アルバム感想『BURN THE SECRET』 / WANDS


『BURN THE SECRET』 / WANDS
2020.10.28
★★★★★★★★☆☆

01. David Bowieのように ★★★★★★★★★☆
02. 抱き寄せ 高まる 君の体温と共に ★★★★★★★★☆☆
03. 賞味期限切れ I love you ★★★★★★★★★☆
04. Secret Night ~It’s My Treat~ [WANDS 第5期ver.] ★★★★★★★☆☆☆
05. Burning Free ★★★★★★★★☆☆
06. 真っ赤なLip ★★★★★★★★☆☆
07. 明日もし君が壊れても [WANDS 第5期ver.] ★★★★★★★★★☆
08. もっと強く抱きしめたなら [WANDS 第5期ver.] ★★★★★★★☆☆☆
09. 世界中の誰よりきっと [WANDS 第5期ver.] ★★★★★★★★★★
10. アイリメンバーU ★★★★★★★★★★

 

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 2020年。令和2年。平成初期(90年代前半)に一世を風靡した伝説のバンド・WANDSがまさかまさかの復活を遂げ、満を持してリリースした 21年ぶりのオリジナルアルバム!現在のWANDSは第5期にあたるのですが、その辺のことに関しての詳細はWikipedia参照よろ。

 

 まず個人的に、第5期以前に第1,2期(Vocal:上杉の時代)と第3期(Vocal:和久の時代)は別モノとして捉えてるというか、同じユニットとか延長線上にあるものとして聴きようがないやんかって感じなんですよね。優劣云々を言ってるわけじゃなく。メロディとか雰囲気とか なんとな~く通底してるものはあっても、味の決め手になってるボーカルもギターも詞世界も全く違いますから。

 

 なので第5期に関しても、WANDSであることを意識せず、過去のWANDSとは別モノ感覚で聴いてますけども、シンプルにカッコいいですよね、曲も歌も演奏も。
 あと、いくら別モノと言えど、メンバーなりに意識してると思わしき(全時代共通の)WANDSっぽさが垣間見える場面があったりして、そういうトコも良いなって思いました。ただ単にWANDSの名前を借りてるだけではないんだと。そして、第5期WANDSの活動は、決してリバイバルヒットや限られた熱狂的ファンだけを狙い撃ちするための全盛期リプレイではないこともちゃんと汲み取れたので、いろんな意味で今は第5期WANDSを支持してます。

 

 ということで、冒頭の『David Bowieのように』が早速カッコいい。上原のボーカルは、低音だと特に上杉っぽさがチラチラ見えるのが特徴的ですが、彼ならではのクールさ、熱気、渋みが含有されていて、上杉とはまた違ったカッコよさが発揮されています。「第○期の…」と的を絞りきれない代わりに どの時期のWANDSにも備わっていた、言葉で形容しがたいWANDSっぽさがしっかり染み込んでるし、上原自身が手掛けた歌詞からはWANDSを背負う覚悟が窺えるし、ぶっちゃけ全然David Bowieっぽくないけど笑、第5期WANDSを端的に象徴する楽曲として申し分ない出来栄えじゃなかろうかと。てゆーか、「「別にきらいじゃない」って笑えない冗談だな」ってフレーズ、『Jumpin’ Jack Boy』の2コーラス目とやや被るんですけど、やっぱり単なる偶然ですか?

 

 

 

 それに続く『抱き寄せ 高まる 君の体温と共に』もまた良いっすな。てゆーか、歌い出しから雰囲気があまりに90年代(1992~1996らへん)すぎて吹き出しちゃうこと不可避。めちゃくちゃアラフォーホイホイソングやんかと。まあこの手の楽曲はビーイングに限らず90年代前半~半ばのヴィジュアル系やピンの男性シンガー曲でも普通にありましたけど、無理矢理WANDSの中で位置付けると全盛期(第2期前半)に相当する作風、といった感じですかね。そういやSIAM SHADE栄喜のソロ作品にもこんな感じの曲あったな。

 

 

 

 第5期としての再始動ナンバーである『真っ赤なLip』と、本作で初解禁となる新曲の一つ『賞味期限切れ I love you』、この2曲は第1期WANDSの要素を汲んだ作風。

 

