アルバム感想『Tank-top Festival in JAPAN』/ ヤバイTシャツ屋さん


『Tank-top Festival in JAPAN』/ ヤバイTシャツ屋さん
2018.12.19
★★★★★★★★★★

01. Tank-top Festival 2019 ★★★★★★★★★☆
02. KOKYAKU満足度1位 ★★★★★★★★★★
03. 小ボケにマジレスするボーイ&ガール ★★★★★★★★★☆
04. 君はクプアス ★★★★★★★★☆☆
05. どすえ ~おこしやす京都~ ★★★★★★★☆☆☆
06. 大人の事情 ★★★★★★★★☆☆
07. リセットマラソン ★★★★★★★★★★
08. 鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック ★★★★★★★★★☆
09. 秋 ★★★★★★★★★☆
10. かかとローラー ★★★★★★★★★☆
11. ざつにどうぶつしょうかい ★★★★★★★★☆☆
12. かわE ★★★★★★★★☆☆
13. ゆとりロック ★★★★★★★★☆☆

 

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 前作より約11ヵ月ぶりとなる3rdアルバム。

 

 真面目にバカを演る曲も、バカによる真面目な曲も巧みにこなし、彼らが元来持ち合わせていたユニークさと 手堅い商業ロック感をしっかり両立させていたのが前作でした。

 

 じゃあ今回はどうなっちまったのかと言うと、おふざけやユニークさがまた前面に出るようになり、キャッチーさやポップ感を抜かりなく押さえていながらも サウンドの強度やグルーヴにも高く意識を置いたアルバムとなっておりば。要するに、根幹がブレることも路線変更することもなく 自分らの武器を強化するようになった、ということですな。

 

 歌詞(というより歌)はぶっちゃけ過去2作に比べて聴き取りにくくなってます。でもそれは単なる発音や滑舌の悪化が起因してのものじゃなく、スピード感やノリを重視するようになった(多くの言葉を詰め込むようになった)ことと、音声じゃなく文字表記による言葉遊びが増えたことによるもの。

 

 彼らの楽曲において、音声による歌詞のユニークさをいちばんの魅力に感じてた人からすると聴き取りにくさはそのままマイナスに直結するでしょうけど、個人的にこれはこれでありです。発想力やそれを歌詞として膨らませる手法はグレードを上げており、歌詞カードを読むと素直に面白かったりするので、それを踏まえた上で聴くのがベターなんではないかと。

 

 『かわE』の歌詞がまさしくソレって感じですね。「君は かわE越して かわFやんけ!」だの「恥ずかC越えて 恥ずかDやんけ!」だの聴覚だけでは安易に汲み取り難いギミックがそこかしこに潜んでます。

 

 ほんで『KOKYAKU満足度1位』は始終 言葉詰め込みまくりで何を歌ってるのかまともに聴き取れん!とりあえずめっちゃノレるよう意識してやってるっぽいけど、リズムやグルーヴに重きを置いてるというより単純に耳に入った時に気持ちよく響きゃいいみたいな、緻密な計算とかせず野性の勘でやってみたって感じ。んで実際ノリは良いし、ちゃんと歌詞を読んでみると中身空っぽ過ぎて逆にそれが面白いっていう。これはきっと、俺らオモロいこと言ってっから耳だけじゃなく歌詞カードも読んで目でも楽しんでくれ、っていう意味合いもこの行為に込められてるに違いない。『鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック』の歌詞を見てもそういう意思がなんとなく汲み取れるし。

 

 そんな『鬼POP激キャッチー最強ハイパーウルトラミュージック』は、タイトル通りの鬼POP激キャッチーなメロディ・サウンドや、そういった鬼POP激キャッチーな(しつこい?)音楽の在り方を肯定的に捉えたり、音楽に対価を払われない現状にメスを入れつつ 渋々ながらそれを受け止め自分らを鼓舞したりしている歌詞も然ることながら、ありぼぼの奇声じみたインダストリアルボーカルがとにかく強烈。なんかパスピエの大胡田なつきのボーカルをふざけ半分でものまねしたみたいな発声だな。

 

 『リセットマラソン』は ほぼマキシマムザホルモンも同然の腹ペコハードコアナンバー。食に飢えたような咆哮とか平歌でめちゃくちゃに暴走するアンサンブルと絶叫同然のボーカルとか やたらキャッチーなサビとか色々とホルモンすぎる要素がてんこ盛り。個人的にはこれが本作のベストな一曲であります。

 

 トリを飾る『ゆとりロック』はスローテンポのメロディアスなロックナンバー。ゆとり世代である自分自身を皮肉りつつ それを受け入れてアクションを起こそうと奮起する様を歌詞で描写していますが、語感や押韻といったリズムに対する意識もしっかり汲まれているのが本作ならではの特徴って感じがしますね。メッセージ性とメロディアスさとノリを漏れなくカバーするこの器用さよ。やるぜヤバT。聴かせる系ナンバーもなかなか侮れないアドレナリンリンってやつですな。

 

 『Tank-top Festival 2019』『小ボケにマジレスするボーイ&ガール』『どすえ』『かかとローラー』『ざつにどうぶつしょうかい』はスタンダードなヤバTロックナンバー。歌詞はユニークで聴き取りやすくサウンドも普通にノレる 気軽に楽しめる系の楽曲も磐石の仕上がり。『かかとローラー』はこやまの歌いっぷりがいいっすね。たかだか小3小4あたりのガキにかかとローラーでひかれた程度でやたら情感込めまくって大袈裟に焦りと安堵を歌う様にワラタ。一方『Tank-top Festival 2019』は、サビでのキショいファルセットが個人的にツボで、確信犯的にやってんのか 結果的にこのザマを晒しちまったのか際どいラインに着地しているのが却って面白い。

 

 曲自体はオーソドックスなセンチメンタルバラードなのにわけの分からんたとえで雰囲気をぶち壊す『君はクプアス』、まるで “流し”が酒場でギター片手に歌うようなサウンドの上で、収録予定だった曲が陽の目を見ずに終わってしまった事情をぶっちゃける『大人の事情』、ありぼぼ作詞作曲である 四季の中でも際立った特徴が少ない秋に対して難癖つけるだけで 風情や情緒なんかあったもんじゃないメロコアナンバー『秋』も軒並み佳曲。ていうか、いずれのナンバーも曲自体は至って正統派なのにまともで真面目な曲が全くありません。

 

 1stアルバムまであったアマチュア感がすっかり漂白されたのに、バンドのイズムが一切ブレず 親近感もバカバカしさも面白さも健在で、楽曲の質や演奏、魅せ方といったバンドとしての強度がアップしているのが凄い。ヤバイTシャツ屋さんが いちバンドとしてじゃなく ヤバイTシャツ屋さんのままちゃんとアップデートされているというか。これまた面白いアルバムでした。ここまで来たら次もちょっとくらい過度な期待をしちゃってもいいだろうし、ちょっとやそっとじゃネタが枯渇しちゃうなんてこともなさそう。

 

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