PRINCESS PRINCESS(プリンセス・プリンセス)のフルアルバム全作品のレビューを1記事にまとめてみました
Contents
★ 1st『TELEPORTATION』
『TELEPORTATION』/ PRINCESS PRINCESS
1987.5.21
★★★★★★★★☆☆
01. ガールズ・ナイト ★★★★★★★★☆☆
02. 恋はバランス ★★★★★★★☆☆☆
03. 言わないで ★★★★★★★☆☆☆
04. ソーロング ドリーマー ★★★★★★★★☆☆
05. 思い出の隙間 ★★★★★★☆☆☆☆
06. ユーアーマイ・スターシップ ★★★★★★★★☆☆
07. 海にひとしずく ★★★★★★★☆☆☆
08. ヒプノタイズド ★★★★★★★★☆☆
09. モーション・エモーション ★★★★★★★☆☆☆
10. ヴァイブレーション ★★★★★★★☆☆☆
5人組ガールズバンド・プリンセスプリンセスの1stアルバム。ちなみにこれはデビューアルバムではありません。厳密にはミニアルバム『Kissで犯罪(クライム)』がデビュー作で、フルアルバムとしてはこれが初になります。
前作がほとんど提供曲だったのに対し、本作はデビューシングルである『恋はバランス』以外すべてメンバー自作となってます。つまり、まともに自作するようになった最初の作品がコレということになりますが、それにしては割と粒が揃ってるんじゃないか?ぶっちゃけ収録曲の大半はプリプリのパブリックイメージとは異なるプロトタイプな80sポップロックが中心となってますけど、B’zのデビュー作が手探り感バリバリだったことを考えると、プリプリのこのアルバムのほうが遥かに将来性を感じる出来栄え。
『ガールズ・ナイト』『ソーロング ドリーマー』とか、今見ると安っぽくしか思えない80sの音楽番組のステージで歌う姿がすぐさま浮かんでくるけど 普通にカッコいいし。美しく儚げなミドルスロー『海にひとしずく』とか何気に凄くないか?自作一発目でいきなり独自性が開花しちゃってますやん。
てゆーか、デビューシングルにして唯一の提供曲『恋はバランス』がやたらアイドルっぽい仕上がりになっちゃってんのはなんでや!明らかにこのバンドのイレギュラーな立ち位置に相当する曲やん。
『ヒプノタイズド』はかなり衝撃的です。バンドっぽさ完全無視のダンスミュージックやん!80s感丸出しの超絶チープな打ち込みによるアーバンダンスポップですが、個人的には意外とアリ、っていうか本作でいちばん好きな曲かも。でもそれは余興ポジションにある曲だから良いんであって、こんなのが2つも3つもあると流石にうんざりしちゃいます。
『ユーアーマイ・スターシップ』はちょっと80sユーロが入ったアイドルポップス寄りのガールズロック(??)ていうかもはやアイドルポップスだな。これもまあアリっちゃアリ。あくまで余興ということで。
ちなみに、奥居香のボーカルは後の作品に比べるとかなりクリアー。『言わないで』や前述の『海にひとしずく』といったミドルスロー系でそのクリアーなボーカルが有用してます。
思ってたよりもだいぶ良かった。プリプリらしさがまだ確立されてないのにこの出来、ちょっと凄いです。
★ 2nd『Here We Are』
『Here We Are』/ PRINCESS PRINCESS
1988.2.26
★★★★★★★☆☆☆
01. 19 GROWING UP~ode to my buddy~ ★★★★★★★★★☆
02. WONDER CASTLE ★★★★★★★☆☆☆
03. MY WILL ★★★★★★☆☆☆☆
04. FLAME ★★★★★★☆☆☆☆
05. KEEP ON LOVIN’ YOU ★★★★★★★☆☆☆
06. GO AWAY BOY ★★★★★★★☆☆☆
07. SHE ★★★★★★★★☆☆
