アルバム感想『SINGularity』/ 西川貴教


『SINGularity』/ 西川貴教
2019.3.6
★★★★★★★★★☆

01. SINGularity
02. Roll The Dice ★★★★★★★★☆☆
03. Bright Burning Shout ★★★★★★★★★★
04. Hear Me ★★★★★★★★★☆
05. REBRAIN In Your Head ★★★★★★★★☆☆
06. awakening ★★★★★★★★★☆
07. Be Affected(西川貴教×Fear, and Loathing in Las Vegas) ★★★★★★★★★☆
08. His/Story ★★★★★★★★★☆
09. Elegy of Prisoner ★★★★★★★★☆☆
10. HERO ★★★★★★★★★☆
11. UNBROKEN(feat. 布袋寅泰) ★★★★★★★★★☆
12. BIRI x BIRI -To SINGularity and Beyond- (Maozon Remix) ★★★★★★★★☆☆
13. ever free ★★★★★☆☆☆☆☆

 

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 T.M.Revolutionのボーカリスト、西川貴教氏の1stアルバム。

 Luis-Mary, T.M.Revolution, T.M.R-e, abingdon boys schoolに続き今回で4.5度目のデビュー!しかもこれ、単なる名義変更ではなく、T.M.Rとa.b.sとはまた別動隊という形での活動とのことで。いや凄いです、西川くんももう50歳間近だというのに「したい放題それが絶対」を地で行き「落ち着く場所なんてありますか?ってそんなのまだいらねえ」とでも言わんばかりのこのフレキシブルさ、アクティビティぶり、フレッシュネス欲求。そのスーパーサイヤ的なエナジーを今回は「西川貴教」名義のもと「生けるボーカロイド」に扮してフルスイングしようと試みてるっぽいです。西川貴教の声を使って誰か楽曲で遊んでくれんかと。浅倉先生とはまた別のクリエイターを募ってやってみようじゃないかと、まあ多分そんな感じの大雑把なプロジェクトですよね。特にT.M.Rやa.b.sとの差別化を意識せず、かつ特定のジャンルに固執せず、って感じで。

 

 なので、いわゆる歌謡曲だとかフォークだとかレゲエだとか最近でいうとトラップとかフューチャーベースとか、ほんっとに何でもありな感じになるのかなとか思ったりもしたんですけど、まあそんな節操ないバリエーションで乱立されるわけもなく。やはり『INVOKE』『ignited』『SWORD SUMMIT』あたりで確立されたバトルものアニメ・ゲームソングのイメージに則った作風になってました。T.M.Rの過去作でいうと、『天』全般と『vertical infinity』後半部分を混ぜ合わせたようなもんですかね。アニソン・ゲーソン映えするデジタル+ロックサウンドが中心、っていうかほとんどこんな感じ。

 

 なんだよ、それじゃTMと大して変わんねーじゃん、って思われるかも分かりませんが、それなりに浅倉先生の楽曲を聴いてきた身としては本作の楽曲とT.M.Revolutionの楽曲は全くの別モンなんですよね。それは作り手やコンセプトが違うからというわけじゃなく、もう純粋に聴感として別モンっていう。この違いを言語化するのはなかなか難しいトコではあるんですけど、T.M.Rの楽曲にはメロディにもシンセリフにも大体 天下の浅倉節ってやつが効いてるんですよ。今回の収録曲には単純にそれがない、ってだけのことなんですよ乱暴な言い方をすると。

 

 てかそれ以外にどう説明せぇっちゅーねんって話ですよ!『Roll The Dice』『Hear Me』『REBRAIN In Your Head』とかもう高カロリーで重厚なデジロックとしか言いようがないやん!そこから単に浅倉成分を除去しただけだと。まあ例えば『REBRAIN In Your Head』なら 平歌でほんの少しR&B的なアプローチとか「エーイッ!」っていうアディショナルボーカルが入ってたりというT.M.Rの楽曲にはありえない要素が入っていたりしますけども。