 前者は、第1期WANDSを牛耳っていた大島こうすけが作曲とアレンジを手掛けてるのですが、いやあなるほどなと。そういうのもあって(?)こういう感じなのかと。ニュージャックスウィングのリズムと、都会でのワンナイトラブみたいな雰囲気の掛け合わせは、第1期の『ふりむいて抱きしめて』『Good Sensation』を連想させますが、1989~1993な雰囲気バリバリなソレとは音触りは別モノ(当たり前)。上原の歌声に合わせてなのかどうか、芳醇さを漂わせたジャジーなテイストを含んでいて、なんとも渋い仕上がり。

 

 

 

 柴崎が作曲アレンジを手掛けた後者も、雰囲気は前者に近く、ジャズやファンク、ニュージャックスウィングが混在したシャレオツな装い。間奏のギターもこれまでのWANDSとは違うカッコよさが発揮されてるし、イケメンでしか まかり通らない 女癖悪しき歌詞も程よくダーティーかつレイジーな楽曲に合ってるし、そして なんといっても、たまに顔を出す上原のナルシスティックな歌いっぷりですよ。ビジュアルも歌唱力も色気も声量も抜群な彼だからこそ映える武器だし、こりゃあ今までのWANDSにはなかった新たな強みといっていいでしょう。

 

 

 

 逆に『Burning Free』はこれまでのWANDSにはなかったタイプの作風で、躍動的なギターリフがリードする疾走ロックナンバーであります。こんなラフで底抜けに開放的なWANDSは聴いたことがなかったんで、イントロのギターで早くも「どうしたWANDS!?」略して「どしワン!?」って感じが。ほんで間奏前のシャウトがめちゃくちゃイカしてます。ストッキングを取ってすっぽんぽんにしちゃった的な潔さ・大胆さがワイルドで痺れまくる!

 

 

 

 また、本作には過去(解体前)の楽曲のセルフカバーが4曲収録されており、どれも原型を崩すことなく再録されてるのが特徴の一つ。ぶっちゃけ4曲もいらなくない?って感じですけど、第3期(和久ボーカル)の楽曲もしっかり押さえていたり、それぞれ異なるタイプの4曲を選んでいるところはプラスポイントですな。

 

 『Secret Night ~It’s My Treat~』は音が太くなり退廃性が取っ払われた感じ。
 『明日もし君が壊れても』『もっと強く抱きしめたなら』はどちらも当時の時代性が上手いこと取っ払われた感じで、特に前者でのパワフルなハイトーンボーカルが圧巻。原曲ボーカルの和久っぽさもありつつ、摩天楼オペラの影もチラリ見える感じがこの曲限定の旨味で、ボーカルだけで言うなら個人的にこれがベストなテイク。

 

 

 

 ほんで『世界中の誰よりきっと』。この曲をチョイスすることがまず個人的に意外でしたけど、実際に聴いてみて「ほ~、なるほどな」と納得しました。
 原曲(中山美穂&WANDSバージョン)と2ndアルバム収録バージョンのちょうど中間をとったようなアレンジが、男性ならではの温かさや大らかさを有した上原のボーカルとめっちゃ嵌まってるし、柴崎やら木村やらSARDの神野友亜ちゃんやらが参加した 終盤の合唱が、ハートフルさに加えて このまま終わっていいとも!って感じの大団円感を打ち出してるのがまた良い演出。(特に上原が)重責を担ってはいるけども、今のバンドのムードはこんな感じなんだろうというのが滲み出てるようにも思えて、これはかなり好きなテイク。

 

 

 

 そしてラストは上原が作詞のみならず作曲まで手掛けた『アイリメンバーU』。『抱き寄せ 高まる ~』とはまた違った90s感も相俟って 甘酸っぱい感傷が胸をくすぐる名曲じゃないすか。『世界中の誰よりきっと』からの流れもめちゃくちゃ良いし、まさかこういう楽曲を演るとは全く予想してなかったし、しかもそんな意外性を有した曲を締めに持ってきてるし、でもWANDSっぽさも一応あるっちゃあるし、いろんな意味でヤラれましたわ。

 

 

 

 個人的には全曲 第5期のナンバーで固めて、セルフカバーはボーナスディスクとして別個でまとめたほうがいいと思ってたのですが、この構成によって結果的にはWANDSブランドを継承する意義を音でしっかり示すことが出来ましたからね。セルフカバーに古臭さや劣化版的な印象がなく、なおかつ第5期オリジナル曲と混ぜこぜにしても違和感なくまとまっていると。
 「期待通り」と「意外性」の両方がバランスよく備わった良いアルバムです。このアルバムの完成で、WANDSを再始動するにあたっての引き継ぎがようやく完了したって感じがしますな。

 

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