08. ROMANCIN’ BLUE ★★★★★★★★☆☆
09. 冗談じゃない ★★★★★★★★☆☆
10. 恋のペンディング ★★★★★★★★☆☆
2ndアルバムです。
ブレイク前の作品ですけど、完全に後追いでプリプリを聴いてる私が朧気にイメージしてるプリプリまんまのポップで明快なガールズロックの礎がここでカタチになってきた感があります。そして、今回も全体的にザ・80’s!!って感じがしますね。特にキーボードの音とか、『KEEP ON LOVIN’ YOU』などで顕著なコーラスの入れ方とか。良し悪しどうこうってアレじゃなく、ただ単に否が応にもそういう時代を感じてしまう音だよなってだけの話ですけど。
この中だとやっぱプリプリのアンセムとも言うべき『19 GROWING UP~ode to my buddy~』がいちばん好きですね。青春まさかりで どポップで なおかつエモい。レイター80s感が漂うマイナー歌謡ロック『ROMANCIN’ BLUE』、アイドルガールズバンド風情のハイテンションなアップナンバー『WONDER CASTLE』『冗談じゃない』、淡く切ないミドルバラード『SHE』もなかなか。
それと もろアイドルやんって感じのポップソング『恋のペンディング』も聴いててなんだか恥ずかしくなっちゃう感じではあるけど これもいいっすね。つーかこの曲聴いて思ったのがドラムがやけに上手い!なんでや!作風がまんまアイドルなだけにドラムの上手さが異様に際立ってるんですけど。ちなみにバンド全体の演奏はまあそんな…って感じです。
★ 3rd『LET’S GET CRAZY!』
『LET’S GET CRAZY!』/ PRINCESS PRINCESS
1988.11.21
★★★★★★★★☆☆
01. GET CRAZY! ★★★★★★★★★☆
02. それなりに いいひと ★★★★★★★☆☆☆
03. STAY THERE ★★★★★★★★☆☆
04. LOVE AND BLOOD ★★★★★★★☆☆☆
05. へっちゃら ★★★★★★★★★★
06. 夕陽がよんでいる ★★★★★★☆☆☆☆
07. 瞳だけはみつめない ★★★★★★★★☆☆
08. ひとりじめ ★★★★★★★★☆☆
09. ストリート・ウーマン ★★★★★★★★☆☆
10. M ★★★★★★★☆☆☆
11. HEART STOMPIN’ MUSIC ★★★★★★★★☆☆
大ブレイク直前にリリースされた3rdアルバム。
正統派歌謡ロック『STAY THERE』『瞳だけはみつめない』『ストリート・ウーマン』、80’s ポップス全開の『ひとりじめ』、シンプルで落ち着いたミドルナンバー『夕陽がよんでいる』、しっとりロストラブバラード『M』など、本作中の大半をポップサイドの楽曲が占めているんですが、全体的に音としてはアメリカンロック寄りになり、テンションもかなりイケイケモードです。
っていうか香さん、ちょっと弾けすぎじゃないっすか?ブチ切れてるとかアルコール回ってるっぽいとかじゃなく、なんというか、歩くオロナミンCと呼びたくなるような元気ハツラツな感じ。
歌謡アメリカンロック『GET CRAZY!』、ダンサブルロック『LOVE AND BLOOD』、スウィンギンなパーティーロック『HEART STOMPIN’ MUSIC』などでそんな弾けっぷりを魅せているんですが、特に『へっちゃら』が凄いです。やけっぱちな歌いっぷりも然ることながら、のび太くんを想起させる歌詞もまたかなりぶっ飛んでます。「ドラえもんが居るからジャイアンなんか怖くないよ~だ!!カラダだけデカくて頭空っぽ!」とでも言ってるような感じで、これは面白い曲。演奏陣も本作中でいちばん奮闘してることですしね。
