アルバム感想『ULTIMATE DIAMOND』/ 水樹奈々

ULTIMATE DIAMOND
『ULTIMATE DIAMOND』/ 水樹奈々
2009.6.3
★★★★★★★★★★

01. MARIA&JOKER ★★★★★★★★☆☆
02. 悦楽カメリア ★★★★★★★★★☆
03. PERFECT SMILE ★★★★★★★★★☆
04. Trickster ★★★★★★★★★★
05. Mr.Bunny! ★★★★★★★☆☆☆
06. 沈黙の果実 ★★★★★★★★★☆
07. Brand New Tops ★★★★★★★★☆☆
08. 少年 ★★★★★★★★☆☆
09. Gimmick Game ★★★★★★★★★★
10. Dancing in the velvet moon ★★★★★★★★★☆
11. ray of change ★★★★★★★★☆☆
12. 深愛 ★★★★★★★★★★
13. 蒼き光の果て-ULTIMATE MODE- ★★★★★★☆☆☆☆
14. Astrogation ★★★★★★★★★★
15. 夢の続き ★★★★★★★★☆☆

 

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 声優史上初の週間チャート1位を獲得したことでもおなじみの7thアルバム。

 

 またしてもElements Garden関与の楽曲がメインとなったラインナップ。そして、あれだけボリューミーで高カロリーだった前作を遥かに凌ぐボリューム感と熱量を有してるのが実に恐ろしい。バラエティ豊かと言えば聞こえはいいけども、こんだけ雑多でテンションの移ろいも目まぐるしく でもノリ的にはアッパーな楽曲が異様に多いというこのハチャメチャぶりは 単なるCD鑑賞と言えどもなかなかハード。スーパーの詰め放題セールばりに 奈々さんがヤリたいことをぎゅうぎゅうにぶち込んだようなラインナップで、アタマからケツまでとにかく濃厚です。

 

 冒頭の『MARIA&JOKER』からさっそく様子がおかしい。誰一人として着手することを想像だにしなかった ウエスタン風味の渋みあるロックナンバーで、初っ端からチャカをバキュンバキュンしちゃってますよ。ほんで奈々さんの歌唱もめっさ振り切っちゃってます。艶っぽいというよりシンプルにエロ、ヤラシイ。エロさ注入に注力しすぎちゃってて、歌詞カード見ないとほとんど何歌ってるか解読できません。「Ah 熱情Bloody 欲しかった君色ハート」とか分かるわけないやん!しかもなかなか恥ずかしいフレーズだし。「レッスンしてMr… 上手に出来ないの…」という白濁とした妄想を掻き立てるフレーズの歌いっぷりもまたヤラシイのよ。完全に上目遣いの歌い方。長丁場のアルバムのまだ一発目だというのにいきなり濃すぎやしませんか。そして「確信犯」と「やっちまった」の境界線がどこだかさっぱり分かりません。水樹奈々を代表する怪曲ですが、2015年に開催されたアコースティックライブでは楽曲の持ち味をより活かすステージ演出の効果もあって、その日いちばんの盛り上がりを魅せていました。

 

 続く『悦楽カメリア』は本作のリード曲で、前曲のようなやりすぎ感がない 艶っぽさをカッコよく打ち出した花魁メロスピナンバー。これは歌も演奏も真っ当にカッコいいです。パンチが効いていて装いは華やかだけど、『Orchestral Fantasia』とか『Heart-shaped chant』みたいにゴッテゴテに盛り込みまくってるってこともないし、バランス感覚が絶妙。

 

 『PERFECT SMILE』はいい具合に肩の力が抜けた 明るく軽快なピアノロック。攻めの2曲に続く立ち位置ということもあり、イントロが耳に入ってきたときの解放感が非常に心地良いです。転調後の奈々さんのライトで柔らかな歌声に涙腺が緩みがち。アップテンポだけど癒し効果を有したナンバーですね。

 

 シンプルかつ骨太なアンサンブルとメリハリを弁えた力強い歌唱でグイグイ攻めるロックナンバー『Trickster』、ツーステップっぽいリズムを敷いたアイドルポップス『Mr.Bunny!』、エレガっぽさハンパない退廃的な大仰ストリングスロック『沈黙の果実』と、アルバムが幕開けしてから6曲連続でまさかのアップナンバー続き。とても正気の沙汰とは思えません。っていうか『沈黙の果実』編曲の天羽蓮花(あもうれんか)って誰や一体!?曲の雰囲気からして上松氏っぽい感じがするけど、わざわざ変名を使う意味があるか?それとも上松氏と他のエレガメンバーとの共作?つーかこの曲以外でこの名義を一度も見かけたことがないし、ググっても全く情報が掴めないし、全く以て謎の存在。極めてミステリー。水樹奈々の七不思議の一つとしてもお馴染みですね、ファンの間じゃなく私個人の中では。

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 それらに続く『Brand New Tops』がまたしてもアップナンバーで、しかもライブ映えしそう感ハンパない明朗快活ぶりを振り撒いてます。そしてBメロでは「そんなの~イヤアァァァァァ~~~~♪」とか陽気に歌っちゃってます。