 

 4.5度目のデビューを飾ったシングル曲『Bright Burning Shout』なんて明らかにT.M.Rと別モンってすぐに分かるじゃないすか。あんまり精通してない人なら「え、これ水樹奈々?」「あ~これエレガ(Elements Garden)だろ?」とか言っちゃいそうな感じの。もちろんこれはエレガ提供ではなく、実際のトコ神前暁氏が作詞作曲を手掛けたものなんですけど、こういうT.M.Rとは似て非なるシンフォニックデジロックを聴くと、「まあ確かに西川くんをT.M.Revolution(とabingdon boys school)だけに留めるのは勿体ないよな」と思っちゃうわけですよ。それくらい西川くんのボーカルがものっそく映えてる。この1曲だけでも西川貴教名義でデビューする意義があったなとすんなり納得出来ちゃいました。だってこういうのT.M.Rじゃ絶対出てこないし。浅倉先生そこまで手広かないし。

 

 

 あ、でもいやに大仰なバラード『awakening』はサビに限ればちょっと浅倉先生っぽいなと思った。でもそれ以外はやっぱ別モン。Bメロでワルツに転じるくだりとか浅倉先生っぽくねえなあって感じだったし。深い傷みに屈しない力強さみたいなもんが表れたシンフォニックなアレンジといい悲壮的なメロディといい、バラードにも様々な種類があるけど、西川くんのボーカルはやっぱこの手のバラードでこそ燦然たる輝きを放つんだなと再認識したまで。

 

 そして後半は、Fear, and Loathing in Las Vegas提供による いつもよりカオティックさは控えめながらもラスベガス感ハンパない『Be Affected』、シンガロング促進のフューチャリスティックなサイバーアップ『His/Story』、大島こうすけ氏提供の やたらスリリングで壮大なインダストリアルナンバー『Elegy of Prisoner』、問答無用にカッコいいけど ぶっちゃけabingdon boys schoolと何が違うのかよう分からん 柴崎浩氏提供のヒロイックな疾走オルタナロック『HERO』、初っ端から布袋氏のギターサウンドが唸りまくる大和魂燃え滾るデジロック『UNBROKEN』と、前半とはやや趣向が異なるアプローチでガンガン攻めてきます。てか全然休みないやん。

 

 本編ラストの『BIRI x BIRI -To SINGularity and Beyond- (Maozon Remix)』はCDデビューよりも先に配信限定でリリースされた楽曲のリミックスで、音のみならずMV的にもB級感溢れるダサカッコいいダンサブルなデジロックって感じだった原曲から大きく改変されてます。「ビリビリ!YA!YA!YA~~!!」とか「フワ♪フワ♪」とか歌メロやコーラスのダサさは相変わらずながらも、EXILE TRIBEの『24 WORLD』を彷彿させるエッジ利かせまくりなEDMアレンジが非常に効果的で、原曲を遥かに凌ぐ疾走感も相俟って えれぇカッコいい仕上がりに。原曲は原曲で好きですけど、これはかなり良いです。このアレンジのおかげでアルバムから浮かずに済んだことだし。

 

 ただ、hideの名曲カバー『ever free』だけはちょっと。あんまりサイバーアレンジが合ってないし、ここはabingdon boys school仕様のミクスチャーロックでカバーしたほうが絶対良いでしょ。

 

 ということで、予想も期待も遥かに凌ぐほど 体中満ち溢れる野性のENERGYを滾らせて解き放ったアルバムでありました。なんつっても歌いっぷりが凄まじいよな。老いに抗うばかりか、この期に及んでまだまださらなるアップデートとかしちゃってるわけですよ。この人は命朽ち果てるまで己と戦い続けながら表舞台に立ち続けていくんだろうなと、そんな西川くんの並々ならぬ覚悟や意気込みをビンビン感じ取ったまで。

 


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