以前よりも演奏が前面に出るようになったり音の厚みが増したりとロックテイストが幾分強化されてはきましたが、各演奏陣の魅せ場みたいなもんがほとんどないんですよね。テクニカルなプレーを魅せるするどころか、間奏でギターソロを披露することもあまりないし。本作だとせいぜい『GET CRAZY!』『HEART STOMPIN’ MUSIC』くらいかな。
これはかなり好きなアルバム。なんといっても、香さんの弾けっぷりが痛快だったので。
★ 4th『LOVERS』
『LOVERS』/ PRINCESS PRINCESS
1989.11.17
★★★★★★★★★☆
01. ムーンライト ストーリー ★★★★★★★★★☆
02. 友達のまま ★★★★★★★★★☆
03. DING DONG ★★★★★★★★★☆
04. レイン ★★★★★★★★☆☆
05. 恋に落ちたら ★★★★★★★★★☆
06. スパイ イン ラヴ ★★★★★★★★☆☆
07. シェイク イット オフ ★★★★★★★★☆☆
08. パパ ★★★★★★★☆☆☆
09. 海賊と私 ★★★★★★★☆☆☆
10. パレードしようよ ★★★★★★★★☆☆
シングル『DIAMONDS』が大ヒットし、一躍トップアーティストの仲間入りを果たした年にリリースされた4thオリアル。
マーガレットや花ゆめといった少女漫画的な世界観を纏った上質なポップソング『ムーンライト ストーリー』『友達のまま』『恋に落ちたら』、明石家サンタのクリスマスプレゼント的アップナンバー『DING DONG』、耽美なアルペジオでしっとり幕を開ける V系ライクなマイナー歌謡ロック『レイン』、奥居香が前作ばりに弾ける後ろでさり気にベースも奮闘しているアーシーなロックナンバー『スパイ イン ラヴ』、正統派ポップロック『シェイク イット オフ』、パパに捧げるバラード『パパ』、華やかな大団円ポップス『パレードしようよ』など、全曲シングルカット出来そうなくらいに、良い意味で大衆音楽に徹底したポップなアルバム。にもかかわらず、シングル曲が一切ない(『DIAMONDS』未収録)のが凄いし、それでいてミリオンヒットになってしまったことにも驚き。
てか売れ線意識バリバリのポップソングが多い割りに演奏は前作よりも主張が強くなった感がありますね。間奏でのソロパートも増えたことだし。といっても、これが普通というか、最低限これくらいは演るやろってトコまでようやく上がってきたって感じなんですけど。あと、奥居香のボーカルがちょっと落ち着いてきたというか、これまでに比べて程よくテンションを抑制できていて、聴きやすくなってます。
プリプリのポップ職人ぶりが遺憾なく発揮されてます。以前は前作『LET’S GET CRAZY!』のほうが好みだったけど、全曲もれなく大衆音楽たるキラメキに満ちていますゆえ、改めて魅了され寝返った次第。これがプリプリの最高傑作。
★ 5th『PRINCESS PRINCESS』
『PRINCESS PRINCESS』/ PRINCESS PRINCESS
1990.12.21
★★★★★★★☆☆☆
01. ROCK ME ★★★★★★★☆☆☆
02. ティンカーベル ★★★★★★★★☆☆
03. 台風の歌 ★★★★★★★☆☆☆
04. 逃げろ ★★★★★★★★☆☆
05. ジュリアン ★★★★★★★★☆☆
06. ROLLIN’ ON THE CORNER ★★★★★★★☆☆☆
07. 錆びつきブルース ★★★★★★★★★☆
08. 月夜の出来事 ★★★★★★★☆☆☆
09. THE LAST MOMENT ★★★★★★★☆☆☆
10. HIGHWAY STAR ★★★★★★★★★★
11. One ★★★★★★★☆☆☆
バンド名をタイトルに冠した5thオリアル。初動68万(当時歴代2位!)、累計137万も売れた、プリプリ最大のヒット作であります。
