アルバム感想『ROCKBOUND NEIGHBORS』/ 水樹奈々

ROCKBOUND NEIGHBORS(初回限定盤)(DVD付)
『ROCKBOUND NEIGHBORS』/ 水樹奈々
2012.12.12
★★★★★★★★★★★

01. アヴァロンの王冠 ★★★★★★★★★☆
02. Naked Soldier ★★★★★★★★★★
03. Get my drift? ★★★★★★★★★☆
04. Lovely Fruit ★★★★★★★★★☆
05. ダーリンプラスティック ★★★★★★★☆☆☆
06. BRIGHT STREAM ★★★★★★★★☆☆
07. 星屑シンフォニー ★★★★★★★★☆☆
08. LINKAGE ★★★★★★★☆☆☆
09. STAR ROAD ★★★★★★★★★☆
10. Synchrogazer -Aufwachen Form- ★★★★★★★★★★
11. Crescent Child ★★★★★★★★☆☆
12. 奇跡のメロディア ★★★★★★★★★☆
13. METRO BAROQUE ★★★★★★★★★★
14. Happy☆Go-Round! ★★★★★★★★☆☆
15. Sacred Force -Extended Mix- ★★★★★★★★★★
16. 約束 ★★★★★★★★☆☆

 

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 前作『IMPACT EXITER』から約2年5ヵ月、新たなる必殺技「ロックバウンド・ネイバーズ」の誕生であります!しかし何なんでしょう初回限定仕様のマンダリンデジパックとは。サッパリ意味が分かりません。マンダリンと言われても、わたしの頭ん中にはカハラ マンダリン オリエンタルホテルしか浮かんでこないし。

 

 ベスト盤を挟んでリリースされた久々のオリアルということで いよいよニューフェイズへ突入かと思いきや、なんと『GREAT ACTIVITY』から貫徹しているスタンスを一切崩すことなく相変わらずフルパワーフルボリュームで突っ走ってやがる!しかし、奈々さんのボーカルはいよいよ怪物の域に踏み込んだ感があるし、それに感化されてかサウンド・演奏もより一層のフィジカルなタフさを身に着け 緻密なものとなっているし、全体の印象として 近年スパルタ化してきたライブの熱気をほぼまんま持ち込んだような仕上がりになってます。真新しさは特に感じないし、そもそも方向性がまるっきり変わっちゃいないんだけども、ストリングスひとつとってもそうだし、楽曲全体における音の鳴らし方や聴こえ方が前作までとは明らかに違う。

 

 全16曲入りトータル約70分、うち12曲が新曲と、今回もサービス精神が目に見えて旺盛。もちろん曲が多ければいいってもんではありませんが、近年 新曲を3,4曲しか入れないオリアル詐欺が別段珍しくないことを考えれば、新曲大量注入はむしろいつも以上に喜ぶべきこと。16曲も収録されてるだけあって、それなりにバリエーションはあるしメリハリもしっかりついてはいますが、16曲中14曲がアップナンバーで残り2曲がバラードというこの極端すぎる偏り具合はいかがなものか。前々作『ULTIMATE DIAMOND』もそうだったけど、16曲も用意してるのに何故ミディアムナンバーを一切やらない!?過去作でいう『夏恋模様』とか『そよ風に吹かれて』とか『Nocturne -revision-』とかその辺に相当するミディアム系を。お姉さんどんだけスパルタぶりを突き詰めようとしてんのよって話ですよ。

 

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 冒頭の『アヴァロンの王冠』は中二成分が過去最高にギッシリ詰まったオーケストラ フルスロットルなナンバー。”LIVE GRACE OPUSⅡ”のオープニングを意識してます感バリバリでもあり、DOG DAYSに触発された感モロ出しでもありで、いずれはこの手の楽曲に着手するんだろうと朧気に想像はしていましたが、実際ぶち込まれるとイントロを耳にした瞬間アッー!と声が漏れちゃいますわな、否応なしに。これからオリンピックが開幕すんのかいと、それとも天下統一でもしたんかいと、そんなことを言いたくなってしまうこの燦然とした輝き、そしてこの羽振りの良さ、最高っす。そして、単なる大仰化じゃなく、ちゃんと品格が伴った音を鳴らしてるのが良いですな。にしても、どんなに高位に就こうとも、サビの「栄光のアヴァロン」が「栄光の天野」にしか聴こえないという空耳芸を変わらず披露しちゃうこのお茶目さときたら。

 

 『Naked Soldier』は本作における私的ベストナンバー。風情としては『Trickster』系のシンプルなロックナンバーなんですが、アンサンブルがこれまでよりも明らかに骨太でタフになったこともあり、そのシンプルさが却って魅力的であり頼もしく思えます。そしてなんといっても 奈々さんのかつてないまでのハイトーン歌唱ですよ。これがカッコよすぎるゆえに超絶名曲に成り得たって感じがしますね。特に終盤の「ひぃかりいいいいいいいいいい!!!!!!おっおおおーーーーーーー!!!!!!!」の件よ!龍拳でヒルデガーンを粉砕した超サイヤ人3の悟空を想起させる熱さ、凛々しさ、突き抜けっぷり。胸熱です。

 編曲を手掛けたのはエレガ所属の中山真斗氏。過去に奈々さんに提供した大仰大味な楽曲(『ミュステリオン』『UNCHAIN∞WORLD』など)とは違ったアプローチで見事奈々さんのポテンシャルを新たに引き出してくれました。エレガ≒ストリングス大盛りアレンジとか着膨れもお構いなしのド派手なアプローチとかってイメージされがちですが、こういうシンプル志向の楽曲も普通に演れちゃうんですよね。だったら出し惜しみしてないでもっと前からやっとけや!って話なんですけどもね。そしてサビの「Naked Soldier(ネイキッド・ソルジャー)」が何回聴いても「熱血ソルジャー」にしか聴こえません。どんだけ英語の発音苦手やねんと。

