アルバム感想『Eye of the Storm』/ ONE OK ROCK


『Eye of the Storm』/ ONE OK ROCK
2019.2.13
★★★★★★★★★☆

01. Eye of the Storm ★★★★★★★★☆☆
02. Stand Out Fit In ★★★★★★★★★☆
03. Head High ★★★★★★★★☆☆
04. Grow Old Die Young ★★★★★★★★☆☆
05. Push Back ★★★★★★★☆☆☆
06. Wasted Nights ★★★★★★★★☆☆
07. Change ★★★★★★★☆☆☆
08. Letting Go ★★★★★★★★★☆
09. Worst in Me ★★★★★★★★★☆
10. In the Stars (feat. Kiiara) ★★★★★★★★☆☆
11. Giants ★★★★★★★★★☆
12. Can’t Wait ★★★★★★★★☆☆
13. The Last Time ★★★★★★★★★☆

 

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 約2年ぶりとなる9thアルバム。

 

 前作『Ambitions』で提示された海外市場を意識した音作り、もっと言えば ハードロックとR&B/HIP-HOPとのハイブリッドをさらに深化させたのが本作であります。といっても、いわゆるミクスチャーロックとは全くの別モノで、ロックが明確に実権を握ってるわけじゃなく、境界線はだいぶ曖昧な感じ。

 

 もはや前作とは突き詰め方が全然違います。Colin Brittainなど過去作から参加していたメンツも少なからず関与していますが、それらに加え、Derek Fuhrmann(『Stand Out Fit In』を共作)やPoo Bear(ジャスティン・ビーバーなどをプロデュース)など ロックとは畑が異なる海外のプロデューサーやエンジニアを多々迎えて制作に臨んでいることからもその徹底ぶりがしかと窺えます。

 

 前作はなんだかんだでロックサイドが舵をとっていましたが、今回はフィジカルなアンサンブルよりもデジタルのほうが圧倒的に占有率が高く、前作とは比べもんにならないくらいギターとベースの存在感が希薄だし、ドラムも若干は見せ場があるものの打ち込みに出番を譲渡してる箇所も多々あります。そんなこんなでアグレッションに関しては前作以上に控えめ。それでも、曲によりけりですが このバンドだから出し得るダイナミズムも顔を覗かせているし、エレクトロなどのデジタルアプローチによるポップ感やスケール感演出、ロックとは異なるR&B/HIP-HOPならではのノリなど、新たに導入された要素や より一層強化された要素が いずれの楽曲においても有効に作用していて 過去作とはまた違った魅力や面白さが発揮されているのではないかと。

 

 アルバムの幕を開ける『Eye of the Storm』はデジタルコーティングしつつR&B/HIP-HOPのノリでスケールでかみなロックサウンドを鳴らした どことなくヒロイックなナンバー。なんか劇場版ドラゴンボールZの要となるシーンで流れてそうな曲っすな笑。カッコいいやんか!

 

 EDMサウンドで壮大さを、ボーカルやドラムで力強さを打ち出した『Stand Out Fit In』『Grow Old Die Young』『Wasted Nights』はワンオクらしいスタジアムロックとEDMとを上手く融合させた佳曲。『Giants』はそこにR&Bをさりげなくも巧みに掛け合わせていてこれまた良きかな。シンガロング促進コーラス、ハンドクラップやフットストンプ的なリズムがスタジアムロック感を生み出した『Push Back』も良いです。

 


 

 『Head High』は 疲弊し泥にまみれたマインドを浄化させるイメージが浮かぶ、ドラゴンボールでいうメディカルマシーンのような効力を発揮するミドルアップ。またしてもEDMに着手していますが、これは今までのワンオクにはなかった類のナンバーですね。

 

 横ノリのリズムを敷いた解放感溢れるパワーポップ『Change』、哀愁と陰影を帯びたメロディアスなマイナーメロが耳を惹くミドルR&Bナンバー『Worst in Me』、穏やかなボーカルと大らかなコーラス、ゆったりしたビートが心落ち着かせるミドルR&Bナンバー『In the Stars (feat. Kiiara)』といったR&B寄りのナンバーも、これまでのワンオクとは異なるタイプながら 良質なメロディも手伝ってやはり好感触。

 


 

 『Letting Go』なんて 上記ナンバーを遥かに凌ぐほど おもっくそR&Bで冷静に考えるとちょっとビックリ。それも小手先で作ってみた的な感じがなく、驚くほど洗練されたカタチで仕上がってるという。まさにバンドっぽさ無視ってやつです。

 

 『Can’t Wait』『The Last Time』は本作で最もアンサンブルが力強く前面に出た まるで始皇帝が中華統一をし 頂に立った瞬間を思わせる 雄大なロックナンバー。バンド感が目立つといっても あくまで「本作の他の楽曲よりは」っていうレベルなんですけども、本作を司るサウンドに慣れていない側に居るファン的にこの曲はホッと出来るナンバーなのか これでもまだ物足りないと思うのか。まあ後者は尺や曲展開的にえらくあっさり終わっちゃうんで、そういった意味では個人的に物足りなさを感じますけどね。でもこの曲はいつにもまして高らかに歌い上げ叫ぶTakaのボーカルが凄く良いんだよな。サビの「魚おぉぉーー↑↑おぉぉーー↓おぉぉーー↑おぉぉーー↓おぉぉーー↑おぉぉーー↓おぉぉーー↑おぉぉーー↓おぉぉ~↑おぉぉ~~~!!!」のトコとか ほんと胸がすく。

 

 『人生×僕=』→『35xxxv』→『Ambitions』といった過去作の変遷や ここ最近の世界のトレンドをみれば、今作がこのような作風になるのはごく自然なことだし、それ以降の配信曲『Change』『Stand Out Fit In』を聴けばこうなることはある程度予想がつくもんですけど、アルバムを通しで聴いてみると、想像してた以上に行き着くとこまで行っちゃってたし、にもかかわらず何の違和感も覚えることなくナチュラルに聴けちゃったのが逆に凄い。

 

 Takaのソロ作品みたいなもんだろ的な声があがるのも無理はないですけど、やっぱりこれはワンオクとして演ってこそ意義があるもの。ことさら日本出身であることや日本人ならではってやつを振りかざすことなく、シンプルに世界規模で活動するロックバンドとして現在のミュージックシーンでサバイブすべく このアプローチを選択したんでしょ。日本の中でも目立ったトコでこの手のサウンドに着手してるバンドって居ないし、ロックとR&B/HIP-HOPの壁を壊すという意味でも、他国に比べてトレンドに乗り遅れている日本をリードするという意味でも、彼らはとても頼もしいチャレンジャーだと思いますよ。まあ私的な作品の好みは今作より前作のほうが若干上なんですけど、過去作と比較しなければ真っ当に面白いアルバムです。

 

◆アルバム感想◆

1st『ゼイタクビョウ
2nd『BEAM OF LIGHT
3rd『感情エフェクト
4th『Nicheシンドローム
5th『残響リファレンス
6th『人生×僕=
7th『35xxxv
8th『Ambitions

 


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