ロックテイスト強めな『ROCK ME』『逃げろ』、ポップ職人ぶりフルスロットルな『ティンカーベル』、ポップなピアノロック『台風の歌』、流麗なミドルスロー『THE LAST MOMENT』『One』、しっとり切ないバラード『ジュリアン』、ブラスアレンジを施したパーティーポップロック『ROLLIN’ ON THE CORNER』、大ブレイク直前時期とはまた違ったイケイケぶりを発揮したロックンロールナンバー『錆びつきブルース』(Vocal:中山加奈子)、これまでとは違う一面を覗かせたオリエンタルテイストのミドルスロー『月夜の出来事』(Vocal:今野登茂子)など、今までやってきたことも新たなチャレンジも集約されたラインナップ。
佳曲が多く収められてますが、個人的には前2作(『LET’S GET CRAZY』『LOVERS』)のほうが好みだな。でも、『HIGHWAY STAR』は本作どころかプリプリの中でもいちばん好きな曲ですね。爽快で青春まさかりなメロディもいいし、ロマンティックで刹那的で超80’sなキーボード音が何よりツボすぎる。
★ 6th『DOLLS IN ACTION』
『DOLLS IN ACTION』/ PRINCESS PRINCESS
1991.12.7
★★★★★★★☆☆☆
01. Dear ★★★★★★★☆☆☆
02. 名前のない町 ★★★★★★★☆☆☆
03. ジャングルプリンセス ★★★★★★☆☆☆☆
04. 空より海より(プリプリサンバ’91) ★★★★★★★☆☆☆
05. 砂漠の太陽 ★★★★★★★★☆☆
06. ジョーカーと100人の亡者 ★★★★★★☆☆☆☆
07. SEVEN YEARS AFTER ★★★★★★★★☆☆
08. SUMMER MADNESS ★★★★★★★★★☆
09. COME BACK ★★★★★★☆☆☆☆
10. ロマンス ★★★★★★★★★★
11. I LOVE YOU ★★★★★★★☆☆☆
約1年ぶりとなる6thアルバム。
タイトルやジャケ写、歌詞カード、冒頭と締めにアコースティックな小品ナンバーを配置するアルバム構成からして、コンセプチュアルなアルバムなのかと勝手に推測していたんですが、コンセプトが存在するどころか、一曲一曲の作風が ウキウキウォッチングばりにあっちこっちそっちこっち色んな方面へ行き来していて、結果的にこれまでよりも まとまりのない一枚になっちまってます。
やけにこざっぱりしたミドルロック『名前のない町』、タイトル通り パッと聴きジャングルを連想させる野性味アップ『ジャングルプリンセス』、サンバ要素を取り込んで小洒落たポップソングに仕上げた『空より海より(プリプリサンバ’91)』、従来のプリプリロックをこれまでよりも骨太でタイトな演奏で聴かせる『砂漠の太陽』、怪しげぶったミドルロックナンバー『ジョーカーと100人の亡者』、ストリングスをフィーチャーした耽美なロックナンバー『SEVEN YEARS AFTER』、フュージョンに着手した『SUMMER MADNESS』、レゲエ風味のキュートなポップロック『COME BACK』、美しく物悲しい雰囲気のマイナーロック『ロマンス』など、ただ闇雲に様々な要素に手を出してるわけじゃなく、どれもきちんとプリプリの楽曲として違和感なく昇華してはいますが、単純に以前(従来のイメージ通り)の楽曲のほうが面白いし、この中ですげーいいなと思ったのは『SUMMER MADNESS』『ロマンス』くらい。てか後者はプリプリの全楽曲の中でも5本の指に入るくらいの名曲でしょ。
『SEVEN YEARS AFTER』も好印象だったし、いっそのこと、そういう耽美性をクローズアップした楽曲を中心としたアルバムに仕上げたほうが良かったかも。アルバムのジャケ写のイメージにも嵌まりそうだし。つーかこんだけとっちらかったアルバムになるんだったら、『KISS』(1991年5月発売のシングル)も収録してやりゃいいのに。
★ 7th『BEE-BEEP』
