アルバム感想『Notes On A Conditional Form』 / The 1975


『Notes On A Conditional Form』 / The 1975
2020.5.22
★★★★★★★★★☆

01. The 1975
02. People ★★★★★★★★★☆
03. The End (Music for Cars) ★★★★★★★★★☆
04. Frail State of Mind ★★★★★★★★★☆
05. Streaming ★★★★★★★☆☆☆
06. The Birthday Party ★★★★★★★☆☆☆
07. Yeah I Know ★★★★★★★★☆☆
08. Then Because She Goes ★★★★★★★☆☆☆
09. Jesus Christ 2005 God Bless America ★★★★★★★★☆☆
10. Roadkill ★★★★★★★☆☆☆
11. Me & You Together Song ★★★★★★★★★★
12. I Think There’s Something You Should Know ★★★★★★★★☆☆
13. Nothing Revealed / Everything Denied ★★★★★★★★★☆
14. Tonight (I Wish I Was Your Boy) ★★★★★★★★★☆
15. Shiny Collarbone ★★★★★★★☆☆☆
16. If You’re Too Shy (Let Me Know) ★★★★★★★★★★
17. Playing on My Mind ★★★★★★★☆☆☆
18. Having No Head ★★★★★★★☆☆☆
19. What Should I Say ★★★★★★★★★☆
20. Bagsy Not in Net ★★★★★★★★☆☆
21. Don’t Worry ★★★★★★★★★☆
22. Guys ★★★★★★★★★★

 

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 イギリス出身のオルタナロックバンド・The 1975の約1年半ぶりとなる4thアルバム。

 

 とにかくボリューム感とジャンルの雑多ぶりに驚かされちまいますね。なんと全22曲入り81分!ジャンルにしても、UKロックやらフォークやらハードコアやらハウスやらアンビエントやらR&B/HIP-HOPやら好き放題やり散らかしてるし、曲の配置や繋ぎも まるでトランプをシャッフルしてそのままポーンと出されたかのような並びになってる箇所もあったりするし、もう色んな意味で圧巻なのよ。1日で30品目の食材を喰い切るつもりかこの野郎!みたいな。

 

 まあ当然ながら日本語詞はないし英語ほとんど分かんないし和訳すらろくに読んでないので 歌唱と鳴らされてる音楽からのフィーリングにはなるのですが、人間の多面性とか感情の機微や移ろいなどを可能な限り一枚のアルバムの中で表現したって感じがしますな。

 

 まず、毎回恒例の『The 1975』で今回も幕開け…なのですが、「Go down~♪Soft sound~♪」なる お馴染みの歌い出しは皆無で、ここでは17歳の環境活動家であるグレタ・トゥーンベリ氏によるスピーチが始終展開されてます。単なるアレンジ違いじゃなく、もはや全く別の曲なんじゃないのか?ってくらいに過去3作とは明らかに異なるイントロダクション。この時点で既に ただならぬ雰囲気が漂ってます。

 

 そんな意味深な幕開けから一転、インダストリアル仕様のハードコア『People』で豪快に切り込んできてます。アバンギャルドなビジュアルワークといい、「ピーポーライピーポーゼイワイアライピーポー!」と絶叫するマシュー(Vo.)の様相といい、まるでマリリンマンソンやんか。このあとまだ20曲も楽曲が控えているというのに、ハードコア系どころか、分かりやすくエッジの効いたアガれる楽曲はこれ1曲でもう終了。

 

 

 

 ほんで『The End (Music for Cars)』は、映画のクライマックスシーンを思わせる 感動的な壮大アンビエント風インストで、前曲からまたガラッと雰囲気が変わります。なんでしょう、長崎県内で多数見受けられる坂道ばりのこの急さときたら。いくら感情の移ろいの激しさを表現するとしても、「激昂」からの「感動」って、情緒不安定にも程があるぞと。

 

 まあ前述通り、曲数があまりに多すぎるので、順を追って掻い摘むような感想書きはこの辺で断念させていただきたいのですが笑、これ以降も曲ジャンルや雰囲気がウキウキウォッチングばりに あっちこっちそっちどっちしまくるわけですよ。

 

 The 1975特有のノスタルジックな甘味が効いたポップロック『If You’re Too Shy (Let Me Know)』とか、そこにR&Bテイストを加味した『Tonight (I Wish I Was Your Boy)』とか、浮遊感あるエレクトロポップに仕立て上げた『Frail State of Mind』とか、デビュー当初から備わっていた王道サウンドの楽曲は漏れなく好み。前作や前々作で演ってたポストロックやシューゲイザー系も良いけど、やっぱ私的にゃThe 1975っつったらこの路線なのよ。

 

 

 

 瑞々しく感傷的なメロディアスポップ『Then Because She Goes』、青春まさかり的な清涼感と甘酸っぱさを有した『Me & You Together Song』といったUKロックも好印象だし、カントリー的なギターサウンドが穏やかな印象を与えるフォーキーな『The Birthday Party』、女性シンガーソングライター・フィービー・ブリジャーズをフィーチャーした フォーキーミドル『Jesus Christ 2005 God Bless America』、またしてもカントリー風のミドルナンバー『Roadkill』といった前述の王道サウンドとはまた違った郷愁漂う楽曲も良きかな良きかな。

 

 

 

 エレクトロでコーティングされたミニマルな2ステップナンバー『Yeah I Know』、軽快かつ淡泊な2ステップナンバー『I Think There’s Something You Should Know』、エレクトロハウス系インスト『Shiny Collarbone』『Having No Head』、同じくエレクトロ仕様のダンサブルミドル『What Should I Say』、美しい夕暮れの情景をうっすらと映し出すようなハウスナンバー『Bagsy Not in Net』といったクラブミュージック要素を取り込んだ楽曲もなかなか。いや、取り込むっていうかクラブサイドに両足ズブズブに突っ込んでんじゃねーか!
 R&B/HIP-HOP由来のダウナーなトラックに低音ラップと美しいゴスペルが乗っかった『Nothing Revealed / Everything Denied』も面白くてこれまた良いっすね。

 

 

 

 そして終盤、マシューが実父と共同で手掛けたしっとり美メロバラード『Don’t Worry』、柔らかな感触のアンサンブルと穏やかな歌唱が温かくてちょっと擽ったい 衒いのないハートフルなミドルナンバー『Guys』に胸がジーンとなる。こんだけの大作を繰り広げておきながら、ドラマティックなフィナーレを迎えるのではなく、普遍的な感動に着地するのがまた良いですよね。如何にも人間ドラマらしく、「大切なものはこんな身近なトコにあったんだ」ってことに気づかされたみたいな。

 

 

 

 てな感じで、なかなか面白いアルバムでした。まあ流石に尺長すぎるんで そんな気軽に聴けるもんじゃないけど笑、ラストの『Guys』を聴き終えた後に残る温かな余韻と並々ならぬ充足感は作品をアタマから聴いてこそ味わえるモノだし、私的にはThe 1975の中でいちばん好きなアルバムかも。

 

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