アルバム感想『Little Bit…』 / WANDS

Little Bit・・・
『Little Bit…』 / WANDS
1993.10.6
★★★★★★★★★★

01. 天使になんてなれなかった ★★★★★★★★★★
02. 恋せよ乙女 ★★★★★★★★★☆
03. DON’T CRY ★★★★★★★★★★
04. 君に もどれない ★★★★★★★★★★
05. 声にならないほどに愛しい ★★★★★★★★☆☆
06. Little Bit… ★★★★★★★★★☆
07. 愛を語るより口づけをかわそう ★★★★★★★★★☆

 

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 前作から半年足らずという驚異的な速さでリリースされた3rdアルバム。

 

 何故フルサイズではなく、7曲入りミニサイズでパッケージングしてしまったのか よう分からんのですが、楽曲の出来は相変わらず上々、っていうか前作よりも断然良いです。前作ではあまり見受けられなかった 3人のルーツであるハードロック的なアプローチがこの辺りから窺えるようになったし、それでいて これまであったキャッチーかつ良質なメロや ビーイングメイドなサウンドなどの(93年当時の)ポピュラリティな要素もしっかり健在。

 

 オープニングを飾るクールなデジタルロックナンバー『天使になんてなれなかった』は その辺の塩梅がとても絶妙な 文句なしにカッコいい一曲。オケヒも程よくギャンギャン鳴るし、ギターも間奏や終盤でエモーショナルに弾き散らかすだけでなく、Bメロでカッカッカッカッと爪で引っ掻くように弾いたりなど細かなアプローチを忍ばせているし、初っ端から演奏面も聴き応えたっぷり。理想と現実の狭間での葛藤模様を描写した歌詞とは裏腹に、サウンドは 混沌とするどころか、自分らの表現したい音とビーイング側が要求する音がどちらもプラスに作用して上手いこと共存しているというのが見事なんだか皮肉なんだか。

 

 罪人に向けた ある種の激励ソング『DON’T CRY』も同様で、ビーイングならではのポップ感とハードロック的アプローチが潰し合うことなく ここでもちゃんと共存出来ています。スケール感を打ち出すサウンドメイクと間奏のギターソロがダイナミックなのもいいし、なんといっても、この曲を輝かせてる最たるポイントである やりきれない悲しみや痛みを飲み込んだような 上杉のヒリヒリしたボーカル。言ってみれば全曲そうなんですけど、この曲での歌唱は特に深く胸に突き刺さってくるし、所々で優しさが垣間見えたりもします。

 

 青春まさかりムードの爽やか切ないポップナンバー『君にもどれない』は、本作の中では最もなんてことないオーソドックスなロストラブソングかと思いますが、これは哀愁を纏ったメロディがすこぶる絶品だし、詞世界の主人公が抱えている張り裂けそうな想いをダイレクトにアウトプットした上杉の歌唱がまた秀逸。柴崎のギターも前奏のカッティングなど聴きどころがさり気なくも多々点在しているし、通常であれば量産型ポップスとして埋もれてしまいそうなトコを上杉・柴崎の両者の力で見事に底上げしているような感じがしますな。何作もリリースされているベスト盤に1度たりとも選ばれたことがありませんが、これは隠れ名曲。

 

 夏の終わりを連想させる物静かで美しいバラード『Little Bit…』も他の楽曲に負けず劣らずの佳曲だし、MANISHに提供した『声にならないほどに愛しい』のセルフカバーは 原曲よりもキーが低く哀愁の色合いが強くなったバージョンで、これはこれで味わい深い。

 

 シングル曲である『恋せよ乙女』『愛を語るより口づけをかわそう』はどちらも盤石のビーイングポップスって感じで、実に手堅いクオリティ。前者は『時の扉』と違ってニュージャックスウィング的な感触ではありませんがダンサブルなポップロック。で、後者は疾走感に富んだ爽快ポップス。そして歌詞がどういうわけかイケメン風情 笑。如何にもカラオケ向けといった感じがバリバリですけども、どちらも良きナンバーですよ。

 

 ファン人気が如何ほどのもんか定かではないですが、個人的には名盤と呼びたい一枚。そして、上杉昇のボーカルと柴崎浩のギターこそが数多居るビーイング勢や その他大勢のポップスター達の中に埋もれることのない強力な個性であり、WANDSをWANDSたらしめるほど代替のきかない魅力であることを再認識させてくれたアルバムでもあります。

 

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