『BEE-BEEP』/ PRINCESS PRINCESS
1993.1.21
★★★★★★★☆☆☆
01. GUITAR MAN ★★★★★★★★☆☆
02. MELODY MELODY ★★★★★★★★☆☆
03. 彼氏がほしい ★★★★★★★☆☆☆
04. BEE-BEEP プリプリサミット ★★★★★★★★☆☆
05. うちに帰ろう ★★★★★★☆☆☆☆
06. REGRET ★★★★★★★★☆☆
07. 港の見える丘 ★★★★★★★☆☆☆
08. POWER ★★★★★★☆☆☆☆
09. EYEWITNESS ★★★★★★★☆☆☆
10. WEDDING ★★★★★★★☆☆☆
11. SWEET VALENTINE ★★★★★★★☆☆☆
12. VOICE ★★★★★★★☆☆☆
約1年1か月ぶりとなる7thアルバム。
音的には『LET’S GET CRAZY』みたくアメリカンロック的な感じになってます。演奏はあの頃よりも洗練されていて厚みを増しているんですけど、キーボードが80sモードの音色なので 今聴くとやっぱり古く聴こえるし、リリース当時の視点で考えても ちょっと時代遅れな感じに聴こえてたんではないかと。ちょっとカントリーが混じった軽快ポップロック『彼氏がほしい』で入るコーラスもなんか80sっぽいなあ。『SWEET VALENTINE』なんてキーボードもコーラスもモロ80sすぎて1993年の楽曲とは俄かに信じがたい。
前作で演っていた実験的な要素は控えめで、ストレートなハードロックナンバー『GUITAR MAN』、明るくも切ない メロディアスなポップロック『MELODY MELODY』『REGRET』、彼氏(旦那)への愚痴をぶちまけたロックンロールナンバー『BEE-BEEP プリプリサミット』、じっくり聴かせるタイプの『港の見える丘』『VOICE』、カッティングギター主導のクールなロックナンバー『EYEWITNESS』、本作で最も時代錯誤感が著しい(キーボードや打ち込みなど)マイナーポップロック『WEDDING』など、メロディアスかつポップなメロディで真っ向勝負に挑んでる曲が中心で、普通にいい曲が多い。中には、テンション高いけどちょっと空回り気味って感じの『POWER』とか、ほのぼのしたテンションの割りにサウンドがなんだかもっさりした『うちに帰ろう』とか、ちょっと「ありゃ?」と引っ掛かる曲もありますけど。
セールス的にはこの辺から本格的に下落するようになったわけですが(それでもまだ50万以上の位置には居るんだけど)、だからといって質が下がったりとか大衆性が薄れたとか そういうわけではないので、これまでのアルバムが好印象だったら 多分これも普通に気に入ると思います。
★ 8th『Majestic』
『Majestic』/ PRINCESS PRINCESS
1993.12.22
★★★★★★★★☆☆
01. 傷跡 ★★★★★★★☆☆☆
02. BIRD’S EYE VIEW ★★★★★★★☆☆☆
03. さよならダーリン ★★★★★★★★☆☆
04. GLASS HEAVEN ★★★★★★★★☆☆
05. ふたりが終わる時 ★★★★★★★★★☆
06. 恋するチャンピオン ★★★★★★★☆☆☆
07. OH! MONKEY WOMAN ★★★★★★★☆☆☆
08. 風が吹いたら ★★★★★★★☆☆☆
09. それじゃね ★★★★★★★★☆☆
10. 片想い ★★★★★★★☆☆☆
約11ヵ月ぶりとなる8thアルバム。
大味アメリカンロックな前作から一転、プリプリのパブリックイメージとはだいぶかけ離れた 地味で陰りのある作風に。ジャケ写のイメージまんまやんけと。ですが、「全曲失恋ソング」であることを考慮すると、プリプリの従来のサウンドアプローチと今回のテーマとの折り合いのつけ方はむしろ激しくプリプリっぽいって感じがする。つまり、そこまで暗くもドロドロもしてないよっていう。切ないミドルナンバー『それじゃね』のポップさとかセンチメンタリズムの打ち出し方とかプリプリ以外のなにものでもないし。80sの名残がするキーボードの音はちょっとどうかと思うけど。