 

 アルバムの中間地点にあたる『少年』は矢吹俊郎氏が提供したナンバーで、ここにきてやっとミドルテンポ曲が登場。しかし、あくまでテンポがミドルなだけで、メロディもアレンジも音触りもギターのしゃしゃりっぷりも相変わらずの矢吹節が炸裂しちゃっていますがゆえ、実質アップナンバーとほぼ同じです。

 

 ファン人気が高い『Gimmick Game』は、『悦楽カメリア』に比肩するほどの疾走感とハイテンションぶりを備えたユーロライクなデジタルアップナンバー。まるで頭文字Dのテーマソングのような佇まい。っていうか、前曲はテンポ的にちゃんとアクセントになってましたけど、ミドルスローもバラードも挟まずにまたここでかっ飛ばすんかい。

 

 そしてそして『Dancing in the velvet moon』は タイアップ先(アニメ『ロザリオとバンパイア』)に忠実なムードメイキングを施した ヴィジュアル系を連想させるゴシカルで妖艶なアップナンバー。ゴシック感演出のストリングス&コーラスアレンジがまた濃厚だこと。にしてもアルバム開幕してから10曲立て続けにアクティブモードって、ここまで来ると流石にアタマおかしいと言わざるを得ないっすけど。

 

 『ray of change』は どこぞのRPGを想起させる雄大で瑞々しいミドルロックナンバー。エレキよりもアコギのほうが前面に出ており、これが美しさや瑞々しさを演出。テンポこそミドルですけど、オケヒがやたらガンガン鳴っていることもあって、なんだかんだでこれもアクティブモードの楽曲。

 

 

 シングルでは初のバラードとなる『深愛』でようやく聴かせる類のナンバーが登場。銀世界を演出するようなピアノ、ストリングス、アルパといった美麗なサウンドを纏い、駆けるようなテンポ感も相俟ってか メロ毎に情景がガラッと変わる急展開ぶりが実にドラマティック。歌謡メロを情感豊かに歌い上げる奈々さんの歌唱もまた美しい。タイアップ先や 制作に大きな影響を及ぼした奈々さんの家庭事情を抜きにしても感動モノの名バラードですな。

 

 『蒼き光の果て-ULTIMATE MODE-』はアニメ『AYAKASHI』に登場する夜明エイムちゃん(CV:水樹奈々)のキャラクターソングをリメイクしたもの。つまりはセルフカバーです。当初アルバムに収録予定ではなかった楽曲ですが、元々収録されるはずだった『COSMIC LOVE』が色々良からぬ事情があってカットされて、その代替として用意されたっていうわけです。原曲がめっちゃ好きなのでこの情報が舞い込んできたときは歓喜したもんですけど、いざ出来上がりを聴いてみたら、ぶっちゃけ「余計なことしやがって」と言いたくなってしまう仕上がりでちょいガッカリ。退廃的ロックナンバーという元のスタイルを堅持してるとこはいいのよ。でもエレガ仕様にドレスアップされたこのサウンドは元々あったカッコよさを削いじゃってる感があるしちょっと整いすぎてるわ。あと奈々さんの歌唱も変にリキが入っちまっていて笑わざるを得ないんですけど。誰だよボーカルディレクション担当したのは。キャラソンつっても、エイムちゃん成分が皆無ないつも通りの奈々さんの歌い方だったから変なアレンジを加える必要はなかったんだけどな…ってそんなこと言ったらリメイクする意味がなくなっちまうけど。

 

 シングルにもなった『Astrogation』はトランシーなデジタルサウンドと鍵盤&弦楽奏といった生音をシンクロさせた飛翔感たっぷりのアップナンバー。アルバムやライブの幕開けに相応しい楽曲をラスト手前に持ってきちゃうとか、どんだけパワフルがありあまっとんねんって感じですけど、それゆえにアルバムの展開的になかなかドラマティックな流れを形成しているなとも。鳴らされる音から醸し出される透明感と眩さ、そして間奏におけるストリングスの躍動ぶりが聴きどころであります。

 

 ラストの『夢の続き』は奈々さん自身が作詞曲を手掛けた 「ありがとうパパ」ってな趣の歌謡バラード曲。ストリングスを取り入れてるけど、大仰にせず柔らかでエヴァーグリーンな雰囲気に仕上げていて、締めも実に穏やか。15曲目という最後の最後のポジションでようやく箸休め的なナンバーが登場しましたね。って遅すぎるわボケ!

 

 ということで、どうですかこのスパルタぶり!ライブで発揮されてるスパルタ感をまんまスタジオアルバムにまで持ち込みやがったよオイ、ってな感じで、エネルギッシュさは過去6作をあっさり越えちゃってます。いくら売上が大幅に上昇したっつっても万人ウケするアルバムとは到底言い難い内容。ですけども、一曲一曲を見ていけばほとんどアニソンかJ-POPかのどっちかにカテゴライズできちゃうんで、別段とっつきにくいアルバムでもないんですけどね。色々書きましたが、私的には前作よりも気に入ってるアルバムです。

 

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