 

 同じく中山真斗氏が手掛けた『METRO BAROQUE』も良いです。屋台骨がしっかりしたソリッドな演奏を軸に、大先生室屋によるストリングスと 我を見失ったかの如く狂騒するピアノが相乗したサウンドが実にスリリングで背徳的。奈々さんの妖艶な歌唱がグイグイ引っ張ることで背徳感はさらにアップし、「粋狂に踊る熱」「甘く淫らな眼差しが絡みつく」「アラガエナイ…」「瞬きも出来ないほど注がれる愛に戸惑いながら溺れてしまいそう」など あらぬ妄想を掻き立てるには十分すぎるフレーズの乱立もあって、印象は完全にエロ。濡れ場。男の思うがまま。イヤなのに感じちゃってるみたいな。そういう画しか連想しようがありません。これもなかなかカッコいい曲です。新堂本兄弟でも歌ってましたね。

 

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 アルバムリリース時にミュージックフェアで歌っていた『Lovely Fruit』は、甘々成分たっぷりの可愛こぶりぶりな賑やかブラスポップナンバー。え、まさかこれが今作のリード曲!?マジで!?前作の『ミュステリオン』に続いてまたイロモノが選ばれちゃったんですか?そしてMVも『ミュステリオン』同様エロさ爆発。あと歌詞もなかなかキワドいっすね。Bメロとか「口元へドピュッ!」ですからね、いくらなんでもストレートすぎやしませんかと。イロモノと書きましたが、アンサンブルは躍動感たっぷりで茶目っ気をしっかり演出しているし、生のブラスアレンジも過度な甘々放出を抑制し華やかさを加味しているし、サウンドアプローチがめっちゃ冴えてます。作曲アレンジを手掛けた上松氏、やるやないかい(誰)。

 

 んで上記ナンバーと同様に上松氏が手掛けた『Synchrogazer -Aufwachen Form-』はヒロイックな高速デジタルアップナンバー。イントロにおける奈々さんの絶唱ファルセットと 縦横無尽にハイテンポで鳴らされるド派手なシンセや電子音が強烈な衝撃を与えます。そして鍵盤の音色が何故かTWO-MIX風。タイアップ先アニメ(「戦姫絶唱シンフォギア」)で高山みなみと共演したことが関係しているのかしらん?何にしても歌いだしの時点で勝負あったって感じです。上松らしいっちゃらしい、アプローチの仕方が。

 

 そしてそして、またしても上松氏が手掛けたリリカルなのはタイアップ曲『BRIGHT STREAM』は、いつも通り、盤石、スタンダード、クソ定番中の定番というほかないストリングス駆使のアップナンバー。ここぞというタイミングでこういう曲を演るからエレガのイメージがいつまで経ってもストリングス大盛りアレンジとかそんなんで固定されちゃうわけよ。まあ『Orchestral Fantasia』とか『Heart-shaped chant』に比べりゃ幾分控えめなほうですけどね。

 

 奈々さんの第7子である『STAR ROAD』は美しくたおやかな天体バラード。メロディの美しさも然ることながら、これは「STAR ROAD」というタイトルワードを具現化させた エレガ藤間仁氏による管弦アレンジが素晴らしいです。同じストリングス導入曲でも、リリカルなのはタイアップを始めとした水樹奈々×上松氏タッグのナンバーとは演出手法は別物。「ドラマティック」だけど「大仰大味」ではない 心洗われるナンバーであります。

 

 その他、珍しくトレンディなアレンジを導入したエレクトロックナンバー『Get my drift?』、感傷と郷愁に耽っている様をふわっとニュアンスで表現して歌った胸キュンポップソング『ダーリンプラスティック』、クリスマスっぽい雰囲気のガーリーなポップソング『星屑シンフォニー』、暑苦しく迫るようなサウンドの張り詰め様に思わず吹き出しちゃう歌謡ロックナンバー『LINKAGE』、目がチカチカするような眩さを放つ おセンチなピアノロック『Crescent Child』、ゴシカルなアレンジだけじゃなくメロディ展開があざといまでにドラマティックな 上松提供のド派手なアップナンバー『奇跡のメロディア』、時折遊び心を忍ばせつつハッチャけるアンサンブルが痛快なポップロックナンバー『Happy☆Go-Round!』、いつものリリカルなのは挿入歌と大して印象が変わらんブレイブリーアップ『Sacred Force -Extended Mix-』、ピアノ主体のしっとり穏やかなバラード『約束』と、もう全曲サイコーすぎます。なんて言うとめちゃくちゃ投げやりっぽく思われそうですけど、いや本当に。

 

 一曲一曲の質が高いだけでなく 全体を俯瞰した際に窺えるアイデアフルさや、アップナンバー過多な選曲をものともしない巧みな楽曲配置も手伝って 過去のどの作品をも越える傑作となり、そしてセールスも最高値を更新してしまったのが凄すぎ。まあ改めて通しで聴くと ハシャギすぎでなかなか鬼畜だなとは思いましたけど、それでもやっぱり個人的にはこれが奈々さんの最高傑作なのであります。

 

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1 thought on “アルバム感想『ROCKBOUND NEIGHBORS』/ 水樹奈々

  1. ryoma

    シンクロゲイザーはイントロが神ですよね。ベストではシングルバージョンになってて残念でした。

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