地味になったっつってもそれは飽くまでプリプリの作品の中での話であって、前述の『それじゃね』の他に、ボンジョヴィちっくな商業ロック感を醸し出したメロディアスミドルロック『傷跡』、サビメロがなんだか こまっしゃくれがちな軽快ナンバー『BIRD’S EYE VIEW』、アレンジがアーリー90sっぽくなってきたポップロック『さよならダーリン』、珍しくドラムをフィーチャーした(というかクローズアップされる場面が多い)『恋するチャンピオン』、「あたしはダメ女」と自虐に走りヤケクソモードになったミドルロック『OH! MONKEY WOMAN』など、耳を惹くポイントは随所に散りばめられています。『GLASS HEAVEN』なんて一般層に普及する前に90s V-ROCKを先取りしたみたいなクールで退廃的ロックナンバーでくりびつてんぎょう!
まあでも、辛気臭い哀愁ミドルバラード『ふたりが終わる時』、冷めたムードの淡泊なミドルロック『風が吹いたら』、音数控えめなバラード『片想い』なんかは確かに地味っすね。と言いつつ個人的には本作だと『ふたりが終わる時』がいちばん好きなんですけど。『M』とか『ジュリアン』よりも断然こっちのほうがいいっしょ。
★ 9th『The Last Princess』
『The Last Princess』/ PRINCESS PRINCESS
1995.12.13
★★★★★★★☆☆☆
01. Bye Bye ★★★★★★★☆☆☆
02. プロポーズ ★★★★★★★★☆☆
03. 渚は涙のパラダイス ★★★★★★★★★☆
04. ガラクタヲ吹キ飛バセ ★★★★★★★☆☆☆
05. Hello!! ★★★★★★★☆☆☆
06. ひまわりとカーディガン ★★★★★★★★☆☆
07. 恋はカンターレ ★★★★★★★☆☆☆
08. 純愛 ★★★★★★★☆☆☆
09. まわれ! メリーゴーランド ★★★★★★☆☆☆☆
10. Fly Baby Fly ★★★★★★★☆☆☆
最後のオリジナルアルバム。
空を仰ぐイメージのバラードナンバー『Bye Bye』、カッティングギターが先導するマイナーポップロック『プロポーズ』、思っきしGS歌謡を演ってのけた『渚は涙のパラダイス』、モロ90sな打ち込みをふんだんに取り込んだ実験作『ガラクタヲ吹キ飛バセ』、爽快かつ軽やかなポップロック『Hello!!』、モノクロでコーティングされた的な哀愁マイナーミドル『ひまわりとカーディガン』、アコギでのテクいプレーを忍ばせた 半ばラウンジっぽい『恋はカンターレ』、正調ミドルバラード『純愛』、溌溂としたロックナンバー『まわれ! メリーゴーランド』、ラストっぽい清々しさとほんの少しの感傷を有する パブリックイメージに忠実なポップロック『Fly Baby Fly』と、
前前前作『DOLLS IN ACTION』以上に雑多極まりないラインナップ。最後だから やれること・やりたいこと全部やっちまおうという感じだったのかしらん?色々やってはいるけど、全盛期っぽい曲ってあんまりないのよね。それこそ、先行シングルの『Fly Baby Fly』だけで、あとは後期の作風を継承していたり、その場限りの飛び道具的なものを用意してみたりって感じで。
セールスはあまり芳しくはなかったけど、これも悪くないアルバム。
★ Best Album『The Greatest Princess』
『The Greatest Princess』 / PRINCESS PRINCESS
1996.2.1
★★★★★★★★★★
01. 19 GROWING UP -ode to my buddy- ★★★★★★★★★☆
