無に関わらず凹凸なく英語と日本語の歌の行き来をしたりと、グルーヴ演出に大きく寄与しているトコも見逃せないポイント。

 

 例えば、デビュー曲でありONE OK ROCKのToruがプロデュースしたオルタナミドルロック『inside you』のサビ「Tell me what is inside you, inside you now 目に見えない最初が最後でも」。
 「Tell me what [is inside] you, in”side” you now 目に見えな[い最]初が”最”後でも」といった具合に、[] と “” でそれぞれ囲ってる箇所で押韻することにより、メロディアスさや透明感とはまた別の強力なフックが形成されてるわけですな。
 『You & I』でも、「どうしたい」と「reason why」、「いいのに」と「we don’t need」でサラッと押韻しているし、曲調に関係なく多くの楽曲でこの手法は用いられてます。

 また、『Again and Again』のAメロにおける言葉の詰め込み方や 歌唱での刻み方も、押韻とはまた違った有効なグルーヴ演出。純然たる歌唱力だけでなくリズム感にも長けているのもmiletちゃんの強みであります。

 

inside you
milet
2019/03/04 ¥255

 

 個人的には『us』『Wonderland』にめっぽう嵌まりました。
 『us』は、昨年ドラマ「偽装不倫」の主題歌に抜擢され大ヒットを記録した上に、今年に入ってからもCDTVやら音楽の日やら あさイチやらSONG OF TOKYOやらで披露されてる楽曲。その度に配信やストリーミングでランク急上昇してますから、これはもう2019~2020年を代表する楽曲と言ってもいいんじゃなかろうかと。瑞々しく煌びやかなメロディ、女神さながらの美しさや可憐さ、力強さなど多角的な魅力がしっかり発揮されたボーカル、後戻り出来ない不安を綴りつつも、自身の素直な想いを貫き通す意思の強さが前面に出た歌詞と、miletちゃんのスペックをフル活用してる上にポピュラーミュージックに成り得る要素もバッチリ押さえた 非の打ち所がない名曲であります。

 

 

 

 そして『Wonderland』は、モーゼの十戒ばりに目前の荒れる海をパッカーンと割って縦断するようなイメージの 力強く神々しいバラード。そこまでするかってくらいの壮大なアレンジと それを従えるmiletちゃんの高らかな歌唱に圧倒されるほかない これもまた名曲。

 

 

 

 MAN WITH A MISSIONのkamikaze Boyが楽曲提供とプロデュースを、BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之がアレンジとエンジニアリングを手掛けた 雄大かつエナジーに満ち溢れたR&Bナンバー『Grab the air』も楽曲が持つ雄大さと 解き放たれるエナジーに胸がすく miletちゃんならではの秀曲ですな。

 

 

 

 浮遊感を携えたミドルR&B『Parachute』、暗闇から抜け出すかのような開放感に富んだアップナンバー『航海前夜』『Somebody』、陰鬱ミドルR&B『Drown』『Fire Arrow』『Until I Die』、深遠さを秘めたミドルスロー『Dome』『Tell me』、『Wonderland』同様 シンフォニックなアレンジと凛とした歌唱に胸を打たれる荘厳なナンバー『Prover』、温かさと優しさで包み込む名バラード『The Love We’ve Made』など、その他の楽曲も軒並み素晴らし。

 

Tell me
milet
2020/02/17 ¥255

 

 

 陽性エレクトロアップ『Without Your Love』、めざましどようびタイアップに相応の爽快四つ打ちアップ『STAY』といったポップ寄りの楽曲も、歌声とストリングスアレンジなどの効果でチープ化を回避しているし、アルバムの中でも浮くことなく馴染んでます。

 

 既存曲10曲+新曲8曲の計18曲という ココ最近では珍しく超ボリューミーなラインナップですが、メリハリを弁えた曲配置が施されており、抜かりのない名曲・佳曲しか選ばれてないというのもあって、個人的には質と量の双方で大満足。そして、単純に歌が上手い、声が素敵なのは勿論のこと、神秘性や深遠さを自ら演出できる上に、明るくポップな楽曲も品格がしっかり備わった上でアウトプットさせられる器用さも併せ持った miletちゃんのシンガーソングライターとしての有能ぶりをとくと堪能できたのが随一の収穫でした。1stにしてこの仕上がりは素晴らしい!

 

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