02. GO AWAY BOY ★★★★★★★☆☆☆
03. GET CRAZY! ★★★★★★★★★☆
04. M ★★★★★★★☆☆☆
05. DIAMONDS (ダイアモンド) ★★★★★★★★☆☆
06. 世界でいちばん熱い夏 (平成レコーディング) ★★★★★★★★★★
07. 友達のまま ★★★★★★★★★☆
08. パレードしようよ ★★★★★★★★☆☆
09. OH YEAH! ★★★★★★★★★★
10. ジュリアン ★★★★★★★★☆☆
11. ROCK ME ★★★★★★★☆☆☆
12. HIGHWAY STAR ★★★★★★★★★★
13. KISS ★★★★★★★★★★
14. SEVEN YEARS AFTER ★★★★★★★★☆☆
15. パイロットになりたくて ★★★★★★★☆☆☆
16. GUITAR MAN ★★★★★★★★☆☆
17. Fly Baby Fly ★★★★★★★☆☆☆
解散直前にリリースされたベスト盤。
当然ながら、必ずしも「シングル曲(ヒット曲)がいっぱい入ってる≒良いベスト盤」というわけではないですけど、オリアル未収録のシングル曲は『DIAMONDS』『世界でいちばん熱い夏』『OH YEAH!』『KISS』『パイロットになりたくて』の5曲、オリアル収録済みのシングル曲は『19 GROWING UP -ode to my buddy-』『GO AWAY BOY』『GET CRAZY!』『ジュリアン』『SEVEN YEARS AFTER』『Fly Baby Fly』の6曲ありますということを参考までに。
初めて聴いたプリプリの作品がコレでした。以降、全作品ではないものの、いくつかの作品を聴いて改めてこのラインナップを見ると、ビギナー向けであることを考えれば 数多あるベスト盤の中でもこれがいちばん効率よく要点を押さえてあるなあと。『世界でいちばん熱い夏』がオリジナルテイク(1987)ではなく、再録テイク(1989)で収録されてるのもいいです。音の厚みが違うし、原型は再録よりもさらに時代錯誤感が強烈ですからね。
っていうか、完全後追いリスナーながら、やけっぱち感バリバリの『パイロットになりたくて』をシングルとしてリリースしたのがスゲーなって思った。悪い曲じゃないけど、こんなん絶対売れるわけないし。これよりちょっと前に『ジャングル プリンセス』をわざわざリカットしたことといい、当時のプリプリは一体何を血迷ってたんだと。
不満を挙げるとしたら、『だからハニー』(1993)が未収録であること。プリプリ曲の中でも数少ないドラマ主題歌の一つなんですけど、ドラマがヒットした割りにセールスがあまり芳しくなかったから外されちゃったんでしょうか。まあ1993年視点で考えても アレンジがちょっと時代遅れというか 80年代っぽいテイストがあったからな。
プリプリの入門編、あるいは代表曲だけサクッと押さえておきたい程度であれば、これ一枚手に取るだけで十分。実際聴いたことはありませんが、内容的には『プリ2~PRINCESS PRINCESS BEST OF BEST~』一枚だけでもいいと思います。
全盛期の楽曲をメインに据えているので、活動期間を端から端まで網羅してるとは言い難く、全盛期を過ぎてからの楽曲はラスト3曲だけなので、そこに不満がある人は『THE REBIRTH BEST~再会~』を手に取ったほうがベター。ただし、こちらは全曲 新たにミックスが施されているので、原型とは聴き心地が違う…んだと思います。こっちのベスト聴いたことないからその点よくわかんないし興味もない。あと、曲数多すぎ。予備知識ほぼ皆無の状態でいきなりこれ聴くのはボリューム的にしんどいかも。
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